新しく開発された高額な先発医薬品が発売後5~10年たち、特許期間が満了すると、他の製薬企業が先発医薬品と同一薬効成分の医薬品(後発医薬品=ジェネリック)を自由に製造販売できるようになります。後発企業は、先発企業のような莫大な開発費用の負担がないので、格安で後発医薬品を販売することができます。種類にもよりますが先発品の1割以下の価格で販売されているものもあります。しかし、いくつかの問題点もあります。後発品は先発品とまったく同一の主成分で、販売前にいくつかの試験により同等性は確認されていますが、添加物などの副成分が異なるため、患者さんによっては同じ効果が出ない場合があります。また、特許切れ直後に、多数の後発企業が雨後の筍のごとくジェネリック医薬品の販売を始めますが、利益を上げた後、売上が下がるといともあっさり販売を中止、さらには会社を解散する企業もあります。そういった企業の後発医薬品を服用して副作用が出た場合、企業に問い合わせてもきちんとした医薬品情報が得られないばかりか、会社がすでに存在しないこともかつてはありました。後発医薬品企業でもしっかりした会社もあれば、危なげな会社もあるわけです。
さて、当院は完全に医薬分業しているため、処方箋は発行しますが調剤は行っていません。電子カルテには、ジェネリック医薬品も含め日本で販売されている数万種類の医薬品データのすべてが登録されているため、あらゆる薬を処方することができます。上述のごとくすべてのジェネリック医薬品に問題があるわけではありませんので、ジェネリック医薬品を希望される方には、後発企業を考慮しつつご処方しています。
ちなみに医薬品の日本での販売価格は、同一の薬剤にもかかわらず欧米の2~3倍が相場で、日本の患者さんは非常に高い買い物をさせられています。その結果が製薬企業の好業績に繋がっています。高齢化社会による医療費高騰がこれほど声高に叫ばれているにもかかわらず、厚生労働省は天下り先の製薬企業の薬品には高い薬価をつけているようです。患者さんが後発医薬品で自己防衛されることに、医師としてできるだけ協力したいと思っています。
自分の飲んでいる薬に後発医薬品があるかどうか、その値段はいくらか、後発品への変更でどのくらい薬代が安くなるかなど、下記のホームページで調べることができます。