2024/09/13追記
下記の如く現在もチャンピックス出荷停止が続いています。再出荷は2025年前半の見込みです。当院では、チャンピックス出荷再開まで、引き続き禁煙外来新規患者受付を停止します。
2022/06/18追記
下記の如く現在もチャンピックス出荷停止が続いていますが、本年後半には再開が見込まれています。一方、その影響で、もう一つの禁煙補助薬、ニコチンパッチも入手困難になっています。当院では、チャンピックス出荷再開まで、引き続き禁煙外来新規患者受付を停止します。
2021/06/19追記
禁煙外来で使用する主たる禁煙補助薬、チャンピックスが出荷留保となりました。理由は、海外で出荷された一部ロットに(追記:8月になり日本向けに出荷されたものの一部にも)発癌物質が検出されたためです。そのため、メーカーは安全が確認されるまで一旦出荷を留保することになりました。当院としては、安全が確認され、再出荷が始まるまで、禁煙外来新規受け入れは中止します。ご理解ご協力の程宜しくお願いします。
喫煙により寿命が7年短くなり、病気を患う期間が5年長くなります。結局、健康寿命(健康で過ごせる寿命)が10年短くなります。喫煙は肺気腫・慢性気管支炎の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の直接的な原因のみならず、肺がん、喉頭がん、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、膀胱がん、腎盂・尿管がん、膵がんなど多くのがんの危険因子であり、気管支喘息、狭心症、心筋梗塞(3倍に)、高血圧、動脈硬化(上段の動画は、喫煙により人体の中心を貫く大動脈が動脈硬化に陥り、黄色いコレステロールにより閉塞する様子を表現したオーストラリア政府製作によるテレビCMです)、閉塞性動脈硬化症、認知症、うつ病(2倍に。タバコでストレス発散はできません。むしろ溜まります。)、脳血栓、脳塞栓、脳動脈瘤、クモ膜下出血(3~4倍に)(下段の動画は、喫煙により脳出血を発症する様子を表現したオーストラリア政府製作によるテレビCMです)、老年期認知症、弱視、黄斑変性、胃潰瘍、骨粗鬆症、早期閉経、不妊症、流産、早産、乳幼児突然死症候群、インフルエンザ、肺結核、中耳炎、歯周病、糖尿病(2倍に)、勃起不全、精子減少症、掌蹠膿疱症、肌荒れ、シミなどの発症因子、悪化因子(喫煙者特有の顔貌をスモーカーズフェイスといいますが、下記画像はイギリスBBCの記事からの引用です。双子の一方が喫煙した場合、その顔貌が如何に違ったものになるかを示しています)となることが分っています。ちなみに、声もスモーカーズボイスといってしわがれただみ声になります。
何よりも問題なのは受動喫煙により愛する家族、妻(愛情が冷めた妻であっても)や子供の肺を真っ黒にさせ、タバコの害を周囲にまき散らすことです。下図の左から2番目の肺の写真をご覧ください。たとえ自身が喫煙者でなくとも配偶者が喫煙者だとあれくらい肺にススやタールが沈着します。喫煙している方のほとんどがその事実を知り、半数以上の方が禁煙したいと思っているにもかかわらず、止められないでいます。それはタバコに含まれるニコチンに依存性があるからです。図のようにニコチンの依存性は覚せい剤とまったく同じ薬理作用によるものです。タバコを止められないこと=ニコチン依存症は、覚せい剤中毒とまったく同じ仕組みです。
タバコを止められないでいる方、とくに既に大量かつ長期間吸い続けている方ほど、「今更禁煙しても、どうせ手遅れだろうから禁煙しない。」といった理屈を持ち出します。下図(「いい禁煙」ノバルディス社ホームページより)は、禁煙のメリット、禁煙による体の変化を示しています。
このような体の変化は、むしろ大量かつ長期間喫煙している人ほど強く自覚します。当たり前ですが、喫煙量が多く、喫煙期間の長い人ほど体に悪影響が及んでいますから、むしろそういった人ほど、禁煙によるメリット、体調の快復を実感しやすいのです。
この依存症を克服するため、禁煙補助薬による治療が、2006年4月より健康保険の適応となりました。治療は一定の条件(1、ニコチン依存症であること、2、1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上、3、直ちに禁煙することを希望していること、など)を満たした方ならどなたでも受けることができます。通院期間と費用(健康保険の自己負担額が3割の場合)は、禁煙補助薬としてニコチンパッチ(商品名ニコチネルTTS)を貼付した場合は10週間で約12,000円(1ヶ月あたり約4,000円)、バレニクリン(商品名チャンピックス)の内服の場合は12週間で約19,000円(1ヶ月あたり6,000円、両剤とも持病の有無、種類、当院通院の有無により多少増減します)です。詳細はこちらをご参照ください。
ほとんどの喫煙者が毎月タバコ代に1万円以上つぎ込んでいますから、禁煙外来を受診するとむしろお金が貯まることになります。下図は1日1箱400円のタバコを吸うと仮定してどのくらいお金が節約できるかを計算した図です(ファイザーホームページより)。既に20年の喫煙歴のある方は、300万円近いお金をつぎ込んでいるのです。300万円使って挙句の果てに体はボロボロ。これからもこの生活を続け、JTにお金を貢ぎ続けていくつもりでしょうか。タバコを止めたいと思っている方は是非挑戦してください。
統計によれば、禁煙補助薬を使わなかった場合、禁煙1年後の禁煙率が8%程度なのに対し、薬局でニコチン製剤を自分で購入し使用した場合が20%、禁煙外来に通って禁煙した場合が30~35%、さらに加えて心理指導を受けた場合が50~55%になっています。よって当院ではニコチン依存症について十分理解を深めていただくように、初診時、ニコチン依存症スクリーニングテスト、ニコチン依存症についての説明などに時間を多く割いています。そのため、初回受診はウィークデイの午後外来に限定、必ず予約が必要です。2回目以降は好きな時間に来院できます。
付記:2,020年4月1日より、「東京都受動喫煙防止条例」及び「改正健康増進法」が全面施行となります。これを機に是非禁煙して下さい。