2024/06/16 
「当院の在宅診療について」

現在、在宅診療を本格的に開始すべく準備を進めています。開院当初、通院患者さんも少なく暇だったころ、近所の方が通院できなくなった場合、ひっそりと?往診していました。しかし、その後、徐々に患者数が増加、診療開始から夕方の終診時刻迄数珠繋ぎとなり、昼食時間を確保するのも儘ならず、まったく往診できない状況に。長年、私を頼りにし通院して下さった患者さんが高齢となり、足腰が弱って通院できず、往診が必要になると、最近は、専ら往診を専門とする医療機関に御願いして、在宅診療に切り替えるようになってしまいました。20年来の患者さんは家族みたいなもの。患者さんだって、たとえ寝たきりになっても、自身のすべてを把握しいている当院の診療を引き続き希望されていたはず。私だって引き続き往診して診療できれば安心です。さりとて、外来受診を希望し来院される患者さんをお断りすることもできず、内心忸怩たる思いでいました。これで、掛かりつけ医と言えるのか、自身でも疑問を感じていました。
しかし、数年前から志を同じくする医師の仲間が勤務、様々な業務を分担、私も昼休みを何とか確保、休めるようになりました。そのため、漸く在宅診療を本格的に開始すべく準備を始めました。昨今、昔のように聴診器1本、紙のカルテ用紙1枚とペン1本のみ持参して往診というわけにいかなくなっています。カルテはすべてパソコンを使用した電子カルテですから。現在Wi-Fi設備を含め、そういったハード面を整備、在宅診療を始める準備をしています。当院の診療の基本は、生活習慣病を中心とした外来診療です。在宅診療が専門ではありません。ですので、あくまでも長く通院されている患者さんに限定した在宅診療の予定です。まったく、通院歴のない方、一見の患者さんからの在宅診療の依頼はお断りする予定です。一見なら当院が行こうと他の医療機関が行こうと同じことですから(むしろ在宅診療を得意とする専門の医療機関の方が良いと思います)。ただ、現在も私の外来は空き時間がありませんので、私以外の医師が中心の往診になります。もちろんカルテは共通で、日々相談し合っているので安心して下さい。許せば私も往診します。

2024/04/15 
「RSウイルス感染症とそのワクチンについて」(その1)

かぜ症候群と肺炎について

肺の感染症である肺炎の原因となる菌には、肺炎球菌やインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスではありません)、肺炎マイコプラズマ菌のようにそれ自体が直接肺炎を発症させるものもあれば、インフルエンザウイルス、かぜ症候群(=普通感冒)の起因菌であるライノウイルス、コロナウイルス(新型コロナウイルス以前の古典的なコロナウイルス)、RSウイルス等のように、それ自体が直接肺炎を発症させなくとも(まれには、ウイルス性肺炎といって、それ自体で肺炎を発症させることもあります)、二次的に上述のような細菌の感染を招来し肺炎を惹起するものもあります。かぜは上気道炎(鼻から咽喉まで)ですが、口腔内の雑菌等が下気道(気管から肺まで)に落下、肺炎を発症させます。「かぜをこじらせて肺炎になる」といった表現があるのも頷けます。
ですから、高齢化社会となり、増加する肺炎を予防するためには、肺炎の直接的な起因菌である肺炎球菌感染を予防するワクチン接種のみならず、インフルエンザや新型コロナウイルスワクチン接種に加え、日頃のかぜ予防が肺炎予防にも効果的です。
また、かぜや肺炎は、高齢化社会となり急増する死因第2位の心疾患(心不全等。昨今心不全が急増するため、「心不全パンデミック」なる言葉も使われています)を悪化せる一因となります。当然ですが、かぜ、ましてやより重篤かつ罹病期間の長い肺炎になれば、健常人であっても心臓に相当の負担が掛かります。ましてや心臓のポンプ機能が弱っている状態=心機能不全、略して心不全の方の心臓に負荷が掛かればますます心機能は悪化、命を落とすこともあります。持病は心疾患であっても、かぜが心臓死の引き金になります。「かぜは万病の元」なのです。
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス(COVID-19)は、重症型のかぜ、上気道感染(それゆえ、感染症法の5類感染症に分類されています)の起因菌ですが、ご存知のようにワクチンや抗ウイルス薬がすでに開発され、使用されています。一般的に言うと、このように重症になりやすい、感染力の強い病気ほど、臨床的意義、社会的意義は大きいですから、国や製薬メーカーは積極的にワクチンや抗ウイルス剤を開発します。
一方、ただのかぜ、普通感冒、かぜ症候群は、大半が放っておいても治るので、根治療法であるワクチンや抗ウイルス剤は開発されず、専ら対症療法薬による治療が行われています。

RSウイルス感染症について

上述の如くかぜ症候群の原因菌(ウイルス)として、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス等が頻度としては多いです。このうち、昨今、ただのかぜ、しかも感染するのは専ら子どもと考えられていたRSウイルス(Human respiratory syncytial virus、RSV)が、インフルエンザ以上に、成人、とくに高齢者の肺炎死や持病の悪化に関係していることが明らかとなり注目されています。
RSウイルスは、他のかぜウイルス同様におもに飛沫感染します。左図(GSKより提供)のごとく、インフルエンザ同様、直接的、間接的に接触感染することもあります。ウイルスを含んだ飛沫は1〜2m程度飛び散り、付着してからも数時間は感染性を保ちます。
感染された方は、3〜8日間感染力を持続し、高齢者の場合より長期間にわたりウイルスを排出する可能性があります。そのため、中図(GSKより提供)の如く、基本再生産数(R0)(1人の感染者が、何人に感染させるかの平均値)は、インフルエンザが1〜3なのに対してRSウイルスは3程度と、RSウイルスはインフルエンザより感染力が強いです。
上述の如く、従来RSウイルスは専ら子どもが罹る病気と考えられていました。実際、2歳までにほぼ100%が感染します。しかし、COVID-19同様、自然感染後の免疫応答が不完全で長続きしないため、RSウイルスは生涯にわたって何度も繰り返し感染することが分かってきました(右図、GSKより提供)。
このことから、幼児や学童がいる家庭では家族内、子どもから大人に繰り返し感染していることが推測されます。

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2024/04/15 
「RSウイルス感染症とそのワクチンについて」(その2)

RSウイルス感染症の症状は左表(GSKホームページより転載)の如くです。
いわゆる風邪、上気道感染症状ですが、下気道感染(細気管支炎)を合併しやすい傾向があります。臨床経過をインフルエンザと比べると(中図、GSK提供)、潜伏期間が4〜5日、罹病期間(上気道・下気道)が6〜8日とインフルエンザより長引く傾向があります。
このようにインフルエンザより病期が長く、下気道症状が出やすい傾向はありますが、普通感冒の起因ウイルスですから、RSウイルス感染症は一般に軽症です。しかし、まれに重症化することがあります(右図、GSKより提供)。

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2024/04/15 
「RSウイルス感染症とそのワクチンについて」(その3)

RSウイルス感染症はまれに重症化し肺炎を発症するだけでなく、他の気道感染同様、持病の喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患=肺気腫や慢性気管支炎)や心不全を悪化させます。
重症化しやすい方(60歳以上、喘息、COPD、心不全、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)、糖尿病、慢性腎臓病、免疫機能低下者)
は左図(GSK提供)の如くです。
中図(GSK提供)の如く、これら基礎疾患のある患者さんがRSウイルスに感染すると、ない方に比べて数倍から数十倍入院する確率が高くなっています。
皆さんが良くご存知のインフルエンザと比較すると、各々で入院した場合、右図(GSKより提供)の如く、RSウイルスの方がインフルエンザより肺炎発症率、死亡率が高く、重症化し易いことが分かります。

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2024/04/15 
「RSウイルス感染症とそのワクチンについて」(その4)

上述してきたように肺炎には、

1、ウイルス感染そのものが起因菌となって発症したもの(ウイルス性肺炎:COVID-19等)
2、ウイルス感染により細菌の二次感染が誘発され発症したもの(二次感染による細菌性肺炎)
3、ウイルス感染を介さず細菌感染そのものが起因菌となって発症したもの(細菌性肺炎:肺炎球菌、マイコプラズマ肺炎等)

があります。また、複数の菌が同時に感染して発症する場合もあり、その経過に多数の病原体が関与するため、起因菌を明確に同定できないことがしばしばです。市中肺炎における細菌性肺炎では、肺炎球菌が最も多く起因菌の約4割を占めます。
一方、肺炎患者におけるウイルスの関与は左図(GSK提供)の如くになります。
ウイルスを同定できない例が7割以上です。この73%の意味は、ウイルスが関与していない可能性もありあますが、関与はしているが技術的に同定できていない可能性(ウイルスの同定は技術的に難易度が高い)もあります。一方、ウイルスが同定できたからといってそのウイルスが肺炎の原因と決めつけるわけにはいきません。上述の如く複数の菌が関与している場合もあり、そこに存在したからといって必ずしも原因菌とは限りません。なんだか話をややこしくしてすみません。
ただ、注目すべきデータは、肺炎患者におけるインフルエンザとRSウイルス同定の頻度が同程度だということです。上述の如く、インフルエンザより重症化し易いRSウイルスは、インフルエンザ以上に要注意であるといえます。
以上のような状況から、RSウイルス感染症は乳幼児で多くみられるものの、高齢者では重症化率が高いため、中図(GSK提供)の如く、日本では、毎年60歳以上の方のうち約70万人が感染、6万人余りが入院、約4,500人が入院死しているものと推測されています。インフルエンザによる年間死亡数は2,000人弱であることを鑑みれば、RSウイルス感染症が如何に臨床的重要度の高い疾患であるかが解ります。

RSウイルス感染症ワクチンについて

右図(GSK提供)は、RSウイルス感染症の診断、治療及び予防です。
インフルエンザ以上に臨床的重要度の高い疾患にも関わらず、RSウイルスはインフルエンザや新型コロナウイルス感染症と異なり、特異的な治療法がありません。また、ワクチンもつい最近までなく、なすがままの状態でした。しかし、その臨床的意義を鑑み、漸く今年ワクチン(商品名:アレックスビー)が開発、上梓されました。
このワクチン、60歳以上を対象に接種すると有効率は82.58%でした。つまり、未接種の方がRSウイルス感染症を100人発症した場合、接種者は17.5人しか発症しないことになります。また、COPD、喘息、糖尿病、慢性心不全、肝硬変、慢性腎臓病の基礎疾患が一つでもある方を対象とした試験でも、その有効率は何と94.61%でした。一方、ワクチンにありがちな副反応ですが、接種部位の疼痛が60.9%と多かったですが、発熱された方は2%でした。また、頭痛、疲労感、筋肉痛、関節痛等が30%前後で見られています。しかし、重篤な有害事象はありません。帯状疱疹ワクチンシングリックスと同じメーカーが同様の技術で開発したワクチンですが、副反応の主因であるアジュバント(ワクチン効果を高めるために加える物質)の量がシングリックスワクチンに比べ半減しているため、副反応はシングリックスより少ないようです。当院では既に700人位の方がシングリックスワクチンを接種されているのでイメージが湧きやすいと思います。
最大の難点は高価な点で、28,000円です。当院で接種するワクチンで最も高価です。帯状疱疹ワクチンシングリックスは1回22,000円で2回接種(合計44,000円)し、11年間効果が持続しました。一方、アレックスビーは28,000円の1回接種ですが、その効果は2、3年程度ではないかと考えられています(開発間もないため、まだ治験が進行中です)。つまり、1年当りの費用は、シングリックスが4,400円なのに対し9,000円になります。

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2024/04/15 
「RSウイルス感染症とそのワクチンについて」(その5)

よい機会なので、私自身のワクチンに関する考えをまとめ、ご説明します。
下図の如くワクチンを接種すべきか否かは、メリットとデメリットを天秤に掛けて判断しています。

ワクチン接種のメリット:

1、ワクチンが対象とする病気になり難くなり、健康、命を守ることができる。
メリットといっても対象疾患によりその程度は大きく異なります。
帯状疱疹で亡くなる方は誰もいませんし、自然治癒します。しかし、後遺症で数年間にわたり激痛に悩まされる方がいます。また、顔面神経麻痺や尿洩れ、便失禁の後遺症が残る方も。ですから、その予防的意義は大きいです。とくに、帯状疱疹後神経痛の後遺症が出やすいと言われている高齢者はメリットが大きいと言えます。ただ、水疱瘡罹患歴のない方は帯状疱疹を発症しませんから、そのような方には帯状疱疹ワクチンはまったく無意味、メリット0のワクチンといえます。
一方、新型コロナ感染症の初期、武漢株〜デルタ株の致死率は5%以上で、ワクチン接種しなければ日本国民600万人が亡くなっていました。しかし、ワクチン接種による致死率減少効果は99%、594万人の命を救い、その効果は計り知れませんでした。とくに90歳以上の方のCOVID-19致死率は20%近かったことを考えれば、その効果は絶大であったといえます。しかし、無人島で誰とも会わず一人暮らしされている方(日本には実際そのような方がいます)は、新型コロナに感染することは絶対ありませんから、そのような方には新型コロナワクチンはまったく無意味、メリット0のワクチンといえます。
子宮頸癌予防のためのHPVワクチンも然です。性行為により感染するHPV感染を予防するワクチンです。ですから、処女のままカトリックのシスターになった方には、HPVワクチンはまったく無意味、メリット0のワクチンといえます。
2、ワクチン対象疾患罹患による治療費削減
ワクチンで病気が予防できれば、病院に掛かる手間、治療費を節約できます。
3、ワクチンによっては、家族など周囲の人に感染させるリスクを減らせる
たとえば、夫が風疹ワクチンを接種すれば、妊娠している妻が風疹に罹患し先天性風しん症候群になるリスクを減らせます。しかし、妻が閉経し、今後妊娠する可能性がない場合、夫の風疹ワクチン接種のメリットは半減します。

以上のように、たとえ同じワクチンデモ、どのような方を対象に接種するかによって、そのワクチンの意義、メリットは大きく異なり、場合によってはまったくメリットのない場合もあります。ですから、ワクチン接種を検討する場合、そのワクチンの効果が最大限になるよう適切な対象者に絞って接種すべきです。後述のようなワクチン接種によるデメリットが一切ないのなら、敷居を低くして誰彼となく接種してもよいかもしれませんが。

ワクチン接種のデメリット:

1、接種費用、金銭的負担が発生する。
新型コロナワクチン等一部のワクチンは無料ですが。
上述の帯状疱疹ワクチンシングリックスが上梓された折、そのメリットの大きいことは十分認識されていました。しかし、44,000円と高価だったため、接種される方は限られていました(1年で10人足らず)。しかし、昨年度から三鷹市では一部接種費用公費助成が始まり、24,000円で接種できることになりました。すると、接種希望者が急増、1年で700人位が接種しています。やはり、接種費用公費負担によるデメリット軽減効果は大きいと言えます。
2、副反応がある。
少なくとも注射ですから必ず痛いです。また、上述の如く発熱したり、接種部位が腫れたり、全身倦怠感が出ることもあります。極めてまれですが、最悪亡くなる方もいます。ただ、そのような場合も、国の予防接種後健康被害救済制度を利用し、金銭的には補償されています。

以上ですが、では、このアレックスビーに置き換えて考えてみると、副反応はさほど酷くありませんが、高価です。ですから、十分メリットのある方が接種すべきです。若年者はRSウイルス感染症に罹患しても大抵軽症ですから、60歳以上がこのワクチンの対象になっています。確かに昨今高齢化社会となり肺炎死が増加しているとはいえ、60歳以上の方が誰彼となく肺炎になるわけではありません。ですから私としては、60歳以上で、肺炎既往歴のある方、気管支喘息、COPD(=慢性閉塞性肺疾患、肺気腫+慢性気管支炎)、気管支拡張症(肺結核既往歴、非結核性抗酸菌)の持病のある方にまずはお勧めします。この方々は、最期、肺炎が死因になる、換言すると寿命が肺炎発症の有無で決まる確率の高い方々です。ですので、この方々には支払った額に見合う十分なメリットがあると思います。
また、呼吸器疾患の持病がなくとも、心不全、糖尿病、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の持病があるとRSウイルス感染症が悪化しやすいことをご説明しました。さらに、RSウイルス感染症が逆にそれら基礎疾患を悪化させ重篤化することを。そう考えると、上記呼吸器疾患の持病に加え、心不全、虚血性心疾患、糖尿病、癌、認知症等の持病のある方も接種をお勧めします。

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2024/04/15 
「青汁王子の無知、無責任発言にただただあきれて」

数日前のヤフーニュースの見出しのに「青汁王子「ワクチンでは2千人以上が亡くなってるが…」小林製薬の紅麹サプリ問題で私見」というのを見た。その内容を全文転載すると、

「「青汁王子」こと実業家三崎優太氏が10日までに、X(旧ツイッター)を更新。小林製薬の紅こうじの成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症した問題について言及した。
三崎氏は「小林製薬の紅麹サプリによる健康被害で死亡したのは高齢者で既往症持ちが大半」と切りだし「これで全てサプリのせいにするのは無理がある」と記述。「同じく問題のワクチンでは2千人以上が亡くなってるが、その扱いとは天と地ほども差。本当に問題とされるべきことに焦点が当たらないことに違和感を感じる」と私見をつづった。
 厚生労働省は9日に小林製薬の「紅こうじ」サプリメント摂取との関連が疑われる死亡例として同社から報告があった5人のうち、3人に前立腺がんや悪性リンパ腫などの既往歴があったと明らかにした。年代は70代3人、90代1人、不明1人。性別は女性3人、男性2人としている。」
となる。
正直、その無知、無責任にあきれるばかりだ。ご本人としては、5人より2,000人死んでいる方がよほど問題だと言いたいようであるが、よくよく考えて頂きたい。

一、「ワクチンで2,000人以上亡くなった」との数字は、厚労省調査によるワクチン接種後の死亡報告数を指しているようだ。以前の院長コラムでも述べたが、この数字、何でもいいからワクチン接種後に死んだ方の人数を数えたものだ。
年間心臓病で約20万人が亡くなっている。つまり、ワクチンを接種しなくとも毎日平均550人位が心臓病で亡くなっている。そのうち何人かが死ぬ数日前にワクチンを接種すると、ワクチン接種後死亡者数にカウントされていくのである。たとえワクチン接種せずとも死ぬ運命だったのに。マックでハンバーガーを食べた翌日死んだらマック食事後死亡者数にカウントされるが、マックが原因とは誰も言わない。だから、2,000人という数字も、あたかもワクチン接種の副反応が原因で死亡したかのように言うのは間違いである。
しかも、この2,000人の大半が私の知る限り高齢者や基礎疾患のあった方だ。三崎氏は「小林製薬の紅麹サプリによる健康被害で死亡したのは高齢者で既往症持ちが大半」というなら、「ワクチン接種後に死亡したのも高齢者で既往症持ちが大半」とコメントすべきである。
因みに現在のところワクチン接種と因果関係が否定でいないとされた死亡例は、そのうちたったの3例である。紅麹サプリの5人より少ない!

二、新型コロナワクチンの場合、初回接種等は日本国民のほぼ全員、1億2千万人が接種した。合計7回目まで接種。初回接種後、接種率が下がったとはいえ、のべ接種回数は4億位にはなるだろう。4億回接種してして因果関係が否定できず亡くなった方は3人、ということは1.3億分の1の確率でワクチン接種により亡くなったことになる。
一方、紅麹サプリでは既に5人が因果関係濃厚で亡くなっている。いったい何人が摂取したか不明だが、100万人摂取したと仮定してみると、20万分の1の確率で紅麹サプリにより亡くなったことになる。その差650倍、紅麹サプリの方が断然危険なのは明らかである。

三、1.3億分の1であろうと20万分の1であろうといいことではない。薬害は極力0を目指すべきである。しかし、薬と飲まずとも、食事をしただけで死ぬこともある。フグ、毒キノコ、生カキで劇症肝炎、O157の出血性腸炎、数えあげたらきりがない。少しでも危険を回避しようと、フグや生カキ等を食せずとも、100%安全な食生活はない。100%安全な方法は唯一何も食べないことだ。しかし、それでは餓死してしまう。だから、多少リスクがあったとしても食べた方がメリットは断然大きい。
では、ワクチン接種はどうだろう。新型コロナ感染症COVID-19の初期の致死率は5%強だった。だから、芸能人、有名人もバタバタと死んだ。ワクチン接種しなければ1.2憶人の5%、600万人の日本国民が死亡する危機だった。しかし、ワクチン有効率は極めて高く致死率減少効果99%、594万人の命を救う有効性だ。ワクチン接種副反応で亡くなった方が3人だけなのか、もっと多いのか正確な数字は不明だが、食事と同じこと、どう考えても接種するメリットの方が大きい。100%安全ではないが、接種しないよりした方が、明らかにメリットが大きいから接種すべきだ。
紅麹サプリはどうだろう。食べないと何か困ったことになるのだろうか。ましてやCOVID-19のように命を落とすことがあるのだろうか。機能性食品というくらいだから、多少のメリットはあるのかもしれない。しかし、紅麹サプリを摂取しなかった残りの1億1900万人の日本国民がばたばた死んでいった話など聞いたことがない。つまり紅麹サプリは摂取してもしなくてもいいようなものだ。つまりメリットとデメリットの差がそれほど大きくない。だから薬ではなくサプリメントなのだ。にも変わらず、死者が出た。だから問題なのだ。これ程、効用、臨床的意義に違いのある新型コロナワクチンと紅麹サプリを同等に扱って比較するのは余りにも無知すぎる。生半可な知識でコメントするのは如何なものか。サプリメント販売会社元社長のセールストークなのだろうと勘繰りたくなる。

2024/03/15 
「最近の麻疹(はしか)感染症例について」

 マスコミ報道等でご存知のことと思いますが、東京、大阪で麻疹(はしか)感染症例が相次いでいます。麻疹がどのような病気かは、厚生労働省のホームページに簡単にまとめてあります。そちらを御参照下さい。当院のホームページの「麻疹(はしか)流行を考える」に昨今なぜ麻疹が流行するのか、詳細に解説しています。そちらも御参照下さい。
 それらにも記載されているように、麻疹の死亡率は0.1%、脳炎発症率0.1%とインフルエンザや現在の新型コロナウイルス感染症(初期のデルタ株はもっと致死率は高かったですが、現在のオミクロン株の致死率は下がっています)より、よほど重症化率が高く、感染力もインフルエンザの10倍で、非常に恐ろしい病気です。ですので十分感染予防に留意する必要があります。では、肝心なその対策ですが、

1、過去に麻疹に感染したと100%間違いなく断言できる方は、免疫を獲得していると考えられますので、ワクチンは不要です。ただ、稀に免疫が低下している方もいます(理由は当院ホームページの「帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛や顔面神経麻痺ワクチン(予防接種)について」で解説しています)。念のため、1回のみワクチン接種(MRワクチン、当院では1回8,800円)をした方が確実と言えるでしょう。ただ、現在麻疹ワクチンが品薄でほとんど入手困難にてなっていますので接種は難しいです。

2、過去に麻疹に感染したと断言できない方(幼少の頃の話です。麻疹(はしか)に感染したと思っていても、実は三日ばしか(風疹)だった可能性もあります。何せ昔のことですから)の場合、過去の麻疹ワクチン接種状況によって対応が変わります。

2−1、〜1972年9月30日生まれの方は、ワクチンを一度も接種していない可能性が大です。少なくとも1ヶ月以上間隔を空けて、ワクチンを2回接種して下さい。

2−2、1972年10月1日〜2000年4月1日生まれの方は1回接種しているはずなので、1回のみワクチンを追加接種して下さい。

2−3、2000年4月2日以降に生まれた方は、2回接種しているはずなので、ワクチン接種は不要です。

上記、3パターンはいずれも一般論です。何かの事情でワクチン未接種となっている可能性もあります。必ず母子手帳で接種歴を確認して下さい。確認できない場合、未接種者として2回接種する方が安全です。過去に2回接種されている方が、今回また2回接種しても副反応の増強はなく、ただ、免疫がより強化されるだけです。
また、ワクチンの追加接種を出来るだけ避けたい方(例えば妊婦は生ワクチンである麻しんワクチンを接種できません)は、事前に採血で抗体価を測定、免疫があるか否か調べることもできます。ただ、この抗体検査は保険を利用できず、自費診療(当院では2,060〜5,870円:まったく初診か、通院のついでか、採血検査のついでか等で料金は異なります)になります。その結果、十分免役があればワクチン接種は不要です。

2024/02/26 
「脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)におけるパラダイムシフトについて」(その1)

近年、内臓脂肪蓄積により糖尿病、高血圧、脂質代謝異常等の異常が重複するメタボリック症候群(以下、メタボと略す)が問題となっています。メタボとは、単なる肥満ではなく、内臓脂肪(皮下脂肪ではない)が蓄積することにより発症する病態で、その部分症として、脂肪肝を高率に合併します。脂肪肝は文字通り肝臓に脂肪が蓄積した状態です(厳密には肝細胞に5%以上蓄積した状態。換言すると5%未満は正常)。
私が医者になりたての頃は、「太りすぎが原因の脂肪肝は、治療に薬は不要で、減量により簡単に治り、死ぬこともないので、アルコール性肝炎やB型、C型ウイルス性肝炎に比べると臨床的に重要ではない。」といった考え方でした。
一方、昨今、当院ホームページの「当院でのB型及びC型ウイルス性肝炎の診療について」で記載したように、ウイルス性肝炎の診断や治療法が著しく進歩、ウイルス性肝炎に合併する肝細胞癌が徐々に減少、撲滅も見え始めました。逆にそのことで、B型やC型肝炎を合併しない肝臓癌、具体的には、脂肪肝を基礎疾患とする肝臓癌(左図、当院で発見された脂肪肝に合併した肝臓癌症例)の存在がクローズアップされています。つまり、以前、“大した病気でない”と考えられたいた脂肪肝が肝臓癌発症の原因となりうることが明らかになり、脂肪肝に関する新しい疾患概念が確立、脂肪肝診療にパラダイムシフトが起きています。

脂肪肝(FL=Fatty liver)は、アルコール性脂肪肝(Alcoholic FL)と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD=non-alcoholic FL disease)に分かれます。
非アルコール性とはエタノール換算で1日男性30g、女性20g以下の飲酒量であることです(その他、薬剤や遺伝性疾患等による二次性脂肪肝もNAFLDから除きます)。このように、飲酒を主たる原因としない脂肪肝NAFLDの有病率は約30%と高率(日本人の肝疾患の中で最多。男性にやや多く、女性の場合高齢者に多い)で、昨今のメタボ化を反映しています。当然ですが、肥満の程度とNAFLD有病率は相関し、BMIが28以上の方では、なんと80%以上の有病率です。ただ、NAFLDの方が皆肝臓癌になるわけではありません。NAFLDのうち10〜20%(おそらく何らかの遺伝的因子が関係)が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH=non-alcoholic steatohepatitis)という進行性の病態に至り、約20年の経過を経て5%が肝硬変(肝線維化が進行、肝臓が硬くなった状態)に、さらに5〜10年後に非代償性肝硬変(肝硬変がさらに進行、黄疸、腹水、肝性脳症、出血傾向等の身体所見が出現、治療抵抗性に進行する病態)に、そしてさらに1〜5年後にNAFLDのうち1〜2%の方が肝臓癌や肝不全で亡くなります。つまり、NAFLD100人中、亡くなる方は1〜2人程度ですが、もともと日本人の約30%という高い有病率(ウイルス性肝炎の約8倍)の病気ですから、いずれ20〜40万人が亡くなることになり、臨床的に非常に重要な疾患といえます。因みに、NAFLDのうち、肝癌リスクの高いNASHではない病態を非アルコール性脂肪肝(NAFL=non-alcoholic fatty liver)、単純性脂肪肝といいます。
NAFLDは単なる肝臓病と捉えるべきではありません。NAFLDの背景因子がメタボのため、脳卒中、虚血性心疾患等の心血管イベント(1.6倍)、大腸癌(2倍)、女性の乳癌(2倍)等も発症しやすいことが分かっています。

近年、大規模臨床研究の成果から、脂肪肝の程度より肝線維化の程度が、肝硬変への進展や肝臓癌発症のみならず、心血管イベントや肝癌以外の発癌と密接に関係していることが明らかになりました。肝線維化の最も確実な診断方法は、肝生検(肝臓に針を刺し、肉片の一部を切除する)による病理学的検査で、肝臓の線維化のstageは、F0:線維化なし、F1:軽度の線維化、F2:中等度線維化、F3:高度線維化、F4:肝硬変、に分類されます。しかし、肝生検によるサンプリング量は肝全体のわずか1/50,000。脂肪肝病変には肝臓内不均一性があり、必ずしも肝臓全体の病変を代表しているとはいえません。さらに、肝生検は入院が必要な侵襲的検査で簡単に実施できません。
また、MRI検査を利用した肝MRエラストグラフィ(MRE)による肝弾性度=線維化測定も非常に有用ですが、検査機器を利用できる施設が限られ、また検査費用が高額でスクリーニングには向いていません。
その代用として、採血検査による肝線維化マーカー、例えば血小板(NASHにおいて血小板が19万以上ならF0〜2、19万以下ならF3、15万以下ならF4と推測されます)、ヒアルロン酸、W型コラーゲン7S、M2BPGi、オートタキシンが保険適応となっており診断に利用されています。
また、採血検査など複数の検査結果を用いたスコアリングシステムとして、FIB-4 index(当院でもNAFLDが疑われる症例に実施しています)やNAFLD fibrosis score(NFS)等も利用されています。
一方、簡便、低侵襲で、かつ検査費用が廉価な腹部超音波検査では、従来、肝臓の形態観察により、肝線維化を主観的、定性的に捉えても、客観的、定量的に測定することは来ませんでした(超音波検査による肝線維化の進行した肝硬変所見。中図、実質エコーの粗造化。右図、肝表面不整)。

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2024/02/26 
「脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)におけるパラダイムシフトについて」(その2)

しかし、最近、超音波検査を使用したFibro scan、Shear wave elastography(SWE)、RTE(LF index)法等が開発され、軽度から客観的に肝線維化を評価可能となっています。当院でも昨年新しい超音波検査装置を導入、SWE法やRTE法による肝線維化定量測定を開始、NASHの疑われる方に実施しています。何れにしても各種の採血、画像診断には一長一短あるため、それらを総合的判断することが大切です。

上述の如く、NAFLDはメタボを背景としているため高血圧、糖尿病、脂質異常症と高率に併存しています。そのため、高血圧の37%、糖尿病の31%がFIB-4 index高値との報告があります。高血圧、糖尿病、高トリグリセライド(中性脂肪)血症の方は積極的に腹部超音波検査を受けて下さい。
また、上述の如く、NAFLDは、肝臓癌、肝不全のみならず、心血管イベントや肝臓以外の癌の原因になりますが、肝線維化stage0〜3では肝臓以外による死亡、F4(肝硬変)では、肝関連死が多いです。実際、NAFLDの肝臓癌発症率は年0.044%と低値ですが、NASHでは0.529%と10倍になり、さらに肝硬変進展例では2.26%と著増します。B型肝硬変発癌率が3%、C型肝硬変が6%であることを考慮、NASH肝硬変患者では、肝炎ウイルス患者同様、年2〜3回の肝臓癌スクリーニング画像診断が推奨されています。

このように、脂肪肝の臨床的意義の高まりから、その正確な診断の重要性が増しています。しかし、NAFLDには診察して気付くような特徴的な自他覚症状や身体所見はありません。脂肪肝の最も確実な診断方法は、やはり肝生検による病理学的検査です。しかし、入院が必要で侵襲的であり簡単に実施できません。また、MRI検査を利用した脂肪定量も有用ですが、検査機器を利用できる施設も限られ、また検査費用が高額でスクリーニングには向いていません。そのため、簡便、低侵襲で、かつ検査費用が廉価な腹部超音波が専らスクリーニング検査として使用されています。しかし、“通常の”腹部超音波検査の感度は低く、30%以上の脂肪化がないと拾い上げられません。換言すると5〜30%の軽度の脂肪肝は見逃されることになります。また、“通常の”腹部超音波検査での診断は画像の印象による定性的な判断で、定量的かつ客観的に測定することはできず(超音波検査による脂肪肝所見。左図、高輝度肝。中図、肝腎コントラスト。右図、深部減衰)、上述の肝線維化評価と同じ状況でした。

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2024/02/26 
「脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)におけるパラダイムシフトについて」(その3)

ところが、近年、超音波検査による“減衰法”が開発、肝生検やMRI検査と比較し感度、特異度とも約80%と良好で、脂肪肝定量評価方法として推奨されています。当院でも昨年新しい超音波検査装置を導入、減衰法による脂肪肝定量測定を開始、NAFLDの疑われる方に実施しています。
また、超音波検査を受けずとも、Fatty Liver Index等のスコアリングシステムを使用すると採血結果等(BMI、腹囲、トリグリセリド、γGT値)から、脂肪肝の存在を推定することができます。ご自身の職場での定期健康診断の検査値だけで判定できますから、試してみて下さい。計算方法は難解ですが、ネット上に自動計算するサイトが多数あるので、そちらを利用して下さい。

NAFLD疑い≒肥満+メタボ(高血圧、糖尿病、脂質異常症)+肝機能検査異常、を認める症例における超音波検査の意義をまとめると、

1、 脂肪肝の有無、程度
2、 肝線維化の有無、程度
3、 肝癌併発の有無

にあると言えます。

上述の如くNAFLDは予後良好なNAFLと不良なNASHに分かれますが、両者は相互に移行します。NASHは生活習慣の改善によりNAFLになりますし、逆に生活習慣の悪化によりNAFLはNASHになります。NAFLD治療の根本は、メタボ脱却と肝線維化進展予防です。生活習慣改善は体重減少、食事療法と運動療法が基本で、低カロリー食、低炭水化物食、低脂肪食、飽和脂肪酸接種制限です。体重減量で明らかに改善します。考えようによっては、治療法は安上がり。NAFLD、とくにNASHと診断された方は、真剣に生活習慣是正に取り組んで下さい。

2023/06/30 
「帯状疱疹ワクチンQ&A」

 すでに都内も含め全国的に帯状疱疹ワクチンに対する助成が始まっていますが、三鷹市でも今年6月から帯状疱疹ワクチンに対する一部助成が始まりました。また、1ヶ月足らずですが、既に100人以上の方が予約されています。6月以降帯状疱疹ワクチン接種を希望される方が急増すると予想、事前にweb予約できるようにしておいて本当によかったです。でないと、頻繁に電話が鳴り、外来受付スタッフが悲鳴を上げています。帯状疱疹ワクチン接種ご希望の方は当院の帯状疱疹ワクチンweb予約システムをご利用下さい。
 さらに、予約されずともワクチンに関していろいろと質問を受けます。その中に想定していなかった質問もありました。
 そこで、代表的な質問に関してQ&Aを作成しました。是非、ご参考にして下さい。なお、接種費用一部助成に関する記述は、あくまでも三鷹市の助成に関するものです。各自治体により制度内容は異なります。もちろん、助成のない自治体もあります。それぞれのお住いの制度については、お住いの市役所にお問い合わせ下さい。三鷹市の助成制度の詳細については三鷹市ホームページを、また、帯状疱疹については、当院ホームページの帯状疱疹の解説をご参照下さい。

Q「水疱瘡に罹ったことがありません。ですから帯状疱疹になるはずがありません。それでも、帯状疱疹予防ワクチンを接種する必要はありますか?」
A「1、50歳以上の日本人の水痘帯状疱疹ウイルスVZVに対する抗体保有率(ワクチンを接種していない方が抗体を持っているということは過去に感染したことを意味しています)はほぼほぼ100%です。ですから、水痘罹患歴がないというのは統計的には極めて稀な例になります。仮に、水痘罹患歴の記憶がなかったとしても、何せ50年近く昔のこと(ワクチン対象者は50歳以上で、9割以上の方が5歳未満で水痘に罹患するので)ですから、水痘罹患歴を失念、記憶違いの可能性もあるでしょう。さらに、水痘は少ないながらも5%程度の不顕性感染(感染しても症状がない)例も存在します。ですので、絶対に水痘罹患歴がないと断言するのは不可能です。
2、不必要なワクチン接種に抵抗があるなら、事前に水痘抗体検査(VZV-IgG/EIA)を受け、罹患歴を確認する方法もあります。ただし、この場合、検査費用は自費になるので4,000円近く掛かります。
3、もし、本当に水痘罹患歴がなかった場合、帯状疱疹には絶対なりませんが、逆に水痘に罹る危険性があります。成人初感染の水痘は、小児期と比べ、重症化しやすく脳炎や肺炎の合併例も多いことが知られています。水痘患者に接しなくとも、帯状疱疹患者に接することで感染する可能性もあります。
ですから、水痘罹患歴のない方は、逆に水痘予防の観点からワクチン接種の対象者となります。ただ、この場合、水痘発症予防に適応のある乾燥弱毒生水痘ワクチンのみしか接種できません。また、三鷹市の助成制度は帯状疱疹予防目的の制度ですから、対象外となります。」

Q「既に一度、帯状疱疹に罹ったことがあるのですが、帯状疱疹ワクチンを接種する必要はありますか?」
A「帯状疱疹は一生に一度しか罹らないわけではありません。一度帯状疱疹なった方の約1割が2度なり、3回罹る方もいます。ですので、ワクチンをお勧めします。なお、以前罹患してからどれくらい間を空けて接種すればよいかデータはありません。帯状疱疹が治っていればいつでもよいでしょう。」

Q「帯状疱疹ワクチンは、インフルエンザや新型コロナワクチンと異なり、5年、10年と長期間効果が持続すると書いてあります。その有効期間が過ぎたらまた再接種するのですか?」
A「2016年から帯状疱疹に使用される生ワクチンは約5年効果が持続するため、既に1回目接種後5年が経過、2回目接種されている方もいます。一方、不活化ワクチンのシングリックスは2020年に上梓、開発時から現時点迄で約10年間効果持続が確認、さらに、より長期に効果が持続すると予想されています。数理モデルシミュレーションでは20年位効果が持続するのではないかと予想されています。このように、不活化ワクチンシングリックスは10年以上、いつまで効果が持続するか明確なデータがないため、2回目接種に関して方針が示されていません。楽観論では、70歳以上で接種すれば90歳以上まで効果が持続、再接種不要と言えますし、悲観論では、50歳で接種、60歳で効果が切れたとき、どうすればいいか不明(最悪、何かの事情で、再接種不可にならないとは限らないので)と言えます。
因みにどちらのワクチンも有効期限が来たからといって、いきなり効果が0になるわけではなく、漸減していきます。

Q「6月1日助成開始以前、既に帯状疱疹ワクチン接種済みで、その効果がまだ持続しています。それでも今年接種する必要はありますか?」
A「私もそうですが、健康意識の高い方の中には、6月1日の助成制度が始まる前に、既に全額自費で帯状疱疹ワクチンを接種された方がいます。帯状疱疹ワクチンの有効期間は各々およそ5年、10年と言われているので、6月1日の時点でまだ有効期限が切れていない場合、次回接種をするには早すぎます。ですので、その有効期限が切れた頃に再接種することをお勧めしています。ただ、その頃、三鷹市の助成制度が継続しているか否かについて私は関知していませんが。

Q「生ワクチンと不活化ワクチンの料金も含めてその違いを教えて下さい。また、どちらを接種すればいいのですか?」
A「生ワクチン=乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)は1回の接種で5年間効果が持続します。一方、不活化ワクチン(シングリックス)は2カ月間隔で2度接種し10年間効果が持続します。両者を比較する場合、効果持続期間を揃えないと正確に比較できません。例えば、効果持続期間1年と10年のワクチンを比較する場合、10年の方が1年のワクチンの10倍の価格だったとしても、結局支払う料金は同じになりますから。帯状疱疹ワクチンの場合、当院に於いて10年間で比べると、
1、生ワクチンは1回目;4,260円(当院の定価8,260円−4,000円の助成)です。5年間効果が持続、2回目は三鷹市の助成がないので、5年後に8,260円で2回目を接種、10年間で合計12,520円支払うことになります。
2、一方、不活化ワクチンは1回目12,000円(当院の定価22,000円−10,000円の助成)、その2か月後に2回目12,000円(当院の定価22,000円−10,000円の助成)を接種、10年間有効と仮定(上述の如く、実際は10年以上効果が持続すると予想されています)すると合計24,000円支払うことになります。
結局10年で比較すると、不活化ワクチンの自己負担額は約2倍になります。
一方その効果ですが、生ワクチンは、有効率約50〜70%(未接種者100人の帯状疱疹が30〜50人に減少、不活化ワクチン(シングリックス)は有効率約90%(未接種100人の帯状疱疹が10人に減少)と10年で比較すると、不活化ワクチンの効果は約4倍になります。
たまにご高齢の方から、「余命10年もないのに10年間も効果が持続するワクチンは無駄です。」と言われることがあります。私は「意外にもっと長生きするかも」と返答をすると、さらに「そんなに長生きしたくありません」と返されることも。どちらを選択するかは、ご本人にお任せしています。

Q「帯状疱疹ワクチンに副反応はないのですか?」
A「生ワクチンでは、接種部位の局所症状として、注射部位の発赤、そう痒感、熱感、腫脹、疼痛、硬結(10~50%未満)、発疹、倦怠感(1~5%未満)、等が出現することがあります。その他、まれに重大な副反応としてアナフィラキシー、血小板減少性紫斑病、無菌性髄膜炎が現れることがあります。
一方不活化ワクチンは、注射部位の疼痛(50%以上)、注射部位の発赤、腫脹、胃腸症状、頭痛、筋肉痛、疲労、悪寒、発熱(10〜50%未満)、注射部位のそう痒感、熱感、倦怠感(1〜10%未満)等が出現することがあります。その他、まれですがアナフィラキシー反応も現れることがあります。
総じて、新型コロナワクチンに比べると副反応は少ないようですが、私自身はシングリックス2回目接種後の倦怠感が強かったです。

Q「水疱瘡感染歴がない者が、帯状疱疹ワクチンを接種したため、それが原因で将来帯状疱疹になる可能性はないのですか?」
A「上述の如く、そもそも50歳以上で本当に水痘感染歴がないのか怪しいところです。感染歴がないと仮定すると、不活化ワクチンシングリックスは、本物のウイルスでないので、それを接種して帯状疱疹ウイルスが体内に潜伏感染することはなく、将来の帯状疱疹発症の可能性はありません。一方、生ワクチンも、野生株と異なりワクチン株は神経節に冬眠することはなく、その可能性は低いと考えられています。」

Q「帯状疱疹ワクチン接種後、コロナワクチンのように15分間院内で待機しなければならないのですか?」
A「シングリックスでは添付文書に「ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後30分程度は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察することが望ましい。」と記載があり、不活化ワクチンシングリックス接種後、当院では、厳密に30分間院内で経過観察しています。一方、生ワクチンはこの限りでありません。

Q「接種した日、飲酒をしてもいいですか?」
A「生ワクチン、不活化ワクチンとも、接種日に飲酒は禁止されていません。しかし、「接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意」(添付文書)することになっているので、乾杯程度に控えるべきです。酩酊状態で健康監視は無理だと思いますので。

Q「新型コロナワクチンと一緒に接種できるのですか?」
A「新型コロナワクチンと最低2週間隔を空けて接種する必要があります。」

Q「6月1日助成開始以前、全額自分で支払って接種しましたが、その助成は受けられないのですか?」
A「少なくとも三鷹市では払い戻し制度はなく、残念ながら受けられません。しかし、三鷹市のホームページでは、「帯状疱疹ワクチン任意接種助成が受けられるのは生涯に一度限り(いずれか片方のワクチンのみ)です。」と記載されており、例えば、5年前に5年間効果が持続する生ワクチンを接種された方が、今年前回接種後5年経過、再接種する場合、助成の対象のとなります。4年前に接種した場合、来年の再接種時、この制度が続いていなたら、助成を受けられます。50歳以上が対象のワクチンですから、これから毎年50歳になる方のため、今後もこの助成制度は続くのではないかと予想されますが、助成制度が何年続くのか、私は関知しておらず不明です。詳しくは三鷹市ホームページをご参照下さい。」

Q「先生は接種したのですか?」
A「昨年、妻と一緒に接種しました。そのため助成を受けられませんでした。残念。」

Q「6月1日助成開始以前シングリックスワクチン1回目接種が済んでいます。2回目接種だけでも助成は受けられないでしょうか?」
A「上述のようにシングリックスは2カ月の間隔を空けて2回接種します。例えば、助成の始まる前4月に1回目を接種された方の2回目は助成が始まった6月に接種することになります。この場合、2回目だけ三鷹市は助成してくれます。上述の如く、1回目の払い戻しはありません。」

Q「6月1日助成開始以前シングリックスワクチン1回目を接種したあと、様々な事情で2回目接種期限の6ヶ月を過ぎてしまいました。どうしたらいいですか?助成を受けられますか?」
A「添付文書ではシングリックスワクチンの2回目接種間隔は、「1回目の接種から2か月後に2回目の接種を行うこと。1回目の接種から2か月を超えた場合であっても、6か月後までに2回目の接種を行うこと」となっています。三鷹市が助成するのは添付文書に従った正しい方法で接種した場合のみです。ですので、6カ月を過ぎてシングリックスワクチン2回目接種した場合、助成は受けられません。また、そもそも6カ月を過ぎた場合、2回目接種してよいのか否か、あるいは1回目から接種し直すのか、規定がありません。認められていない方法で接種し、接種後に健康被害が生じた場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施する「医薬品副作用被害救済制度」により治療費等一定の給付が受けられない可能性があります。さらに、三鷹市が加入する予防接種事故賠償補償保険による補償も受けられず、当院では6カ月を過ぎたシングリックスワクチン2回目接種はしていません。シングリックスワクチンを接種する方は、必ず6カ月以内に2回目を接種して下さい。それでも帯状疱疹予防を希望される場合、生ワクチンを接種して下さい。

2023/05/31 
「2023年5月8日からの新型コロナワクチン春開始接種について〜新型コロナオミクロン株はただの風邪ではありません!〜」(その1)

 ご存知のように5月8日から、
@65歳以上の方
A5〜64歳で基礎疾患を有する方、その他重症化リスクが高いと医師が認める方
B医療及び高齢者・障がい者施設等の従事者
を対象として、新型コロナワクチン春開始接種が始まりました。多い方は6回目の接種となります。因みに医療従事者の私も6回目。5月8日から新型コロナウイルス感染症(以下、ときどきコロナと略します)が感染症法上第5類に移行、感染対策が甘くなったのに加え、さすがに6回目ということで、接種希望者は以前より減っています。そのため、高齢の通院患者さんから、「6回目も接種した方がいいのですか?」と頻繁に質問を受けます。その質問に対する私の回答は「接種を強く強くお勧めします。是非接種して下さい。」です。
 そこで、その根拠となる私の考えをご説明します。
 多くの方が上述のような質問をし、ワクチン接種を躊躇している理由を列記すると、

1、初期の武漢株、デルタ株と比べ、オミクロン株、XBB.1.5変異体が流行する昨今、死亡者数が減少、毒性(病気を引き起こし重症化させる力)が低下しているようで、実際、世界中の多くの国々がマスクを外している中、接種の必要性を感じない(筆者註「長文ですみません」)
2、ワクチンの効果に疑問がある
3、ワクチンの副反応が心配

になると思います。
 まず、医学部生が感染症学の授業で教わる根本原理として宿主・病原体関係host-pathogen relationshipがあります。つまり、感染される側=宿主と感染する側=病原体の力関係です。感染して病気が発症、重症化するか否かはこの関係性で大きく異なります。
 例えば、宿主<<病原体の関係である、エボラ出血熱は90%の致死率で、感染するとほとんどの方が死亡します。一方、ただの風邪は宿主>>病原体のため、普通感冒で亡くなる方などほとんどおらず、大抵の方は数日で治ります。では、コロナはどうなのでしょうか?左図(神奈川県ホームページから転載)をご覧下さい。初期のデルタ株、現在のオミクロン株、どちらでも50歳以下で亡くなる方はほとんどいませんが、一方、50歳以上では加齢とともに致死率は急激に増加していきます。つまり、コロナは、50歳以下の若年者では宿主>病原体で、高齢者では宿主<病原体の関係なのです。このように相手が弱いと見て強気なる有様を日和見感染と呼びます。
 年齢だけではありません。中図(国立国際医療センター資料。NHK「新型コロナと感染症・医療情報」より転載)にあるような基礎疾患があると、コロナでは宿主<病原体の関係が成立してしまいます。以上のような話しはこれまで何度も報道されているところで、ご存知の方も多いことでしょう。
 宿主の力を強める医療がワクチンです。予防接種により事前(本物のコロナに感染する前)に軽いコロナもどきを体験、ヒトの免疫の経験値を上げ、いざ本番に備えるのがワクチンです。初回接種の頃のワクチン(オリジナル株に合わせて作られ、日本で使用されたRNAワクチンは他のワクチンと比較して極めて有効性が高かった)は、95%発症を防ぎ、致死率は99%低下させていました。つまり接種した人はほとんど死にませんでした。その後、変異株が登場、効果が減弱したとはいえ、シンガポールのデータでは、現在流行するXBB.1.5に対するワクチン接種者の死亡率は未接種者の1/4程度です。このようにワクチン接種は宿主>病原体の関係性を強化するものなのです。
 左図をもう一度ご覧下さい。デルタ株、オミクロン株BA.1・2、BA5と変異が進むにつれ急激に致死率は低下しています。これを見て、「やはり、変異が進むにつれ急激に弱毒化、現在の流行中のXBB.1.5変異体は大したことないのでは?」と思われた方もいるのではないでしょうか。確かに様々なデータでは変異が進むにつれ弱毒化しています。しかし、左図の変異による弱毒化は、単純にコロナが弱毒化しているだけではないと考えられています。右図(千葉県ホームページより転載)をご覧下さい。2021年3月の初回接種以来、繰り返しワクチン接種することにより、宿主が鍛えられ宿主>病原体の関係が強化されたことも反映しているはずです。そのため、左図の如く、ウイルス自体が変異により、それほど劇的に弱毒化しているわけではありません。ワクチンにより下駄を履かされ、あたかも劇的に弱毒化したようなデータになっているのです。ワクチン接種していなければ、変異株の致死率は、見かけより遥かに高いはずです。私が強調したいのは、コロナは変異株になり弱毒化しているが、ワクチン接種があっての話で、ワクチン接種がなければ楽観視するほど弱毒化していないということです。この点はさらに詳しく後述します。
 さらに、中図をもう一度ご覧下さい。最下段に、死亡率は低いとはいえ併存疾患がないのに重症化、死亡した方がいます。併存疾患がなく、本来、宿主>病原体の関係なのになぜでしょうか。まだ、そのメカニズムは解明されていませんが、他の病気同様、コロナも宿主の遺伝的背景、疾患感受性(コロナの影響を受けやすい体質)により重症になったり軽症ですんだりします。癌家系、心臓病家系があるように、同じような身体条件で、同じ病原体に感染しても、ケロッとしている方もいれば、重症になりやすい方もいます。コロナも同様。高齢者なのにとても元気なコロナ患者がいるのはそのためです。コロナ感受性の遺伝、体質は是正できません。しかし、たとえコロナ感受性があっても感染しなければ元気なままです。もし仮に、ある国の国民全員がコロナ感受性の高い体質だったら、その国は簡単に滅んでしまうことでしょう。一方、コロナに感染しても軽症だった方は、コロナ感受性の低い方と言えますし、かつ、ワクチン接種後の如く、自然免疫を獲得、感染前に比べ、宿主>病原体の関係を強化できています。ただ、強化できても、風疹や麻疹のように長期間免役は持続せず、3ヶ月程度で再感染し得るところが、コロナの厄介な点です。ただ、疾患感受性が低く、自然免疫を獲得しているので、再感染しても、以前よりより軽症で済むことでしょう。
 同じことが年齢にも言えます。国民の全員が高齢者の国だったら、簡単に滅んでしまいます。逆に、全員50歳未満の国なら安心、痛いワクチンなど打つ必要はありません。それほど極端な話でなくとも、高齢化の進んだ日本のような国ほど、集団として考えると宿主<病原体の関係があり、しっかりと新型コロナ対策をする必要があります。

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2023/05/31 
「2023年5月8日からの新型コロナワクチン春開始接種について〜新型コロナオミクロン株はただの風邪ではありません!〜」(その2)

 左図は、G20各国の新型コロナによる人口100万人当たりの死者数です。先進国中、日本は圧倒的にコロナ死亡者の少ない(1/5程度)国です。しかも、世界有数の長寿国、高齢化社会(宿主<病原体の関係)なのに!さらには、国産ワクチンを上梓できず、欧米各国よりワクチン接種が出遅れていたのに。にも拘わらず結果として、費用対効果を抜きにするとコロナ対策が日本ほど上手くいった国はありません!この点で評価するなら厚労省は非常に優秀です。もちろん日本国民は真面目でマスク、手指消毒等感染対策を怠らなかったこともあるでしょうが。日本より少ない国もありますが、いずれも正確に死者数がカウントされているか疑問な国です(各国の方、ゴメンナサイ)。最も少ない中国はもちろん「ゼロコロナ政策」のためです。
 しかし、2022年7月のオミクロン株BA.5による第7波、さらには12月の第8波に於いて、日本におけるコロナ死者数が世界最多を続け問題となりました。この理由としてそれまでのワクチンで獲得した免疫力が時間の経過に伴い低下したことに加え、致死率の高い80歳以上高齢者の感染比率が高かったことが一因と推察されています。しかし、ではなぜ80歳以上の高齢者感染比率が高かったのでしょうか。欧米は高くなかったのでしょうか?欧米は日本と異なり、高齢者だってマスクはほとんどしないのに。
 中図(第116回(令和5年2月8日)新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料)の左上の住民調査による新型コロナN抗体(過去に感染したことを示す抗体)の年代別保有率をご覧下さい。この時点での日本人の新型コロナ感染率は30%弱、高齢になるほど感染率は低く、80歳代は20%以下です。第8波後の今年2月の速報データではこれより15%程度増加しているようですが。一方、世界を見渡すと、世界で最も死者数の多いイギリスは今年3月で感染率は86%に達しています。
 つまり、「日本人、とくに高齢になるほど諸外国に比べコロナに感染経験のある人は圧倒的に少ない。換言すると、日本では感染予防対策が徹底されていた。」わけです。確かに、欧米各国は、日本に比べマスク着用率は低く、日本人のように感染予防は徹底されていませんでした。極端な話し、スウェーデンでは、集団免役戦略を採用、コロナ禍初期からマスクを着用せず、ロックダウンもせず国民が自由に行動しました。その結果、当初の毒性の強い新型コロナウイルスが国中に蔓延、当時日本の100倍!近い死者を出しています。
 以上のご説明から解るように、「日本は世界有数の高齢化社会のため、新型コロナウイルスに対して極めて脆弱な国にも拘らず、しっかりとした感染予防対策に加え、高品質のワクチンをほとんどの国民が繰り返し接種した御蔭で、世界でも極めてコロナ死亡者数の少ない国になっている。しかし、そのため、逆に、現在も高齢者やコロナ感受性の高い人々が生き残り、コロナ脆弱性が持続している(宿主<病原体の関係)。一方、既に国民の大半がコロナに感染した欧米諸国は、高齢者を含めコロナ感受性の高い人々が次々に死に、淘汰?され、現在では国民のほとんどがコロナに強い人々(宿主>病原体の関係)だけとなり、コロナを気にしなくてよい国になっている。」ということです。私などは、欧米各国が行き過ぎた高齢化社会を是正、社会保障費を抑制するために、わざと新型コロナを蔓延させ、高齢者を死なせているのではないかと疑っているくらいです。
 右図(神奈川県ホームページから転載)の如く、新型コロナワクチンの変異が進むにつれ弱毒化しているのは、日本国民が挙って何度もワクチン接種していることで下駄を履かされているデータだと上述しました。本当にオミクロン株は大したことないウイルスなのか、中国を思い出して下さい。上述の如く、中国は3年間ゼロコロナ政策を続け、死亡者数は極めて少ない状況でしたが、ご存知のように2022年12月ゼロコロナ政策を緩和、というより白紙撤回?、オミクロン株が国中で大流行しました。中国国民のほとんどが効果の弱いシノバックスワクチンを2回接種した程度で、無垢な状態です。そのような人々がオミクロン株に感染するとどうなるか?感染者9億認、死者200万人といった予想値まで出ています。中国公表の新型コロナによる死亡者数のデータは、過少報告されていることがWHOに指摘され、はっきりした数字は不明です。しかし、マスコミ報道される病院や火葬場の大混乱から推測すると、オミクロン株が決して「ただの風邪」でないことは明らかです。ただの風邪では火葬場に行列はできません!

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2023/05/31 
「2023年5月8日からの新型コロナワクチン春開始接種について〜新型コロナオミクロン株はただの風邪ではありません!〜」(その3)

 第90回厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料(左図)をご覧下さい。確かにデルタ株と比べオミクロン株ではワクチン効果もあり、致死率は低下していますが、それでも60歳以上では約2%。100人感染すると2人なくなっています。ここで中注目して欲しいのは、致死率が今でもインフルエンザの約4倍であること。決して低くはありません。
 私が強調したいのは、「欧米と日本はまったく状況が違う。確かに新型コロナウイルスの変異が進むにつれ弱毒化しているが、皆さんの印象ほどは弱毒化しておらず、今でもワクチン未接種の方が感染すると、とくに高齢者や基礎疾患のある方では、接種済の方より遥かに死亡率が高く、インフルエンザの数倍、決してただの風邪ではない。」ということです。発熱外来で仕事をしていると、コロナに感染した方のほとんどが軽症です。しかし、稀に高熱が何日も続く重症の方がいます。聞くとやはり、最後のワクチン接種からかなり時間の経過した方です。また、亡くなった方は後期高齢者でした。
 ワクチンの効果は、変異が進むほど減弱しています。しかし、上述のシンガポールからの報告にもあるように、XBB.1.5亜型に対しても、重症化予防効果はしっかりとあります。
 新型コロナワクチン、とくに今回のRNAワクチンの副反応は他のワクチンよりきついです。私自身4回目のときは、1日ぐったりとしていました。ただ、高齢者になるほど副反応は出にくく、副反応の強い人ほど効果が高いとのデータが出ています。もちろん、副反応がなかったから無効というわけではありません。
 そもそも、ワクチン=予防接種は、健康な人に、病原菌を弱毒化させたものを感染させ、軽く病気にさせ、経験値を増やし、体を鍛え、本物の強毒な病原菌の感染に備えることです。ですから、ワクチンを接種して多少具合が悪くなるのは何ら不思議なことではありません。極端な場合、その軽い病気がもとで、不幸にも亡くなる方もいます。おそらく全国で相当数の方がなくなっていることでしょう。
 もちろん、副反応0%、効果100%のワクチンがあればベストです。しかし、ヒトの体に注射してまったく副反応0などといったワクチンはありません。そのため、接種するかしないかは、ワクチンの効果と副反応の天秤です。効果は抜群ですが100人接種すると3人死ぬ酷い副反応のワクチンがあったら私は絶対に接種したくありません。しかし、もしかりに、日本中で致死率50%のエボラ出血熱が大流行(実際にはそんなことありえませんが)していたら、私は迷わず接種します。50%より3%の方が助かる確率が高いので。極論すると、ワクチンとはその程度のものなのです。
 まれに、新型コロナワクチンを一度も接種したことがないという方にお会いすることがあります。聞くと、しっかりと感染予防に留意、一度も感染したことはないとのこと。ワクチンの副反応に苦しんだり、心配したりすることもなく、さりとてコロナ感染症で苦しむこともなかったとても幸せな方です。誰もがこのようだったらhappyですが、かなり運のいい方です。
 TV番組であったように、一人無人島で生活している方ならワクチン接種を勧めません。しかし、地続きの陸地に住んでいる場合、上述の如くただの風邪ではありませんので、私は高齢者や基礎疾患、重症化リスクのある方にはお勧めしています。とくに前回接種して副反応が何ともなかった方には。私自身、高脂血症があるので6回目接種を受けます。
その方の生活習慣、価値観によってもワクチンの必要性は異なるでしょうから、最後は自分で決めるしかありません。しかし、日本の高齢者、基礎疾患のある方等にワクチン接種をお勧めするのは上記の如き理由です。

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2023/03/28 
「鎮静下内視鏡検査の運用開始について」

当院では当初、内視鏡検査は他院に委託する形で始まりましたが、2020年12月より新設された当院の内視鏡検査室で毎週火曜日のみですが検査を始めました。2021年度からは週3日(火、水、土曜日の午前)に検査日が増え、前年の90件から546件に検査実施数が大幅に増加しました。現在、1日7件を検査実施定員としていますが、それ以上に検査希望者がいる日もあるため、2023年4月から1日10例に内視鏡検査キャパシティを増やします。そのため、看護スタッフの増員に加え、内視鏡洗浄機を2台体制(左図)にしました。1台200万円と高額な医療機器ですが、検査数拡大のためには必要と判断しました。
また、当院では、当初より経口及び経鼻内視鏡検査を実施していましたが、2023年4月より皆様から要望の多かった鎮静下内視鏡検査(いわゆる「苦痛のない内視鏡」)を開始しました。鎮静下内視鏡検査とは、鎮静薬等を注射し意識を低下させることにより、苦痛を軽減させて内視鏡検査を行う方法です。完全に眠らせるのではなく、大抵は呼びかけで反応する程度に投薬量を調整し検査を行います(意識下鎮静)。苦痛を和らげるとういう点では利点ですが、欠点もあります。以下、日本消化器内視鏡学会ホームページの記載を転載すると、

利点;
・意識がぼんやりした状態になる
・検査の不安やストレスがやわらぐ
・検査による苦痛や不快感がやわらぐ
・検査が繰り返し受けやすくなる

欠点:
・意識がなくなることがある
・血圧が下がることがある
・呼吸が弱くなることがある
・検査後しばらく休む必要がある
・検査当日の運転を控える必要がある

です。経鼻内視鏡検査では嘔吐反射が抑えられるため鎮静薬を使用しません。ですので、当院では検査前、あるいは検査当日、中図の如き資料をお読みいただき、検査方法を選択して頂いております。
また、内視鏡検査を受けるには電話または窓口で予約(空きがあれば当日受検も可能)し、右図の如き同意書の提出(同意書は、近々当院ホームページの「消化器内科・内視鏡科」からダウンロードできるようになります)が必要です。内視鏡検査を希望される方は、電話にてご予約の上、同意書を記入しご持参下さい。
当院では安全に配慮をした検査を実施していきますので、ご質問・要望等ありましたらお気軽にお尋ね下さい。

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2022/12/29 
「コロナ禍の谷間、2022年11月2日パレスホテル東京グランドキッチンで開院15周年お祝いの会を開催しました。」(その1)

 コロナ禍前まで当院では忘年会、新年会、暑気払い、残暑払い、健診繁忙期前の決起集会、職員歓送迎会など折に触れて宴会、ランチ会などを開催していました。小さなお子さんがいらっしゃる主婦の方も多数勤務しているので、夜の宴会と昼のお食事会を交互に開催するようにしています。当院は三鷹駅から徒歩圏のため、三鷹中央通り近辺に多数ある飲食店は至近です。それら飲食店オーナーや職員の方が健康診断や病気のとき来院されています。そのため飲食店の知り合いには事欠きません。院長の私が「営業」と称し、クリニックの集いは知己のお店で開催することが多いです。個人情報のため具体的に店名を申し上げることはできませんが、20店近くあると思います。
 さて、2012年11月1日当院は開院15周年を迎えることができました。15周年の節目に職員内輪だけでお祝いする会を開催しました。今回、コロナ禍のため開催すべきか否か最後まで迷いました。しかし、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などが発令されておらず、感染防止徹底点検済証掲示の飲食店では人数制限がなく、ルール上問題ないと判断しました。さらに、11月2日が新型コロナ流行第7波と第8波の谷間に見事当たり(左図)、開催を決断しました。
 5周年のときは、パークハイアット東京のニューヨークグリル(中図)で、10周年の時はミッドタウンにあるザ・リッツ・カールトン東京のアジュール フォーティーファイブでランチ会を開催しました(右図)。今回はさらに都心へ移動、11月2日(水)丸の内にあるパレスホテル東京のグランドキッチンで14時から食事会を開催しました。

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2022/12/29 
「コロナ禍の谷間、2022年11月2日パレスホテル東京グランドキッチンで開院15周年お祝いの会を開催しました。」(その2)

 事前にレストランの個室、ガーデンルーム(左図)を予約していました。この個室の定員は最大24人です。当院職員は31人ですが、出席者は23人となったため、いくつかの候補の中からグランドキッチンガーデンルームを選びました。
 シャンパンで乾杯後、フランス料理に舌鼓を打ちながら歓談しました。デザートは「撫子15歳のお誕生日おめでとう」のデコレーションの入ったケーキを頂きました(中図)。
 開院時8人だった職員は5周年時13人に、10周年時18人に、そして15周年の現在は31人になりました。皆でこれまでの15年を振り返りつつ次の20年に向けての抱負を語り合いました。院長として非常にうれしかったことは、当院での勤務歴が自身の職歴の中で最も長いという職員が非常に多かったことです(右図、角の二人は記念撮影前に帰宅された方です)。10周年の集いに参加していた16人の職員のうちは、様々なご事情で退職された方4人を除き、他の12人は皆現在も勤務しています。長く勤めてくれる職員は職場の宝です。当院の掲げる経営理念「高松メディカルクリニックは、診療理念に基づく医療の提供により、患者さん、地域社会に支持され続ける医療機関になることと、適正な利潤をあげ、経営理念のもと真摯に働く職員が経済的にも精神的にも豊かな生活を送ることを目指す。」にまた一歩近づけたように感じました。
 末筆ですが、当院を応援して下さる患者さん、お取引業者の皆様に感謝申し上げます。また、11月以降健診繁忙期、新型コロナオミクロン株対応2価ワクチン、インフルエンザワクチン接種が重なり、なかなか執筆できず、時機を逸した原稿となりましたこと深謝申し上げます。

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2022/10/27 
「別館外来棟1Fエレベータホールに診療時間案内看板を設置しました。」

当院本館入口には、左図の赤い囲み如く、診療時間を記載した案内板が設置されています。ですから、当院が休診の水曜日午後に来院、エレベータが当院のある2Fへ行かない場合、看板を見て休診なのに気付いて頂けます。しかし、これまで別館には、そのような診療時間を記載した案内板がありませんでした。そのため、エレベータが入口の3Fに行かないとき、なぜだろと不思議に思い、インターホンを押す方やクリニックに電話を掛けてくる方がしばしばいらっしゃいました。一般に、木曜日を休診日にしている医療機関が多いため、水曜日午後、休診だとは気づき難いようです。そこで、この度、別館エレベータホールに中図や右図の如く、診療時間を明示した案内板を設置しました。これに気付き、納得されて帰られる方がいると宜しいのですが。

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2022/10/10 
「院内感染予防策として屋外診察室での発熱外来が始まりました。」(その1)

兼ねてより、究極の院内感染予防策として屋外診察室での発熱外来開設を計画してましたが、2022年度インフルエンザシーズンを前に漸く準備が整い、運用を始めましたので、その概要をご説明します。当院の発熱外来受診を希望される場合、下記の手順に従って下さい。

1.完全予約制について

発熱、咳嗽、喀痰、鼻汁鼻閉、呼吸困難、頭痛、関節痛、全身倦怠感、食欲不振、水分摂取不良、嘔吐下痢、咽頭痛(オミクロン変異株は咽頭痛が特徴的です)、味覚障害、嗅覚障害等の新型コロナウイルス感染症を疑わせる症状、まったく無症状でも濃厚接触者と認定、あるいは想定される方は、必ずお電話(0422-70-1035)でご予約下さい。概ね1時間に2〜3人、曜日により1日4〜20人程度ご予約できます。
完全予約制とし人数制限している理由は、予約時間を調整、患者さん同士を時間的空間的に分離するためです。予約なくそのような症状の方が来院された場合、予約状況によってはいったん帰宅して頂き、改めてご予約の上、受診して頂く場合があります。院内感染予防のための措置です。ご理解ご協力のほど、よろしくお願いします。

新型コロナ感染症の場合、何らかの気道感染症状があるのか、まったく無症状なのかで、検査方法や療養期間が異なり、治療方針が違ってきます。そのため、当院の予約可能時刻も異なります。ご予約の際は、どちらか明確にお伝え下さい。

2.受診前の問診票記入について

発熱外来を受診される方は、必ず受診前に「新型コロナウイルス感染症流行期用問診票」をダウンロード、ご記入の上、ご来院下さい。
プリンタをお持ちでない方はお電話下さい。FAXします。
FAXのない方は、代理人に依頼し、事前に問診票を受け取りにご来院下さい。
いずれの方法も無理な場合、予約時間の15分前にご来院下さい。屋外に用意した机でご記入頂きます。
院内には、問診票をご用意しています。通院患者の方は、発熱時に備え、事前に1部お持ち帰りになることをお勧めします。
感染予防の観点から、院内での記入はお断りしています。
問診票を事前にダウンロードし、落ち着いて詳しく記入されてから来院すると、ご自身の待ち時間が減る上、医師に詳細な情報が伝わるので、より的確に診断しやすくなります。是非、ご利用下さい。

現在スマホやパソコンを使い自宅で問診票を記入できるAI問診導入を進めています。運用開始の折は改めてお知らせします。

3.来院後の手順について

3-1.時間厳守について

予約時刻通りにご来院下さい。時刻より大幅に早いと前の患者さんがまだ帰宅していない可能性があります。その場合、予約時刻まで屋外でお待ち頂くことになります。
逆に、予約時刻より大幅に遅刻すると、次の患者さんが来院、既に発熱外来診察室を使用している可能性があります。その場合、ご自身の予約は無断キャンセルとなり、当院での受診はお断りします。

3-2.屋外診察室について

ご予約時間に来院したら、別館1F自動扉左横にあるモニターフォン(左図赤丸部分)でスタッフをお呼び下さい。スタッフがお迎えにあがります。診察はその奥(左図黄色部分)になります。屋外診察室は文字通り屋外ですが、ビル1階部分を利用し設置されているため、屋根があり傘がなくとも濡れることはありません。また、画像の如く風の通り道となっており、換気のよい環境になっています。
屋外診察室はカーテン(中図)で仕切られています。カーテンの奥に設置されているクリーンパーテーション(右図)の間に座って頂きます。

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2022/10/10 
「院内感染予防策として屋外診察室での発熱外来が始まりました。」(その2)

クリーンパーテーションは左図の如くpush/pull方式で効率よく感染予防と感染性のある空気を清浄化します。医師の背後に設置されたパーテーション背面から吸い込まれた空気をHEPAフィルターで清浄化、医師側から患者側へ空気を押し出します(push)。その空気が患者に当たり、咳嗽等による飛沫で汚染されたとしても、患者背後に設置されたもう一つのパーテーション内のファンが陰圧を発生され、効率よく汚染された空気を吸い込んでいきます(pull)。吸い込まれた汚染空気は、やはりパーテーション内に設置されたHEPAフィルターにより清浄化され、無菌の空気として背面より排出されます。このような仕組みのため、屋外診察室からカーテンの外に漏れ出る空気は清浄化された無菌の空気となっていますので、自転車置き場を利用する方も安心して通行できます。
私達医療従事者も常に患者さんの風上で診療するため、たとえ患者さんが咳をしても、飛沫に暴露されることはなく安心です。
屋外のため暑さ寒さ対策としてスポットエアコン(中図)を用意しています。しかし、厳冬期には寒さ対策は十分とは言えません。ご自身でも防寒対策をして受診して下さい。
現在、屋外診察室で診療をさらに効率化させるため、、無線LAN機能を持った電子カルテを屋外診察で使用できるよう準備を進めています。

3-3.事前に記入しご持参頂いた問診票に基づき、カルテを作成後、診察します。

下記の「当院で受検可能な新型コロナウイルス検査について」の項目で解説しているように、濃厚接触者など無症状の場合、検査感度の点から検査方法は一律PCR検査になります。検査結果が判明するのは検査受検日を含め2〜5日後になります。そのため、検査結果は検査翌日以降(翌日が休診日の場合、さらに遅れます)お電話でお伝えしています。実際のところほとんどの場合、検査翌日には結果が判明していますが、第6波では検査が遅れ5日目になった方もいました。

一方、有症状者の場合、まず、鼻咽頭拭い液による抗原定性検査(迅速検査キット)を受けて頂きます。インフルエンザ流行シーズンの冬期は、新型コロナ感染症とインフルエンザを同時に検査するコンボキットを使用します。結果は15分程度で出ます。その結果が陽性なら、COVID-19の確定診断になります。陰性の場合、大抵、PCR検査を追加で実施します。結果は上述のようにお電話でお知らせします。新型コロナ検査は2回迄行政検査として無料で受検できます。検査の流れは右図のようになります。

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2022/10/10 
「院内感染予防策として屋外診察室での発熱外来が始まりました。」(その3)

抗原検査で陽性と判明した場合、酸素飽和度の値、症状、診察結果から肺炎を疑い、胸部レントゲン検査、血液検査を受けて頂くこともあります。なお、抗原検査で陽性となった場合、それ以後の治療費(診察、検査、投薬等)は公費負担となり無料です(療養期間内の治療は公費負担医療となり無料ですが、療養期間が終了すると、それ以後の治療費は通常の保険診療となります)。一方、陽性でない場合、検査費用は行政検査として無料ですが、それ以外の費用は通常の保険診療(3割負担で3,000円程度)となります。

2022年9月26日から全数届出が見直され、現在、@65歳以上の高齢者、A入院を要する病状の方、B重症化リスク(後述)があり、かつ、新型コロナ専用の治療薬、新たに酸素吸入が必要と医師が判断する方、C妊婦、の4類型の方のみ保健所に発生届を提出、医療機関による電話での健康観察、配食サービス、パルスオキシメーター貸与、宿泊療養、療養証明書発行等を受けることができます。因みに重症化リスクとは、悪性腫瘍、慢性呼吸器疾患(COPD等)、慢性腎臓病、心血管疾患、脳血管疾患、喫煙歴、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満(BMI30以上)、臓器の移植、免疫抑制剤、抗がん剤等の使用その他の事由による免疫機能の低下、妊婦になります。

COVID-19罹患時の療養方法には、入院、宿泊、自宅療養がありますが、当院がオンライン(HER-SYS)で発生届を提出後、保健所から患者さんへ連絡があります(以前の感染爆発時はありませんでした)。患者さんの重症度(下図)を鑑みながら、患者さんと保健所との調整により療養方針を決定します。

上記4類型に該当するも、入院不要と判断、自宅療養となった方が療養中に病状が急変、容態が悪化することもあります。上図の如く、重症度判定において、酸素飽和度が非常に重要です。ですので、お持ちでない方には、当院からパルスオキシメーターを貸与(療養期間解除後、速やかにご返却下さい)、毎日測定して頂きます。

上記4類型に該当せず、発生届対象外の方は、基本的に自宅療養となります。配食サービスやパルスオキシメーター貸与、宿泊療養を希望される方は、ご自身で東京都陽性者登録センターに登録すると同様のサービスを受けることができます。

最後に療養期間を想定した日数分のお薬をご処方します。

3-4.診療後の自宅療養中の健康観察について

上記4類型に該当するも、入院不要と判断、自宅療養となった場合、病状が安定、自宅療養解除が見通せるまで、当院から架電、体温、酸素飽和度、病状を確認、健康観察を実施します。その結果を当院から保健所に報告します。

4.療養証明書発行について

そもそもですが、療養証明書発行の目的として、@就業制限解除ため陰性証明として勤務先に、A給付金を貰うため加入する健康保険や入院特約付きの生命保険会社に提出がありますが、@に関しては、厚生労働省より、「就業制限解除された後に職場等で勤務を開始するに当たり、職場等に証明(医療機関・保健所等による退院若しくは宿泊・自宅療養の証明又はPCR検査等若しくは抗原定性検査キットによる陰性証明等)を提出する必要はない」との通達が出ています。ですので、基本はお断りし、どうしても希望された場合のみ対応しています。給付金のため療養証明書発行を希望された場合、新型コロナウイルス感染症の発生届を提出していない方の場合(たとえ自身で入手された簡易抗原検査キットが陽性であっても)、療養証明は発行できません。医師法上COVID-19と診断できるのは医師のみです。医療機関等によりCOVID-19と診断されていない方にCOVID-19の療養証明は発行できません。ですので、抗原検査キットが陽性の方は、必ず医療機関を受診し診断を受けるか、または東京都陽性者登録センターにご自分で登録して下さい。
なお、後述の如く、保健所も同様の対応で、保健所が発生届を受理した患者にしか療養証明を発行してくれません。

新型コロナウイルス感染症発生届を提出している場合、

4-1、当院で診断、発生届を提出した患者の場合、

4-1-1、MY HER-SYS利用者の場合、療養期間が10日以内なら、MY HER-SYSの画面から発行できます。無料です。療養期間が11日以上の場合、MY HER-SYSの療養証明発行機能が使用できません。その場合、当院にご依頼下さい。厚労省指定の定型フォーマットで発行します(文書料1,100円)。

4-1-2、MY HER-SYSを利用していない方の場合、
上記同様、当院から定型フォーマットで発行します。

4-2、他院で診断、発生届を提出した患者の場合、
診断、届出をした医療機関に発行を依頼して下さい。診断時の病状を現認していないので当院では発行できません。

4-3、医療機関でなく、東京都陽性者登録センターにご自分で発生届を提出した場合、同センターでは、療養証明書を発行できません。ですので、発生届提出先の保健所が発行することになっています。
武蔵野、三鷹、府中、調布、小金井、狛江市在住の方は多摩府中保健所にて発行してくれます。そちらに依頼して下さい。

4-4、2022年9月26日より発生届出の対象者が、@65歳以上の方、A入院を要する方、B重症化リスクがあり、新型コロナウイルス感染症治療薬の投与又は新たに酸素投与が必要と医師が判断する方、C)妊婦、に限定化されました。そのため、療養証明書は上記4類型の方しか発行されなくなりました。

5.後遺症について

5-1.後遺症対応医療機関について

COVID-19に罹患、幸い大事に至らず軽快したにも拘わらず、何らから症状がなかなか消失せず、持続している方がいます。3ヶ月経っても症状が持続する場合、後遺症(long COVID, post COVID-19 condition)と判断されます。症状には、咳嗽、倦怠感、味覚障害、嗅覚障害等が多いですが、その他、微熱、呼吸困難、胸痛、脱毛、抑うつ等、様々な報告があり、20〜40歳代の若年者に多いようです。東京都の新型コロナ保健医療情報ポータルサイトに詳細な情報が掲載されていますのでご参照下さい。また、東京都では、このようなリーフレットも発行しています。このリーフレットに記載されているように、都内八つの都立病院、公社病院にコロナ後遺症相談窓口を設置しています。後遺症と思われる方はご相談下さい。
また、東京都では、この八つの病院以外の後遺症対応医療機関を募集しています。上記八つの病院は三鷹から遠いこともあり、当院も後遺症対応医療機関に手を挙げています。現在公表されていませんが、近々医療機関名が公表予定です。後遺症でお困りの方は、それら医療機関にもご相談下さい。
ただ、現状、後遺症に対する特効薬等はなく、自然軽快するまで、対症療法で症状を緩和させることが中心となります。

5-2.後遺症に関する診断書について

後遺症に関する診断書を希望される方がいます。他院で新型コロナと診断された方の場合、発症当時の病状を把握できないため、一律発行をお断りしています。COVID-19と診断を受けた医療機関にご相談下さい。
たとえ、当院でCOVID-19と診断を受けた方であっても、コロナ後遺症に特徴的な検査異常値等がないため、自覚症状しか判断材料がありません。そのため、その症状がコロナによるものなのか、その他の病気によるものなのか診断は困難です。ですので、自覚症状のみをもって「コロナ後遺症」との診断書は発行するのは難しいです。

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2022/10/06 
「クリニック社用車を買い換え、カッティングシートを貼りました。」

古くなったクリニック社用車の日産キューブキュービックをスバルエクシーガに買い換え、7月29日納車されました。キューブを購入したのが2012年9月、5年落ちで購入しました。あれから10年、毎年約10,000kmを走行、今では、走行距離計は150,000km。10月に15年目の車検を迎えますが、その整備費用の見積もりが30万円以上と言われ、さすがに寿命と判断しました。良く頑張ってくれたと思います。前回同様文伸さんに依頼し、クリニック名のカッティングシートを貼りました。見かけたら声を掛けて下さい。

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2022/09/02 
「最近、高価な帯状疱疹ワクチン、シングリックス接種を希望し、来院される方が急増しています。」

 最近、高価な帯状疱疹ワクチン、シングリックス(1回22,000円を2ヶ月間隔で2回接種、合計44,000円。効果は10年間持続)接種を希望し、来院される方が急増しています。このワクチン、新型コロナ感染症が日本に入ってきた2020年1月ひっそりと?上梓されました。世の中、コロナ一辺倒で、帯状疱疹のことはほとんど話題にならず、その値段の高さと相まって、接種される方はほとんどいませんでした。当院もコロナ対応で忙殺され、ワクチン上梓1年後、漸く使い始めました。
 当院ホームページ、「予防接種」のページの「帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛や顔面神経麻痺ワクチン(予防接種)について」の項目、「従来品より遥かに有効な新しい帯状疱疹予防専用ワクチンが開発されました」の段落でご説明しているように、従来のワクチンに比べ、遥かに有効で、ほぼ、帯状疱疹を予防できますが、何せ高価なため、コロナ禍、無料の新型コロナワクチン接種が優先され、帯状疱疹ワクチンどころではないといった雰囲気でした。ざっくりいうと、従来品が8,260円で5年間有効、しかし、効果は約50%の発症予防、一方、新ワクチンは44,000円で10年有効、効果は95%予防。年平均で比較すると前者が1,650円で後者が4,400円と約3倍、しかし、効果は50対95%予防と圧倒しています。
 なお、帯状疱疹について、上記項目で詳しく解説していますので、宜しければご一読下さい。帯状疱疹はコロナのように命にかかわる病気ではありませんが、激しい痛みの後遺症、顔面神経麻痺、視力障害、排尿障害等の合併症を伴う場合もあり、かなり嫌がられている病気です。
 さて、なぜ、最近になってこの高価な帯状疱疹ワクチン接種希望者が急増しているかというと、コロナ禍、帯状疱疹患者の増加が様々なマスコミで報道されているからです。コロナ禍、なぜ帯状疱疹患者が増加しているのか、諸説あり解明されていませんが、いくつかの理由が考えられています。
 一つは、コロナ禍、多くの方が外出を控え、運動不足になっています。運動不足は、コロナによる心理的ストレス同様免疫力を低下させます。
 二つ目は、上記のように外出を控えることにより、人と人の接触が減り、水疱瘡によるブースター効果が発揮されなくなったことがあります。ブースター効果については、やはり、上記の項目の「はしかのようなもの」の段落に詳しく解説しています。帯状疱疹は夏に多く、冬に少ない、一方、水疱瘡は夏に少なく、冬に多い傾向があります。冬は学校があり、子どもたち同士が屋内で接触する機会が多く、インフルエンザ同様、飛沫感染する水痘も流行しやすいです。逆に夏は、夏休みのため、子ども同士の接触が減り、水疱瘡も減ります。そのため、水疱瘡によるブースター効果が発揮できなくなり、夏は帯状疱疹が増えると考えられています。
 三つめは、新型コロナ感染が、罹患者の免疫に何らかの悪影響を及ぼしているのではないかという説です。米国のデータでは、コロナに感染すると、感染後6ヶ月以内に帯状疱疹を発症するリスクが高まると報告されています。感染後1〜2週間以内にとくに多く発症しています。
 四つ目は、新型コロナワクチン接種の影響です。ワクチン接種で帯状疱疹発症率が増加したとのデータはありませんが、ワクチンが実感染同様、免疫に何らかの悪影響を及ぼす可能性は否定できません。この点は、反ワクチン派の標的材料になっています。ただ、そのような副作用を心配してワクチン接種しないことは、新型コロナ実感染を招来することになり、結局、帯状疱疹発症率は上昇しますから、本末転倒です。
 以前、上記項目に「ちなみに、私のような医療従事者は帯状疱疹を発病し難いことが知られています。実際、私は帯状疱疹を発症した医者を知りません。それは、日々の診療で水痘患者、帯状疱疹患者に接する機会が多く、その折、ときに患者から水痘帯状疱疹ウイルスをうつされ、それがワクチン効果(ブースター効果)となっているからです(上述の「➤はしかのようなもの」の段落をご参照下さい)。ですのでワクチンは不要で、接種しません。」と記載していました。しかし、最近、帯状疱疹を発症する医療従事者が増えていることを知りました。確かに、最近、外来で水痘患者を診ることは皆無です。帯状疱疹は水疱に触らなければ感染しませんから、ブースター効果は期待できません。ですので、小児科でもなければ、「医療従事者が帯状疱疹を発症し難い」とは言えなくなっています。そのため、私も上記の高価な帯状疱疹ワクチンシングリックスを接種しました。
 以前、ある先生から、「コロナ禍、例年のように海外旅行に行くこともないのだから、海外旅行の費用をシングリックス接種に回したらどうですか」と言って進言していると聞きました。「これは、使える!」と思ったのですが、そのような台詞を使うまでもなく、接種希望者が急増しています。

2022/06/29 
「この夏インフルエンザが流行するかも」

2020年1月日本第1号の新型コロナウイルス感染症が確認されて以来、国民皆がこぞってマスクを着用、手洗い、アルコール消毒、ソーシャルディスタンス、換気などの感染予防対策が励行されるようになり、さらにはインフルエンザワクチン接種率が上昇、2020年、2021年シーズンともインフルエンザ患者はほとんど発生しませんでした。しかし、これまで、インフルエンザが流行しない年が続くと、その分、大流行しやすいことが経験的に知られており、非常に気がかりです。実際、

1、左図(東京健康安全研究センターホームページから転載)の如く今が真冬の南半球オーストラリアでは、3〜4ヵ月前倒しでインフルエンザが大流行しています。

2、6月21日立川市でインフルエンザによる学級閉鎖(在籍生徒数45人中14人陽性診断)が発生しました。

3、2009年新型インフルエンザパンデミック時、5月下旬にも拘らず大流行しました。

4、右図(「定点医療機関当たり患者報告数2022年6月19日(第24週)まで」(東京都感染症情報センターホームページから転載)の如く、この2年、インフルエンザはまったく流行していません(例年の1000分の1)。

そのため、今年の夏、季節外れのインフルエンザ流行が懸念されます。
当院では対策として、これまで発熱患者に実施していた新型コロナウイルス抗原迅速検査キットに加え、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを一度にまとめて診断できるコンボキットを導入しました。高熱がありインフルエンザを否定できない場合、コンボキットを実施します。
なお、コンボキットは新型コロナウイルス行政検査扱いのため、新型コロナウイルス抗原単独検査キット同様無料で、検査に関する患者負担はありません。
以上、ご理解ご協力のほどよろしくお願いします。

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2022/06/06 
「ようやく診療担当医表示板が完成、院内に掲示しました。」

当院ホームページの「医師のご紹介」にあるように、本年4月から、

総合診療科(消化器内科) 坂本仁美医師
循環器内科 野々口紀子医師
循環器内科 岡本陽医師

が診療スタッフに加わりました。

 2007年の開院以来、長く一人で診療していましたが、年々受診者数が増加、それに伴い書類作成(診断書、紹介状、介護保険主治医意見書、生活保護医療要否意見書、指定難病更新臨床調査個人票、保険会社へ提出する書類、各種三鷹市健診⦅特定健診、若年健診、後期高齢者健診、肺がん検診、大腸がん検診、乳がん検診、胃がんリスク検査、前立腺がん検診、肝炎ウイルス検査、風疹検査等⦆受診票への判定結果記入、健診スクエア企業健診受診者の健診結果報告書作成等)の業務量も増加してします。開院当初、外来が暇だったころは、患者さんが途切れたときにそれら書類を作成していました。しかし、朝から夕方まで途切れることなく患者さんが来院するようになってからは、それら書類はすべて、18時の外来療後(18時までが受付け時刻なので、実際に診療が終わるのは18時30分前後)に作成しています。そのため、帰宅は連日深夜〜未明となってしまいました。宜しければ、院長コラムのバックナンバー「2016/10/09『帰宅は連日深夜ですが嬉しいことがありました。フォトコンテスト対象を受診しました。』」をご一読下さい。
 話が脱線して申し訳ありませんが、「院長コラム」を「深夜」で検索してみると25ヶ所もヒットしました。10年以上書き留めた文章とはいえ、我ながら「深夜」好きなのには驚かされます。
 閑話休題、以上のような長時間労働を解消するため、

2018年10月総合診療科(糖尿病内分泌科) 保坂利男医師
2019年4月乳腺科 石坂欣大医師
2020年4月消化器内科、内視鏡科 小栗典明医師
2021年4月総合診療科(糖尿病内分泌科) 森田千尋医師

の非常勤医に就任して頂きました。各々先生方のご略歴は、「医師のご紹介」をご覧下さい。これで私を含め総勢8名の体制となります。厳密には、健診スクエアでの企業健診のため二人の婦人科医師に勤務して頂いており、総勢10名となりました。しかし、お二人とも健診診察に限定した勤務のため、外来診療はしていません。
 そのような経緯もあり、今年度より、私の月曜日午前午後、水曜日午前の外来を休診にさせて頂きました。両日を休みにしたため、患者さんから時々「先生は、体調が悪いのですか。」と心配されます。その度、「病気なわけではありません。過重労働を減らすためです。体は大丈夫です。○○さんより私は必ず長生きしますから安心して下さい。ただ、途中でボケちゃったら許して下さい。」とご返事しています。患者さんも笑顔で「安心しました。」と言って帰られます。この場を借りて、体調的にはまったく問題なく、過重労働軽減対策の休診であることをお知らせしておきます。
 休診と言っても実際は書類作成や管理職業務のため出勤することが多いですが、お陰様で深夜まで仕事をすることは激減しました。
 今年度から勤務して頂く先生のうち、坂本先生は、子育のためフルタイムではありませんが、週4日勤務とほぼ毎日勤務します。また、森田先生も今年度から昨年の水曜日に加え月曜日も勤務することになりました。因みに小栗先生は昨年度から週3日勤務しています。このように複数日勤務しているのは、患者さんにとって非常に安心感があります。私自身は、大学病院とクリニック、診療所の違いの一つに、患者さんとの距離感があると考えています。なかなか会えない主治医と何かあるとすぐに会える主治医。ですので、先生方に複数日勤務して頂けることは福音です。
 これら総勢8名の勤務状況が簡単に把握できるよう診療担当表示板(下図)を作成、別館3F待合室に掲示しました。
 たとえ施設が大きくなり、スタッフが増員されようとも、今後も患者さんとの距離感を大事に診療していきたいと思います。

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2022/06/05 
「本日6月1日以後、別館1Fの駐車場は使用できません!」

本日6月1日以後、別館1Fの駐車場は使用できません!
当院の別館外来棟に行くためには、左図のような本館南隣のミキ薬局とこいけ菓子店の間の通路を通る必要があります。この度、こいけ菓子店、その隣のまほろば珈琲店の入居する建物が老朽化したため、建て替えることになりました。工事期間中、さらには竣工後、自動車は現在の通路を通行できなくなりました。自転車はこれまで通り問題なく通行できます。ただし、都合により駐輪場の位置が現在の場所(中図)から奥側(右図)に移動しました。広さ的には変わりません。以上、ご理解ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

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2021/12/26 
「本館、別館ビル出入口とも自動体温計、消毒用アルコールを設置しました。」(その1)

ご存知のように新型コロナウイルスオミクロン変異株の流行が懸念されています。当院ではさらなる感染予防対策として、本館健診棟来院者にも厳格な対策を講じます。
別館外来棟1階エレベータホール内に自動体温計兼消毒用アルコールスタンド(左図)を設置しました。来院者は全員、手指消毒の上、体温を測定して下さい。発熱していた場合、エレベータには乗らず、一旦自動扉の外に出て、インターホンで受付スタッフをお呼び下さい(中図)。
また、本館健診棟1階エレベータホール内にも、サーモグラフィカメラ兼消毒用アルコールスタンド(右図)を設置しました。

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2021/12/26 
「本館、別館ビル出入口とも自動体温計、消毒用アルコールを設置しました。」(その2)

来院者は全員、手指消毒の上、体温を測定して下さい。発熱していた場合、エレベータには乗らず、一旦院外に出て、電話(0422-70-1037)でお問い合わせ頂き、スタッフの指示に従って下さい(図)。
以上、ご理解ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

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2021/11/11 
「アニサキス症について」

2020年12月より上部消化管内視鏡検査が本格稼働したこと、周知のことと思います。現在週3日検査を実施しています、先日、初めて胃アニサキス症の症例が見つかりました。折角の機会ですので、アニサキス症について解説します。
アニサキス亜科線虫の幼虫を含む海産魚介類を摂食後、長さ2〜3cmの幼虫がヒトの消化管粘膜に穿入したことが原因で腹痛等の症状を来す疾患です。
原因海産性魚介類はサバ、サンマ、イワシ、アジ、イカ、タラ、カツオ、ニシン、ホッケ、オヒョウなどで、通常食する魚介類のほとんどで発症しています。
発症の仕方によって急性アニサキス症(劇症型)と慢性アニサキス症(緩慢型)に分けられます。食道、胃、十二指腸、小腸、大腸の全消化管において発症しますが、胃の頻度が最も多いです(90%以上)。急性アニサキス症の発症には即時型アレルギー反応が関与しているようです。
症状は、それら魚介類を摂食後、2〜8時間後に腹部激痛で発症します。悪心・嘔吐、さらに蕁麻疹を伴うこともあります。腸アニサキス症の場合、摂食数時間〜数日後に発症、ときに、腸閉塞を来すこともあります。
問診で、上記生鮮魚介類を食べたことを確認した場合、本症を疑い、内視鏡検査を勧めます。検査で粘膜に刺入した虫体が観察(左図、画面右下に白色のとぐろ巻いた虫体が見えます)されれば診断でき、その後、虫体を生検鉗子などで摘出(中図、鉗子で掴んだ虫体)すると症状は速やかに消失(右図、虫体を取り除かれた後の胃粘膜)します。有効な駆除薬はないので、内視鏡で摘出するのが最も有効な治療法です。ちなみに内視鏡で虫体を摘出せず放置しても、1週間程度で軽快します。
もちろん確実な予防法は魚介類を生食しないことですが、マイナス20℃24時間以上冷凍、60℃1分の熱処理で死滅します。ですから、十分焼いたり、煮たりすれば安全です。冷蔵では数週間生存します。25℃以上では生存できないため、夏場には発生しにくく、北海道に多く発生します。酢でしめたり、醤油漬け、塩漬け、日本酒程度では死にません。生姜、山葵には防虫効果があり、調理法として一考です。
アニサキス幼虫は上記魚介類の内臓に寄生していますが、魚介類が死亡すると内臓から筋肉に移動します。ですので、新鮮なうちに速やかに内臓を取り除くと予防できます。
昨年岳父を看取るため20回近く函館に赴いた折、ハマってしまい何度となく活イカを食べましたが、一度もアニサキス症になることはありませんでした。生簀から掬ってすぐに捌いて出されたものだったので安心して食べることができました。

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2021/10/10 
「子宮頸がん(ヒトパピローマウイルス)ワクチン積極的接種勧奨再開の動き 〜高校1年生、打つなら今でしょう〜」

2021年10月1日に開催された厚労省の「厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)」で、接種後の多様な症状とワクチン接種との関連性は明らかになっていないこと、海外の大規模調査で子宮頸がんの予防効果が示されてきていることなどが評価され、子宮頸がん(ヒトパピローマウイルス)ワクチン積極的接種勧奨が再開されることになりました。マスコミ報道を受け、早速、子宮頸がんワクチン接種を希望し、来院される方が増加しています。しかし、厚生労働省作成のリーフレットにも記載されているように、無料の定期接種の対象者は、「小学校6年〜高校1年相当の女の子=12歳になる年度初日から16歳になる年度末日までの女の子」です。ですから、現在高校1年生相当の方は、10月1日から来年3月31日まで、ちょうど6か月間しかありません。
一方、定期接種で使用される2種類のHPVワクチン、サーバリックス、ガーダシルとも3回接種する必要がありますが、3回目は1回目接種の6ヶ月後になっています。つまり、1回目を10月1日に接種すると、3回目は翌年4月1日となり、定期接種(無料)の期間を過ぎてしまい有料となってしまいます。サーバリックス、ガーダシルとも1本18,000円前後と非常に高価なワクチンゆえ、接種を希望されるなら、何としても16歳となる年度の末日までに接種したいものです。
ただ、ガーダシルは、接種期間を変更せざるを得ない場合、「2回目接種は初回接種から少なくとも1ヶ月以上、3回目接種は2回目接種から少なくとも3ヶ月以上間隔を置いて実施すること」と添付文書に記載されています。ですので、最短、2回目を1ヶ月後、3回目をその3ヶ月後に接種すると、10月1日に1回目を接種しても3回目を2月1日に接種できることになり、無料の定期接種期間で終了させることができます。ですので、無料で3回接種を終わらせる期限は、サーバリックスの場合10月31日、ガーダシルの場合11月30日となります。
なお、上記の検討部会では、積極的接種勧奨中止期間中に接種機会を逃した対象者への救済処置も話題となったようですが、今後の成り行きは不明です。
ということで、「現在高校1年生、子宮頸がんワクチン、打つなら今でしょう」

2021/06/06 
「当院での新型コロナウイルスワクチン接種について(2021年6月6日現在)」

新型コロナウイルスワクチンに関して、2021年5月31日現在の情報をQ&Aの形式で提供します。

1、質問:「ワクチンに副作用はないのですか?」

回答:「日本政府が購入したワクチンは3種類です。現在、日本国内で使用が始まっているワクチンは@ファイザー社製(コミナティ筋注)とAモデルナ社製(COVID-19ワクチンモデルナ筋注)ですが、モデルナ社製は都心の大規模接種施設で使用されているのみです。Bアストラゼネカ社製は血栓症の副反応のため現在使用方法が未定で、使用されていません。
ファイザー社製についてご説明すると副作用はあります。一部の方で、接種部位の腫れ(私も腫れました)、発熱(私も2回目接種時38.0℃発熱しましたが1日のみで翌日はまったく普通でした)、頭痛、倦怠感、筋肉痛等が見られています。激しいアレルギー反応のアナフィラキシーは10万人で1人程度。インフルエンザワクチンの8倍。三鷹市民全員が2回接種して4人程度。アナフィラキシーを発症したからといって死ぬわけではありません。適切な処置で完治します。副作用は現在日本で使用されている多数のワクチン(インフルエンザ、麻疹、風疹等々)と大差ありません。

2、質問:「ワクチンは打った方がいいのですか?」

回答:「COVID-19の致死率はかなり高く(60〜69歳;1.24%。70〜79歳;4.65%、80〜89歳;12.0%、90歳以上;16.09%)、変異株はさらにその約1.5倍です。今後さらに強毒な変異株の出現も懸念されています。私の調べる限りワクチンはきわめて安全性が高く(インフルエンザワクチンより多少副作用が強い程度で、抗生物質の点滴より遥かに安全)、インフルエンザワクチンと比べ物にならないほど有効性が高い(95%感染を防ぎ、致死率を99%低下)わけですから、有効性とリスクを天秤に掛ければ、特段事情がない限りワクチンを打たないといった選択肢は考えられません!もちろん私も接種しました。

3、質問:「どのような方がワクチン接種を受けた方がいいのですか?」

回答:「後述のように高齢に加え、基礎疾患、肥満(BMI30以上)等)のある方は重症化しやすいことが分かっています。ですから、基本的に全員!とくに高齢者、高齢者でなくともこれらの基礎疾患がある方は接種すべきです。
<基礎疾患一覧>
慢性の呼吸器の病気
慢性の心臓病(高血圧を含む)
慢性の腎臓病
慢性の肝臓病(ただし、脂肪肝や慢性肝炎を除く)
インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病または他の病気を併発している糖尿病
血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く)
免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)
ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
染色体異常
重症心身障害(重度肢体不自由と重度知的障害とが重複した状態)
睡眠時無呼吸症候群
重い精神疾患や知的障害
肥満症(BMI 30以上)

4、質問:「ワクチン接種費用はどうなるのですか?」

回答:「無料です。」

5、質問:「何回接種するのですか?」

回答:「フェイザー社製のコミナティ筋注の場合3週間間隔を空けて2回です。ぴったり21日後でなくとも、実際には1回目接種から19日後〜6週間後程度は大丈夫です。」

6、質問:「ここでワクチン接種を受けることができるのですか?」

回答:「三鷹市でのワクチン接種はコミセン体育館や元気創造プラザ体育館等を使用した集団接種と、医療機関などで接種する個別接種の併用になります。当院は、個別接種施設に申請(曜日は月〜土曜日まで毎日)していますので、当院で接種できます。当院での個別接種は6月1日から始まりましたが、第1回目の予約は5月19日に終了しました(インターネットや三鷹市のコールセンターへの電話で予約)。次回の当院個別接種の予約は6月7日(月)からインターネット(6月10日から運用開始予定)、電話090-7537-6807、窓口です。

7、質問:「三鷹市民でなくともここでワクチン接種を受けることができるのですか?」

回答:「原則、住民票がある市町村で接種することになっていますが、「基礎疾患を持つ者が主治医の下で接種する場合」は住民票所在地外においても接種できることになっており、三鷹市外から当院に通院治療中の方も当院で接種できます。もちろん、お住いの自治体からクーポン券(接種券)が配布され、三鷹市における接種対象者となった時期にご予約頂くのが前提です。例えば、三鷹市内では65歳以上の方しか接種できない時期に、三鷹市より早くクーポン券が配布された他自治体在住の65歳未満の方が、いくらクーポン券があるからといって、先行接種することはできません。」

8、質問:「いつ頃から接種できるのですか?」

回答:「三鷹市の場合75歳以上は5月20日から開始になっています。65〜74歳の方は6月7日から予約、14日から接種開始予定です。60〜64歳の方、基礎疾患のある方等は未定ですが、6月中と予想されます。」

9、質問:「接種するには予約が必要なのですか?」

回答:「ワクチンは一瓶6人分で、開封後使用期限が6時間のため、6の倍数の人数で予約しないと端数分は廃棄されることになります。そのため必ず予約が必要です。予約方法はインターネット(6月10日から運用開始予定)、電話090-7537-6807、窓口です。

10、質問:「電話やインターネットを使用してもワクチンの量が少なく、予約がすぐに埋まり、予約できず結局接種できないということはないのですか?」

回答:「緊急事態宣言にも拘わらず新型コロナ感染高止まり状況、それに伴う都内医療崩壊の危険性、新たな強毒性変異株の都内流入等の状況を鑑み、現在、当院では一般診療より新型コロナワクチン接種を優先すべきであるとの判断に至りました。そのため毎週月曜日と金曜日の午後外来を閉鎖、ワクチン接種に特化した診療時間(いわゆるワクチンタイム)を設けるなど、月曜日から土曜日まで可能な限り多くのワクチン接種に時間を割くことにしました。菅総理の「7月末までに高齢者ワクチン接種を終える」という目標達成のため、現在通院される高齢者数の3倍以上の予防接種枠を7月末までに設定しています。ですので、ワクチンが足りず、予約が取れないということはありません。もちろん、当院通院患者でない方の接種予約も通院患者と等しくお受けしていますので、通院されていない方から大量のご予約が入ると、通院患者の予約が取れないといった事態になりかねません。そのため、通院患者さんが優先的にご予約を取りやすいように、窓口での一定数の予約枠を確保してあります。
以上の如く準備していますので、慌てず予約を申し込んで下さい。

なお、三鷹市の新型コロナワクチン接種に関しる情報は随時三鷹市のホームページに掲載され、最も正確な情報をいち早く入手できます。是非、そちらをご参照下さい。

2021/02/28 
「新型コロナウイルスワクチンについて〜質問する前にご一読下さい〜」

 最近、新型コロナウイルスワクチンに関するマスコミ報道を受け、診察室に入った患者さんから、頻繁にワクチンに関する質問を受けるようになりました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は高齢者にとって致死率の高い危険な疾患であり、非常に気になっていること重々理解しております。しかし、ほとんど同一の内容で、同じ話を1日に何人もの患者さんに繰り返すため、結果として診療の妨げになっています。ご存知のように当院は非常に来院者数が多く(平均100人以上/日)、繰り返されるワクチンに関する質問のため、診療時間が延び、それに伴い待ち時間も長くなっています。結果として「繰り返される新型コロナウイルスワクチンに関する同じ内容の質問のため、待合室が密になり、新型コロナウイルスに感染するリスクが高まる」といった皮肉な現象になっています。
 そこで、2021年2月28日現在、明らかになっている点をお伝えしますので、ご一読の上、新型コロナウイルスワクチンに関する質問は下記にないものだけに限定して頂きますようお願いします。互いの感染予防のためご理解ご協力のほど宜しくお願いします。


1、質問:「ここでワクチン接種を受けることができるのですか?それとも別の場所に行かなければならないのですか?」

回答:「三鷹市でのワクチン接種はコミセン体育館等を使用した集団接種と、医療機関などを使用した個別接種の併用になる予定です。当院は、個別接種施設として申請していますので、通院されている方は当院で接種できる可能性が大です。

2、質問:「三鷹市民でなくともここでワクチン接種を受けることができるのですか?」

回答:「原則、住民票がある市町村で接種することになっています。しかし、やむを得ない事情がる場合、住民票所在地外においても接種できる予定です。やむを得ない事情の一つに、「基礎疾患を持つ者が主治医の下で接種する場合」とあります。そのため、三鷹市外から通院中の方も当院で接種できるかもしれません(未定)。

3、質問:「どのような方がワクチン接種を受けた方がいいのですか?」

回答:「後述のように高齢に加え、基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD;肺気腫、慢性気管支炎)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患(脳卒中、心筋梗塞等)、肥満(BMI30以上)等)のある方は重症化しやすいことが分かっています。ですから、高齢者、高齢者でなくともこれらの基礎疾患がある方はとくに接種すべきです。」

<基礎疾患一覧>

慢性の呼吸器の病気
慢性の心臓病(高血圧を含む)
慢性の腎臓病
慢性の肝臓病(ただし、脂肪肝や慢性肝炎を除く)
インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病または他の病気を併発している糖尿病
血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く)
免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)
ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
染色体異常
重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
睡眠時無呼吸症候群
肥満症

4、質問:「何時頃から接種できるのですか?」

回答:「当初、2月下旬より医療従事者の試験接種、3月から私達医療従事者の本接種が開始、その後、4月から高齢者優先接種が開始されることになっていました。しかし、世界的なワクチン不足のため、私を含めた医療従事者の優先接種さえままならず、ましてや一般の方は当分接種できないと覚悟して下さい。おそらく優先接種の高齢者でさえ4月下旬以降と思われます。
医療従事者の後、高齢者(75歳以上)、高齢者(65歳以上)、基礎疾患のある方、60〜64歳の方、それ以外の方の順に接種予定です。」

5、質問:「ワクチンに副作用はないのですか?」

回答:「日本政府が購入したワクチンは3種類あります。真っ先に入荷するのがファイザー社製です。他社のワクチン納品は当分先です。ですので、ファイザー社製についてご説明すると副作用はあります。一部の方で、接種部位の腫れ、接種後の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛等が見られています。激しいアレルギー反応のアナフィラキシーは10万人で1人程度。インフルエンザワクチンの8倍。三鷹市民全員が2回接種して4人程度。アナフィラキシーを発症したからといって死ぬわけではありません。適切な処置で完治します。副作用は現在日本で使用されている多数のワクチン(インフルエンザ、麻疹、風疹等々)と大差ありません。

6、質問:「ワクチンは打った方がいいのですか?」

回答:「今回のワクチンは急ごしらえで新しい作用機序のため、一抹の不安があります。しかし、COVID-19は致死率のかなり高い疾患(60〜69歳;1.24%。70〜79歳;4.65%、80〜89歳;12.0%、90歳以上;16.09%)な上、私の調べる限りワクチンはきわめて安全性が高く(インフルエンザワクチンより多少副作用が強い程度で、抗生物質の点滴より遥かに安全)、インフルエンザワクチンと比べ物にならないほど有効性が高い(95%感染を防ぎ、致死率を99%低下)わけですから、有効性とリスクを天秤に掛ければ、特段事情がない限りワクチンを打たないといった選択肢は考えられません!もちろん私も接種します。

7、質問:「ワクチン接種費用はどうなるのですか?」

回答:「無料です。」

8、質問:「何回接種するのですか?」

回答:「3週間以上間隔を空けて2回です。しかし、ファイザー社製のワクチンは1回でも85%の感染予防率があったと報告されたのを受け、現在1回接種も検討されています。」

 同じ内容のリーフレットをご用意しています。ご希望の方はお持ち帰り下さい。また、三鷹市の新型コロナワクチン接種に関しる情報は随時三鷹市のホームページに掲載され、最も正確な情報をいち早く入手できます。是非、そちらをご参照下さい。

2021/02/11 
「1月7日から別館での外来診療が始まっています。」(その1)

 以前よりご連絡していたように1月7日より別館での外来診療が始まっています。新型コロナ感染拡大の影響で什器の準備が滞っていましたが、やっと待合室の椅子も揃いました。毎週スタッフミーティングを重ね、職場巡視で問題点をピックアップ、やっと一定の形になりました。本来なら早々にご報告すべきところですが、ドタバタしてなかなか時間が取れず、やっと落ち着きご報告できます。
 基本的に新設した別館は外来診療棟となっており、通院患者さんに使用して頂きます。一方、従来からある本館は健診スクエアとして専ら健診に使用します。
 左図、中図は別館3F外来受付会計窓口です。診療希望の方は別館専用エレベータでまず3Fに上がり、受付をして頂きます。
 右図は、別館3F隔離待合室と第1診察室です。通常私がこの第1診察室を使用します。発熱等感染症の疑いのある方は、陰圧になっている隔離待合室でお待ち頂きます。

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2021/02/11 
「1月7日から別館での外来診療が始まっています。」(その2)

 右図は別館3F第1診察室と第2診察室です。
 中図は別館3F検査処置室です。外来患者さんで採血、心電図、肺機能、血圧脈波等の検査、注射、点滴等が必要な方は、こちらから入って頂きます。
 右図は別館3Fのウォーターサーバーと奥に見えるのが採尿カップ提出口です。提出口の右側には男性専用小用トイレ、男女共用トイレ、女性専用トイレをご用意しています。男性専用トイレからは直接採尿カップを提出することができます。
 2Fに車椅子のまま入れる誰でもトイレもご用意しています。

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2021/02/11 
「1月7日から別館での外来診療が始まっています。」(その3)

 左図は別館3Fエレベータホール、中図は内階段です。2Fに降りる場合、足腰の弱っている方はエレベータで、しっかりしている方は内階段でお降り下さい。
 右図は別館2F外来受付です。チェックイン、会計、処方箋発行等は行いません。それらは専ら3F外来受付が行います。2F受付スタッフは検査目的で3Fから降りられ来られた方の誘導を行います。

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2021/02/11 
「1月7日から別館での外来診療が始まっています。」(その4)

 左図は、別館2F外来受付の奥にある第3診察室、画像読影室、職員専用室、内視鏡検査室、内視鏡準備室(左から)、中図は内視鏡検査受検者専用待合室です。4月から放射線科専門医を招聘、レントゲン、超音波などの画像検査を読影していただく予定です。
 現在、内視鏡検査は上部消化管(食道、胃、十二指腸)のみ行っていますが、行く行くは職員専用室まで内視鏡室を拡張、大腸内視鏡検査も行う予定です。内視鏡室内部は、ホームページの消化器内科・内視鏡科ページに掲載されている画像をご覧下さい。
 右図は別館2F第3診察室と画像読影室です。両者はアコーディオンカーテンで仕切られおり、読影医が不在時は第3診察室を担当する医師が利用することもできます。

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2021/02/11 
「1月7日から別館での外来診療が始まっています。」(その5)

 左図は、撮影の角度が悪く解り難いと思いますが、左側にあるのが別館2F内階段とX線一般撮影室になります。この通路を本館側に進んでいくと中図の如く左側にX線更衣室1と2、車椅子用出入口、操作室合計4っつ扉が分かります。更衣室のドアはアコーディオン式です。X線検査室を造設したことにより、レントゲン撮影の待ち時間が格段に短くなりました。
 一方、その向かい、廊下右側には、右図の如くX線一般撮影被検者用待合を設置しています。別館2Fと本館2Fは渡り廊下で繋がっており、この長椅子の前を通って本館に行くことができます。

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2021/02/11 
「1月7日から別館での外来診療が始まっています。」(その6)

 左図はX線一般撮影被検者用待合の長椅子から本館側を見た写真です。床手前と奥に金属の線が2本横断しています。手前の線までが別館、手前と奥の線の間が渡り廊下、奥の線より先が本館になります。
 渡り廊下を通った先は本館健診スクエアの中待合室となっています(中図)。正面に採血室があります。採血室には採血専用電動ベッドご用意、採血中気分が悪くなりやすい方は、始めから寝て採血することもできます。また採血室の左側には、気分が悪くなったが方が休むリカバリールームもご用意しました。
 右図は本館2F健診スクエア中待合から逆に別館2FX線一般撮影被検者用待合を見た写真です。中待合専用の自動血圧計、ウォーターサーバーがあります。

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2021/02/11 
「1月7日から別館での外来診療が始まっています。」(その7)

 本館2F健診スクエア中待合から採血のみならずすべての検査室に直接入室することができます。左図は眼底・眼圧検査室です。
 中図は今回導入した聴力検査用防音室です。従来聴力検査を実施していた部屋はX線透視室に近く、透視台の動く音が伝わるとのクレームを受けたことがありました。そのため、今回、防音室を設置しました。
 右図はX線透視室です。従来と変わりありません。

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2021/02/11 
「1月7日から別館での外来診療が始まっています。」(その8)

 本館健診スクエア中待合の採血室左の廊下(左図)を進むと超音波検査室、さらに、婦人科診察室、マンモグラフィ検査(乳房X線)があります。今回、婦人科診察室の前に女性専用の待合を新設しました(右図)。
 画像はありませんが、健診スクエアの男女更衣室を大幅に拡張、ロッカーも一新、複数の方が同時に更衣することも可能になりました。また、心電図などの検査室も拡張、複数の検査を同時に行えるようにしています。以上などがおもだった変更点です。
 今後も、皆様に信頼される医療機関であり続けるよう「カイゼン」を続けます。

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2021/01/11 
「当院ホームページのアクセス数が急増、月1.5万人(端末台数)を突破しました。」

 2015年4月2日の院長コラム「当院ホームページのアクセス数が増加して驚いています。(その1)(その2)」でアクセス数が月5,000人(ネット端末台数)を、そして2020年1月26日の院長コラムで1万人を突破したとご報告しました。
 その後、この1年でさらにアクセス数が増加、昨年11月には月15,136人に達しました(下図)。ホームページ管理会社の話だと、ネット予約を導入している診療所では、予約のため頻繁にホームページにアクセスする必要があり、自ずとアクセス数は増えますが、それでも5千人程度だそうです。当院はネット予約を導入していないにもかかわらず1.5万人を超えており、極めて異例とのことです。
 例年春から夏にかけてアクセス数は減少、秋から冬にかけて急増といったパターンを繰り返しています。
 これほどまでに、アクセス数が多いにもかかわらず、Googleの検索順位は高くなく、大抵2ページ目以降に表示されます。色々調べてみましたが、はっきりした原因は不明で、パソコンサイトとスマホサイトの内容が一致していないのが一因ではないかと思われます。
 前回ホームページを全面リニューアルしてから5年が経過しています。今後、基本的な路線変更をするつもりはありませんが、上述の如くGoogleの検索順位が今一つなのは癪に障りますし、ホームページでリニューアルの準備を始めました。次期ホームページではパソコンサイトとスマホサイトが完全に連動する仕組みにします。乞うご期待。

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2020/12/31 
「13年間使用した本館が改装され、別館での外来診療が始まります。」(その1)

 2020/10/21院長コラム「高松メディカルクリニック別館工事が順調に進んでいます。」で別館工事の進捗状況を、さらに2020/12/20院長コラム「上部消化管(食道、胃、十二指腸)内視鏡検査が本格稼働しました。」で別館が竣工し、12月から内視鏡検査が始まったことをお伝えしました。そして、12月28日、29日休診にして本館から別館に引っ越し、いよいよ来年1月7日より別館での外来診療が始まります。
 そのため、1月7日より外来患者さん用の入口が現ビル(=本館)のこれまでの入口(=旧入口)から新ビル(=別館)の新外来患者用出入口に変更になります。別館外来診療棟の受付はビル3Fになります。自動扉の入口から入り、エレベータで3Fに上がって下さい(左図)。
 2009年(平成21年)11月1日開院以来、何度か一部改修を加えながら13年間使用した本館は現在がらんとしています(中図、右図)。

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2020/12/31 
「13年間使用した本館が改装され、別館での外来診療が始まります。」(その2)

 引っ越し直後より一部工事も始まりましたが、今後本館はトイレも含め全面改装します(左図、中図、右図)。

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2020/12/31 
「13年間使用した本館が改装され、別館での外来診療が始まります。」(その3)

 本館は1月12日に竣工、13日から営業を再開します。改装後は、本館は健診専用施設=健診スクエアとなります。本館と別館は2Fを渡り廊下で繋ぎ行き来できるようになりますが、健診受診者と外来通院患者の出入口を別々にし、動線を分離させます。新型コロナウイルスも含め、通院患者の中に紛れ込む何らかの感染症患者が健診受診者と接触しないようにするための措置です。新型コロナに強い施設造りを目指します(左図、右図)。

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2020/12/20 
「上部消化管(食道、胃、十二指腸)内視鏡検査が本格稼働しました。」(その1)

新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴い遅れていた別館が竣工、内視鏡室の準備が整い、12月より上部消化管(食道、胃、十二指腸)内視鏡(経鼻、経口)検査が本格稼働しました。現在はまだ毎週火曜日のみですが、来年度以降は検査実施日を増やす予定です。検査が必要な方は是非当院をご利用下さい。左図は「内視鏡検査室全体像」、中図は「内視鏡保管庫」、右図は「内視鏡室診察室」です。

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2020/12/20 
「上部消化管(食道、胃、十二指腸)内視鏡検査が本格稼働しました。」(その2)

左図は「内視鏡検査受検者用リカバリーチェア」右図は「内視鏡検査室専用トイレ」です。

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2020/11/07 
「インフルエンザワクチン接種後1週間以内に80人以上が死亡したとの韓国報道について」

 私自身まったく知らなかったのですが、何人かの患者さんから「インフルエンザ予防接種後、韓国では数十人の方が死亡しているそうですが、日本は大丈夫なのですか。日本でも数名が亡くなっているそうですよ。」と質問されました。後ほど説明しますが、直感的には問題ないと思ったのですが、報道の詳細を把握していなかったので返事をすることができませんでした。
 そこで早速、その報道をネットで検索、読んでみました。要約すると「韓国の疾病管理庁が『今年度インフルエンザワクチン接種後1週間以内に、80人以上が死亡した』と発表した。韓国では例年国民の8割以上がインフルエンザワクチンを接種、昨年は接種後1,531人の高齢者が死亡しており、今年が特に多いわけではないとのこと。疾病管理庁は死亡例について調査を行ったところ、予防接種との因果関係は非常に低いと結論付けた。」とのことです。
 ちなみに日本では、厚労省による正式な報告として、例年3例前後インフルエンザワクチンと因果関係が疑われる死者がでています。
 そのような話を聞く、インフルエンザ予防接種をして大丈夫なのかと不安になる方もいるかもしれません。
 そこで冷静に分析してみたいと思います。
 今シーズン、日本で用意されたインフルエンザワクチンの量は、成人接種量で換算して、6356万人分です。今年は接種希望者が多く、ワクチン不足も懸念されています。恐らく10月、11月の2か月で大方使い切ると思われ、31+30=61日間で延べ6356万人が接種することになります。よって、日本での1日当たりの接種者は、6356万人÷61日≒のべ104万人となります。日本の人口が約1億2600万人ですから、日本人121人に1人が毎日インフルエンザワクチンを接種していることになります。
 一方、日本人の死亡数から計算すると毎日3,830人が死亡しています。よって、単純計算では、3,830÷121≒32人、つまり、日本ではインフルエンザワクチン接種後に毎日32人が死亡していることになります。換言すると、3,830−32=3,798人の方は、インフルエンザワクチンを接種しなくても毎日死んでいるのです。
 韓国の人口は日本よりだいぶ少ないですが、国民の8割がインフルエンザワクチンを接種するお国柄です。「昨年は1年間で接種後1,531人が死亡した。」「今年は接種後1週間で80人が死亡した。」といった報道を聞いても何ら不思議ではありません。日本では1日32人、1週間なら224人がインフルエンザワクチン接種後に死んでいるのですから。
 大事なことは、インフルエンザワクチン接種と死亡に因果関係があるか否かです。接種しない方に比べ、接種者の死亡率が高いか否かです。上記の報道では因果関係は認められなかったと報告されていますし、接種者の死亡率の方が高いといった調査は一切されていません。このような内容で、インフルエンザワクチン接種を控えるのは全くナンセンスです。
 巨人戦のテレビ中継視聴率を1%と仮定すると、巨人戦を見た翌日に亡くなる方は、3,830×0.01≒38人となります。巨人戦を見て毎日38人もの方が亡くなっているからといって、巨人戦を見るのを止めようと考えているようなものです。
 上述ごとく日本では例年インフルエンザワクチン接種と因果関係が疑われる死亡例が残念ながら3例前後出ています。
 ただ、インフルエンザワクチンの成人の発症予防効果は60%程度。インフルエンザの致死率は0.06%程度。例年の感染者数は1000万に程度。1000万人×0.0006=6,000人程度の方が亡くなる計算になりますが、インフルエンザワクチンによりその60%、毎年3,600人の命が救われています。実際例年の日本における季節性インフルエンザによる死亡者数は2,000人前後です。
 私は積極的なインフルエンザワクチン接種をお勧めします。

2020/10/21 
「高松メディカルクリニック別館工事が順調に進んでいます。」(その3)

2019/12/30院長コラム「施設拡張工事がついに始まりました。内視鏡検査室を新設、出入口を含め外来診療棟と健診スクエアを分離させます。(その1)(その2)」でご報告した施設拡張計画が新型コロナウイルス感染拡大のため、一旦頓挫してしまいました。
しかし、ビルオーナーやスタッフ、様々な方々のご協力があり、遅ればせながら6月から再開、順調に工事が進んでいます。そして10月19日(月)、20日(火)と外来を休診にし、ついに渡り廊下で本館と別館が繋がりました。これはまだ、スタッフが通れるようになっただけで、患者さんや健診受診者の方々が自由に往来できるのはまだ先になります。
次は、年末年始にお休みを頂き本館の改装工事をします。この工事が終われば、本館=健診スクエア(健診専門施設)、別館=外来診療棟(保険診療)の棲み分けが可能になり、新型コロナウイルス感染症に強い医療機関となります。現在の工事進捗状況について、簡単に画像でご紹介します。
左図は、別館3F外来受付と隔離待合と第1診察室です。
中図は、別館3F隔離待合室と第1、第2診察室です。
右図は、別館3F第2診察室と検査室です。

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2020/10/21 
「高松メディカルクリニック別館工事が順調に進んでいます。」(その2)

左図は、別館3Fエレベーターホールです。
中図は、別館3F男性小用、男女兼用、女性用トイレです。
右図は、別館3F尿検体提出口です。

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2020/10/21 
「高松メディカルクリニック別館工事が順調に進んでいます。」(その1)

左図は、別館2F受付、第3診察室、読影室、院長室入口です。
右図は、別館2F第3診察室、読影室、院長室、内視鏡診察室、内視鏡処置室入口です。
以上です。ちなみに赤と黄色の線はLANケーブルで撮影当日はLAN等の弱電工事日でした。
工事にていろいろとご迷惑をお掛けしますが、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

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2020/09/13 
2020年度インフルエンザワクチンに関するお知らせ

例年通り10月1日よりインフルエンザワクチン接種が始まります。今シーズンは、巷間報道されているように厚労省より、2009年の新型インフルエンザパンデミック時同様、接種対象者、順序に関し指示される可能性があります。その点も踏まえ、現時点での知見、当院の方針をご連絡します。

1、昨シーズン、ワクチン生産トラブルから出荷が遅れ、10月以降五月雨式に納品されたため、接種者が集中した10〜11月に「一時的な欠品」を生じました。しかし、その後生産が追いつき、最終的には、昨シーズン、ワクチンは全国的に余っています。
2、今シーズンワクチンの出荷量は昨年比106%と増産されます。
3、今シーズンワクチンは順調に生産、10月で十分量が納品されるため「一時的な欠品」はありえません。
4、従来、冬期の発熱患者にはインフルエンザ診断目的に鼻咽頭拭い液による迅速検査を実施していました。しかし、今シーズン発熱患者に新型コロナウイルス感染者が混在している可能性があります。そのため採取時の咳嗽、くしゃみなどにより院内感染誘発リスクのある鼻咽頭拭い液採取は安易に実施できません。
5、インフルエンザ迅速検査実施が困難なため、当然、発熱患者がインフルエンザなのか、新型コロナウイルス感染なのか鑑別診断が困難となります。
6、タミフル等インフルエンザ治療薬の適正使用には、迅速検査による正確なインフルエンザ診断が必要ですが、迅速検査実施が困難なため、今冬インフルエンザ治療薬を使いにくい状況です。
7、以上を鑑み、罹患リスクを減らすため、今シーズンは特に強くワクチン接種が推奨されています。
8、従来、インフルエンザに罹患した場合、致死率の高い高齢者(接種時65歳以上)は定期接種化され、半額程度(三鷹市は自己負担2,500円)でワクチンを接種できます。今シーズンは、ワクチン接種を促進する目的から、高齢者についてはさらに2,500円の自己負担額もなくし、神奈川県同様東京都民も無料で接種できるようです(未定)。そのため、ワクチン接種希望者が増加するものと思われます。
9、9月11日新型コロナウイルス感染症との同時流行に備え、65歳以上の高齢者へのインフルエンザワクチン優先接種を10月1日から始めるとの報道がありました。60〜64歳で心臓や呼吸器機能に障害がある人も対象で、それ以外の人は、10月26日から接種を受けられるようにするとのことですが、現時点で正式な通達はありません。医療従事者や、高齢ではないが重症化リスクが高い持病のある人、妊婦、生後6カ月〜小学校2年の子どももできるだけ早く接種できるようにしてほしいとのことです。
10、以上のごとく現時点では正式な通達がないため、ワクチン接種の予約は行っていません。通達があり、正式な接種順序が決まり次第予約を始めます。10月1日以降、予約なく来院された場合、接種対象者であれば接種しますが、対象者でない場合お引き取り頂き、対象者となる時期に再度来院していただきます。

以上です。ご理解ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。

2020/05/10 
「新型コロナウイルス感染拡大を受け院内感染対策をさらに強化します。」(その1)

4月7日緊急事態宣言発令後、新型コロナウイルス感染者数は感染爆発こそ見られませんが、終息していない状況で、5月1日の東京都発表では、すでに三鷹市内で26人の新型コロナウイルス感染患者が発生しています。
そのため、当院ではさらに感染対策を強化します。従来からの
1、発熱、気道症状を伴う方の診療は全員予約制とします。予約時間を調整、それらの症状を伴わない一般の患者さんと時間的分離を行います。外来待合室が込み合っているときに、予約なくそのような症状の方が来院された場合、いったん帰宅して頂き、予約0人の時間帯に改めて受診して頂きます。
2、来院者は受診理由の如何に関わらず必ずマスクの着用をお願いします。当院でもマスクの在庫が限られるため配布できない可能性が大です。マスクはご自身でご用意し着用をお願いします。
3、受付カウンター前に左図のような消毒用アルコールスタンドを設置しました。来院者は必ず手指消毒の励行をお願いします。
の対策に加え、
4、中図、右図の如く外来受付、健診受付とも透明パネルを設置、受診者、職員双方の飛沫感染を予防します。

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2020/05/10 
「新型コロナウイルス感染拡大を受け院内感染対策をさらに強化します。」(その2)

5、診療に携わる職員はN95マスク(下図)、フェイスシールドを装着して業務にあたります。会話が聞き取りにくくなるなどご不便をお掛けしますが、ご理解ご協力のほど宜しくお願いします。

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2020/05/03 
「N95マスク480枚を石井薬局石井守薬局長より無償で供与して頂きました。」

現在、まったく入荷見込みのないN95マスク480枚(下図)を上連雀にある三鷹市薬剤師会常任理事の石井薬局石井守薬局長より無償で供与して頂きました。N95マスクがまったく手に入らず困っていたところ、SARS(重症急性呼吸器症候群)流行時備蓄していたもので使用期限が切れたものを供与して頂きました。物がマスクのため使用期限は形式的なものです。厚労省からも「N95 マスクの例外的取扱い・・・必要な場合は、有効期限に関わらず利用すること。」との通達が令和2年4月15日付で発せられており、まったく問題なく使用できます。先生の御志に応えるため必要な枚数のみ頂き、残りを現在開設準備中の三鷹PCR検査センター等に供与します。末筆ですがご厚誼に深謝申し上げます。

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2020/05/02 
「高血圧と新型コロナウイルス感染症について」

 一部マスコミで、高血圧の持病が新型コロナウイルス(以下、COVID-19)感染の危険因子であるとする報道がなされています。つまり、高血圧患者は、COVID-19に感染しやすいとする報道です。根拠として、COVID-19が人間の細胞に入り込むときに利用するリガンド(接着因子)が細胞表面にあるアンギオテンシン変換酵素2型(ACE2)であり、高血圧治療薬としてACE阻害剤(ACEI)やACE2受容体拮抗剤(ARB)を服用していると細胞表面のACE2が増加し、感染しやすくなるのではないかとの推論からです。現在、その正否に関して明確な研究結果はなく不明です。そのため、世界中の高血圧に関する学会からは、ACEIやARB服用を中止する必要はないとする声明が発表されています。当院では否定する根拠も、肯定する根拠もないことを鑑み、ご本人さんの希望、お考えも尊重しながら継続するかどうか判断しています。

2020/04/26 
「診療所の中心で愛を感じる〜新型コロナウイルス感染拡大にあっても〜」

 新型コロナウイルス感染が拡大、徐々に来院患者数が減少、長期処方や電話再診で済ます方も増え、いよいよ待合室は閑散としてきました。流行前、混み合っていたときは立って順番を待つ方もいたほどでしたが、今では一人帰ると一人また来院といったことも珍しくなく、待合室では少なくとも飛沫による院内感染の可能性は「0」といった有様です。
 こうなると新型コロナウイルス以外の感染症も、例えばただの風邪も含め、押し並べて院内感染の確率はぐっと下がっているはずで、悪いことばかりではない気がします。
 次の患者のことを気にする必要がないため、患者からの質問にも懇切丁寧に説明、普段言葉足らずで解り難かった話も、今はしっかり理解されている様子。時間的余裕は、単に患者さんの持病のことだけでなく、普段なかなか聞けない家族のこと、日々の生活ぶり、仕事の内容など持病の背景を理解する上で十分な情報収集を可能にしてくれます。先日もある患者の血圧値が気温の上昇とは裏腹に悪化、その原因を探ろうと色々質問していると、家業が国内唯一の非接触型体温計メーカーであることを知りました。新型コロナウイルス感染拡大を受け、体温計の注文が殺到、毎晩仕事を終えるのが深夜で睡眠不足なっていることが判明しました。入手困難となった非接触型体温計を一台何とか融通して頂けないか、ちゃっかりお願いしてしまいました。これも新型コロナによる副次的産物と言えます。
 そして何よりも嬉しかったのが患者さんの愛です。医療従事者の激務、院内感染リスク、そのために受ける本人、家族への偏見等がマスコミ報道されるにつれ、毎日毎日たくさんの患者さんから、「先生、頑張って下さいね」「体に気を付けて下さいね」「お大事に」「先生に倒れられては、私達患者は困るんです」と声を掛けられ、自分が患者さんから愛されていることに本当に勇気づけられています。新型コロナ感染の恐怖から半ばノイローゼ気味になっている患者さんに「心配し過ぎないで下さいね。〇〇さんが感染する前にまず私が先に感染するから。まだ、私は元気ですから、〇〇さんだってきっと大丈夫ですよ。」と声を掛けると目に涙を浮かべ「そんな、縁起でもないこと絶対に言わないで下さい。」と叱ってくれる患者さんもいて、軽口を叩いた自分を恥入りました。
 以前、2018/07/07院長コラム「診療所の中心で愛をさけぶ」との拙文を掲載しました。その最後の一節に「当院のホームページ・・・『患者さんが安心して治療に専念していただけるように、まずは信頼関係が重要と考えております。』・・・記載しています。信頼関係の究極の姿は、患者さんに愛されることなのでしょうか。」と記載しましたが、最近まさしく患者さんの愛を実感しています。

2020/02/17 
「2月14日から15日に北九州国際会議場で開催された第53回日本痛風・尿酸核酸学会総会に参加してきました。」

 令和2年2月14日から15日にかけて、社会医療法人製鉄記念八幡病院理事長・院長土橋卓也大会長のもと北九州国際会議場で開催された第53回日本痛風・尿酸核酸学会総会に参加してきました。13日水曜日の診療を1時間切り上げ前日北九州入り、14日、15日とも全プログラム参加してきました。14日、15日の私の外来は休診でしたが、両日とも午前中の乳腺外来はそのまま継続、一人で診療して頂き、午後は休診としました。当院は基本的に予約制のため、事前に周知が行き渡り大きなトラブルはなかったようです。
 さて、本学会は昨年まで「日本痛風・核酸代謝学会」という名称でしたが、昨年2月の学会で「日本痛風・尿酸核酸学会」に変更になりました。ご存知のように痛風は尿酸値が高いと発症する病気です。ですから健康診断の項目にも「尿酸」という項目がたいてい設定されています。しかし、これまで本学会の名称に「尿酸」という言葉は使われず、一般の方には馴染みの薄い「核酸代謝」という文言が使用されていました。よく知られている「尿酸」という言葉を使用し、学会の存在を広く周知、医師のみならずパラメディカルの方々にも参加してもらいたいという意図もありますが、「尿酸」研究が大きな転換点、大袈裟にいうとパラダイムシフトしていることも理由です。
 これまで、「尿酸値が高い」→「痛風」が唯一無二の固定概念でした。あるいはせいぜい「痛風」と「結石=尿酸結石(じっさいはシュウ酸結石の方が多いですが)」が発症するが命に別状のない病気といった考えでした。しかし、高尿酸血症が血管内皮細胞障害を惹起、心血管イベント(脳卒中、心筋梗塞などの血管の病気)や腎機能障害の危険因子であることが明らかになりつつあります。宜しければ当院ホームページの高尿酸血症・痛風内科のページをご参照下さい。そのため、今回の大会テーマも「基礎と臨床の叡智を結集し尿酸の本質に迫る」と尿酸の新しい一面を意識したテーマとなっています。
 本大会を聴講して特筆すべき話題をいくつか取り上げます。
 まず、川崎医科大学小島淳教授が中心となり2018年研究発表した大規模疫学研究FREED試験では、無症候性高尿酸血症患者(痛風発作を来していない高尿酸血症患者)に尿酸降下剤フェブキソスタットを投与することにより、腎機能低下を抑制できたことを報告しました。これまでもいくつか似たような研究発表がありましが、明確なエビデンスを示した初めての研究発表といっても構いません。その成果を踏まえて、昨年発表された高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」でも「Clinical Question2:腎機能障害を有する高尿酸血症の患者に対して、尿酸降下薬は非投薬に比して推奨できるか?」の回答として「腎障害を有する高尿酸血症の患者に対して、腎機能障害を抑制する目的で尿酸降下薬を用いることを条件付きで推奨する。」となっています。
 また、高尿酸血症の病型分類は、従来「尿酸排泄低下型」「尿酸産生過剰型」及びその両者が混在する「混合型」で、日本人の場合「排泄低下型」が約3割で最も多いとされていました。しかし、最近の日本の研究で実は腸からも尿酸は排泄されており、それが低下するために血清尿酸値が上昇する「腎外排泄低下型」が存在、しかも、日本人の場合、このタイプは約8割と最も多いことが明らかになっています。この研究を踏まえ、当院ホームページも改訂します。
 尿再降下薬には、尿酸排泄促進剤、尿酸生成抑制剤があります。そして本来尿酸排泄低下型の高尿酸血症患者には排泄促進剤を、産生過剰型の患者には生成抑制剤を使用するのが理にかなった治療法といえます。しかし、尿酸排泄促進剤で最も強力なベンズブロマロンには稀ではありますが劇症肝炎の副作用があるため投与しにくく、多くの場合、生成抑制剤で目立った副作用のないフェブキソスタットが実臨床において投与されていました。しかし、近々新薬の選択的尿酸再吸収阻害薬が上梓されることが明らかになっています。今回この薬の治験段階での報告もありましたが、今のところ目立った副作用もなく、日本人の病型分類を考慮すれば今後はこの薬が主流になる可能性が高いと思われます。

2020/02/09 
「2020年2月8日京王プラザホテルで開催された日本総合健診医学会第48回大会に参加してきました。」

 日本大学短期大学部 教授・食物栄養学科 学科長橋敦彦大会長のもと2020年2月7日、8日の両日京王プラザホテルで開催された日本総合健診医学会第48回大会に参加してきました。2月8日(土)の私の外来を休診にし、8日のみ参加してきました。新型コロナウイルス関連肺炎の流行を鑑み、開催中止も検討されましたが、予定通り催行されました。大会スタッフ全員がマスクを着用、一種異様な雰囲気となっていました。
 私の外来は休診でしたが、保坂外来はそのまま継続、昨年の日本乳癌検診学会同様保坂先生一人で診療して頂きました。
 さて、今回の学会テーマは「予防で築く健康長寿社会 −食・栄養と総合健診−」です。大会長が食物栄養学科教授ということもあり、食と栄養に関するセッションに注力されていました。ただ、私としては最も聞きたかった知己の杏林大学医学部呼吸器内科学石井晴之教授演者の「特発性肺線維症〜早期診断の意義を説く〜」を拝聴したのでご報告します。
 皆さんご存知のように肺は、呼吸により吸い込んだ空気の中の酸素を肺に巡らされた毛細血管の中の血液に溶かし込み、逆に二酸化炭素を取り出し、呼気として排出しています。ところがこの毛細血管との間の壁が線維化して硬くなり、酸素が通過し難くなったり、また、その硬さのため肺が膨らまず、空気を吸い込み難くなったりして、呼吸ができなくなる病気が間質性肺炎です。肺炎と名付けられてはいますが、皆さんが肺炎と聞いて想起する病状、肺にばい菌が入り込み(新型コロナウイルス肺炎もそうです)、肺が膿んでしまう感染性肺炎とは全く別の病気です。間質性肺炎は、膠原病(全身性強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎、関節リウマチなど)、薬剤性(抗がん剤、ある種の漢方薬、サプリメントなど)、過敏性(カビ、鳥の糞、空調、加湿器など)、職業性(粉塵、アスベスト等)など原因がはっきりしている場合もありますが、原因を特定できない場合、特発性間質性肺炎と呼びます。特発性間質性肺炎はさらにさまざまな亜型に分類されますが、最も多い型が炎症を余り伴わず線維化か主病態となる特発性肺線維症です。炎症を伴わないため、抗炎症作用のある副腎ステロイドホルモン剤の効果が乏しく難治性で予後不良です。病因は不明ですが、遺伝的な素因に喫煙(特発性肺線維症患者の全員が喫煙者)や加齢が加わり発症するものと考えられています。
 主な症状は労作時の息切れ、空咳などです。
 肺が硬くなると、肺の背部下方で吸気時に特有のベルクロラ音(マジックテープを剥がすときのバリバリといった音)が病初期から聴取されるようになります。最近、息切れ、空咳等を認める方は、是非主治医に肺の音を聴診してもらいましょう。そして、胸部レントゲン撮影と肺機能検査を受けて下さい。肺線維症を疑う所見が得られた場合、肺CT検査を追加実施することで診断がほぼ確定します。
 特発性肺線維症は非常の予後不良の病気です。診断後の5年生存率は20%程度しかありません(診断5年後に生きている方は20%)。ただ、あくまでも平均20%で、特発性肺線維症と診断された患者さんの中には、ほとんど進行しない方から、数か月で一気に進行する方まで様々です。特発性肺線維症が予後不良な理由は有効な治療法がないことです。先述の如く一部の特発性間質性肺炎では副腎皮質ホルモン剤が有効ですが、肺線維症では効果がほとんどありません。最近、抗線維化薬が開発され進行を遅らせることはできるようになりましたが、完治することはありません。運動により心肺機能を少しでも高め進行を遅らせたり、在宅酸素療法を導入したり、場合によっては肺移植手術が行われるともあります。さらに、特発性肺線維症を予後不良にしている理由は、肺癌、気胸、縦隔気腫、肺高血圧、気道感染症、胃食道逆流症を合併しやすいことです。そのため、定期的に受診し、検査をしつつ経過観察することが必須です。

2020/01/26 
「当院ホームページのアクセス数が急増、月1万人(端末台数)を突破しました。」

 2015年4月2日の院長コラム「当院ホームページのアクセス数が増加して驚いています。(その1)(その2)」でアクセス数が月5,000人(ネット端末台数)を突破していることをご報告しました。
 その後、スマホ対応でないこと等より、アクセス数がじり貧となったため、ホームページのリニューアルを敢行しました(2016/10/02院長コラム「ホームページを全面的にリニューアルしました。経緯をお話します。(その1)(その2)」。結果、再びアクセス数が伸び始め、2018年8月には8,606人に達しました(左図)。
 しかし、その後急激に減少(左図)、2019年4月には1,237人まで落ち込んでしまいました(右図)。ホームページ管理会社に問い合わせましたが、結局のところ原因不明でした。Googleの検索順位が、2ページ目以降に下がったのが原因かもしれません。検索順位を上げる技術的なテクニックはいろいろあるようですが、もとから、上記のコラムでも述べましたが「多少大袈裟に言うと、年を取るに従い死ぬ前に自分の思っていることを思う存分述べてみたいという欲望に駆られ」執筆するようになったわけで、「まあ、いいか」と思い、相変わらず私も職員もひたすら自分の書きたいことを書き続けました。すると、どういうわけか急激にアクセス数が増加、1万人を突破、11月には月13,162人に達しました。ホームページ管理会社の話だと、一診療所で1万人を超えるところはめったにないとのこと。上記のコラムでも述べましたが、「言いたいことを書き殴っても、誰にも読んでもらえないようでは、自己顕示欲(恥かしがり屋で人見知りにも拘わらず、そこそこ自己顕示欲もあります)が満たされません。」
 つい先日三鷹市外にお住いの漫画家の方が当院を受診されました。市外にお住まいの方だったので、どうしてわざわざ当院を受診されたのですかとお聞きしたところ、「病名で検索していていくつかの医療機関のホームページを見ましたが、最もデザインが気に入ったので受診しました。」とのことでした。正直、その病名に関する記事よりデザインを評価して頂いたことの方が嬉しかったです!(^^)! 今後もこうった患者さん言葉を励みに頑張りたいと思います。
 ちなみに分析すると、アクセスされたページの1位が「ヘリコバクター・ピロリ菌検査を受けた方へ」、2位がなんと「山口大学医学部軽音楽部20周年記念演奏会 楽曲紹介」!!!、3位が「トップページ」で、4位が「休診・診療時間変更のお知らせ」で、5位が「高血圧内科」でした。悲しいかな以前5位の「院長コラム胃痛い放題」は圏外に。最近、余り執筆していないのが原因だと思います。今後も、「胃痛い放題」頑張ります。

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2019/12/30 
「施設拡張工事がついに始まりました。内視鏡検査室を新設、出入口を含め外来診療棟と健診スクエアを分離させます。」(その1)

 胃の検査に関して、当院では上部消化管造影検査(バリウム検査)しか実施できません。内視鏡検査が必要な場合、近隣医療機関に紹介、委託しています。しかし、昨今、上部消化管疾患のスクリーニングや精密検査、ピロリ菌除菌療法などで内視鏡検査は必須、当院健診施設「健診スクエア」における健診や外来診療の懸案事項となっていました。
 当院が入居するビルは5階建てで、その2、4階を賃貸しています。残りの1、3、5階に入居される店子で近々移転予定の方はなく、物理的に拡張困難な状況にありました。そのため、拡張するには現ビルを出て、新たに広い床面積を持つビルに移転するしかないと考えていました。ところが、現ビルの隣にある月極駐車場(左図の赤線で囲んだ部分、現地は中図)のオーナーからそこに新しく4階建てビルを建て、現ビルの2階と渡り廊下で繋ぐという提案を受け、承諾しました。1階が駐車場(4台程度)となり、2階、3階を当院が賃貸(4階は他の方が入居)、2階が現ビルと渡り廊下で繋がり、新ビルは3階、2階がメゾネットになり、3階が外来診察室2室(第1と2)+採血検尿室+生理機能検査室となり、おもに保険診療(外来診療)を行うスペースとなります。
 一方、新ビル2階は内視鏡室、X線一般撮影室、放射線科読影室、第3(健診用診察室)、第4(内視鏡室付属)診察室を新設します。
 今回の増築により、

1、内視鏡専門医を招聘、内視鏡検査ができるようになり、来年度から三鷹市胃がん内視鏡検診の受託施設となる予定です。当面は上部消化管(食道、胃、十二指腸)検査のみ実施しますが、出来るだけ早期に大腸内視鏡検査も実施できる体制を整える予定です。
2、X線一般撮影室を新設、従来のX線透視室を上部消化管造影検査専用とし、一般撮影と分離させます。さらに新設したX線室にFPD(Flat-panel X-ray detector)採用の撮像装置、専用の更衣室を二つ設置、レントゲン検査の撮影時間そのものは、一人1分未満となります。そのため、X線撮影のスピードが格段に速くなり、乳房X線検査も含め検査待ち時間が激減します。
3、診察室の数が、現在の2診+婦人科診察室から3診+内視鏡室付属診察室(第4診)+婦人科診察となり、ほぼ倍増、常時2〜3診体制となり、外来患者、健診受診者のさんの待ち時間が激減します。
4、放射線読影室新設、放射線科専門医を招聘、読影を依頼することにより画像検査の診断精度が上昇します。
5、外来診療棟が新ビル3階、健診スクエアが現ビル2階+新ビル2階に分離、各々の出入り口も別々になり、健康な健診受診者が病気の方と交わることがほぼなくなります。ちなみに、健診スクエアの入口は今のまま(右図)ですが、(続く)

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2019/12/30 
「施設拡張工事がついに始まりました。内視鏡検査室を新設、出入口を含め外来診療棟と健診スクエアを分離させます。」(その2)

  外来診療棟の入口は、現ビル南側隣にあるミキ薬局とこいけ菓子店の間の通路(左図、中図)を進んだところ(右図)になります。
6、健診スクエアと外来診療棟のトイレが別々になり、健康な健診受診者と病気の方が同じトイレを使うことがなくなります。
7、トイレの数も従来の男性2人分(大と小)、女性1人分から、男性4人分(大2、小2)、女性2人分に倍増、さらに、車椅子の方も利用できる多目的トイレも新設、よりバリアフリー化を目指します。
8、婦人科診察室を拡充、三鷹市子宮がん検診の受託施設となる予定です。
9、マンモグラフィ(乳房X線検査)、婦人科診察用女性専用待合コーナーを新設、女性は男性の視線を気にせず、乳房X線検査や婦人科診察を受けることができます。
10、超音波検査室も拡張、電子カルテ端末、PACS(画像検査)端末も設置、カルテや以前撮像した画像検査結果をリアルタイムで観察しながら検査できるため、超音波検査の検査精度、診断精度、検査効率が上昇します。
11、健診スクエアと外来受診者用の採血室、生理機能検査室を分離、採血、心電図、運動負荷心電図、血圧脈波、肺機能検査などを別々に、同時実施できます。そのため検査効率が倍増、採血、検査待ち時間が格段に短くなります。
12、健診を健診スクエア更衣室を男女とも大幅に拡張、複数の方が同時に更衣できるようにしました。そのため、健診時間が短縮化されます。
13、発熱者専用待合室をインフルエンザ流行期以外の季節も常時設置、院内感染減少を図ります。
14、待合室の椅子の数をほぼ倍増させ、繁忙期立って順番を待つようなことがなくなります。
15、院内設置の自動血圧計を2台に増設、より手軽に血圧測定ができるようにします。
16、これまでお車で来院される方には、契約する近隣のコインパーキングをご利用頂き、1時間の無料割引券をお渡ししていました「交通案内」のページ参照)。今回、新ビル1階に4台ですが当院専用駐車場をご用意しました。また、駐車場はビル1階のため降車時に雨に濡れることもなく、車椅子の方も安心して乗降できます。
等の対策が講じられます。
 現在すでにビル工事が始まり、ビル全体構造が完成しています。今まで以上に職員一丸となって当院の掲げる診療指針に則り努力して参ります。なお一層の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 皆様にとって幸多き年でありますよう、心からお祈り申し上げます。

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2019/12/08 
「2019年11月8日と9日福井商工会議所他で開催された第29回日本乳癌検診学会学術総会に参加してきました。」

 2019年11月8日と9日福井商工会議所他で開催された第29回日本乳癌検診学会学術総会に参加してきました。11月8日(金)と9日(土)とも外来を休診にし、前日7日夜から前乗りして両日ともすべてのプログラムに参加してきました。二日間とも私の外来は休診でしたが、学会休みとしては今回初めて保坂外来はそのまま継続、土曜日は保坂先生一人で診療して頂きました。当院の場合、通院患者の8、9割は予約患者です。よって、私の外来に通院されている方の多くが事前に予約日を変更し、9日土曜日に集中しないように配慮していました。後日パラメディカルスタッフからヒアリングしたところ、何も問題もかったようで、開院後初めてクリニックは自体は休診とせず、私の外来のみ計画休診できる体制が確立しました。そのこともあり、木曜日、金曜日の乳腺外来担当のお二人の先生に、私が学会出張のため外来を休診した場合の対応について相談させて頂きました。お二人とも乳腺のみならず一般診療もこなせる先生です。結果、お二人とも、診療を継続して頂けることになりました。二人の外来は午前中のみです。よって、今後私が木曜日、金曜日にお休みする場合、午後のみ休診となります。来年度以降はさらに非常勤医の外来を増やす準備を進めています。最終的には、計画休診のみならず、いつ何時私が倒れても、診療が恙無く継続できる体制を確立させるつもりです。
 さて、今回の学会テーマは「みんなでもっと知ろう わかって受けよう乳がん検診」です。今回会場が狭く、立ち見でも会場に入れないセッションもあり、希望通り聴講できませんでした。それでも「職域検診における精度管理を目指して 〜現状と対応〜」「みんなで知って分かって受ける:絶対リスク減少から考える乳癌検診の利益と不利益」「もっと知ろう、わかって受けよう乳がん検診」「乳がん診療と倫理」「乳がん検診におけるリキッドバイオプシー」「乳房超音波検査のトピックス」「乳がん早期発見につなげる新しいがん保険」「高濃度乳房問題を考える」「福井県の恐竜化石調査30年の結果何が見えてきたか?」「HER2陰性MBCにおけるベストストラテジーを考える〜テセントリクの適応によりどう変わるか〜」「乳がん検診はAIとどのように関わっていくのか」等を聴講しました。得られて知見を、今後の診療に活かしていきたいと思います。

2019/12/04 
「2019年11月4日山形テルサで開催された第13回日本禁煙学会学術総会に参加してきました。」

 11月4日山形テルサで開催された第13回日本禁煙学会学術総会に参加してきました。会期は11月3日(日)と4日(月・休)でしたが、3日は東京国際フォーラムで開催された第40回日本肥満学会及び第37回日本肥満症治療学会学術集会に参加(2019/11/10院長コラム「2019年11月3日東京国際フォーラムで開催された第40回日本肥満学会及び第37回日本肥満症治療学会学術集会に参加してきました。」をご参照下さい)していたため、18時東京発の山形新幹線で山形へ向かい、4日文化の日振替休日のみ参加してきました。
 今回の合同学会のテーマは「脱ニコチン!依存症からの解放−環境・治療・教育 三位一体の禁煙推進―」です。今回参加の目的は、やはり新型タバコ(電子タバコ、加熱式タバコ)関連のセッションです。当院では禁煙外来を設置していますが、最近、旧来の紙巻き燃焼式タバコを禁煙できない方が、新型タバコに移行、それが免罪符となってますます禁煙できなくなっている方、禁煙する気持ちが失せてしまった方を多く見かけます。新型タバコに関する正確な知識を習得、そういった方々に対し正しい情報を提供し、真の禁煙に繋げることが重要だと考えています。
 電子タバコとは、タバコに模したある種の液体を電熱線で低温加熱、エアゾル化して吸引させるものです。液体にはニコチンを含むものと含まないものがありますが、日本ではニコチン入りの液体の販売が規制されているため、海外から個人輸入しない限り吸引はできません。ニコチンを含まないものは、ニコチン依存症になりません。
 電子タバコの有害性ですが、ニコチンが含まれればニコチン依存症になりえ、電子タバコが止められなくなる可能性大です。液体にニコチンが含まれなくともその他ホルムアルデヒド等有害な物質が含まれている可能性があります。しかし、そのようなデータは粗悪な液体を使用したデータだったり、間違った吸引方法(空焚き、高温加熱)だったりしたためで、日本で販売されている液体を正しく使用すると検出されないとする意見もあります。
 また、紙巻きタバコ喫煙への入り口になっている、電子タバコが禁煙成功率を下げる、との指摘もあります。しかし、燃焼により発生するタールが出ないため、紙巻きタバコ喫煙者の健康、とくに慢性閉塞性肺疾患(COPD)を改善させるためニコチン置換療法として有効であるとの考えもあります。
 一方、加熱式タバコとは、葉タバコを燃焼させず加熱することにより、ニコチンを含むエアゾルを発生させ吸引するものです。
 日本では、タバコの葉の成分を含むプルーム・テック(左図)アイコス(中図)グロー(右図)等が販売されており、紙巻きタバコ同様、20歳以上の者しか吸引できません。世界保健機関(WHO)を始め、世界のあらゆる機関、団体から、加熱式タバコは紙巻きタバコ同様の有害性を指摘されています。私の所属する日本禁煙学会日本呼吸器学会からもその危険性を指摘され、下記のようなステートメント「非燃焼・加熱式タバコや電子タバコに対する日本呼吸器学会の見解」が発表されています。

1、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は、健康に悪影響がもたらされる可能性がある。
2、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用者が呼出したエアロゾルは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある。従来の燃焼式タバコと同様に、すべての飲食店やバーを含む公共の場所、公共交通機関での使用は認められない。

 路上喫煙禁止条例の対象とするかは、地方自治体によりまちまちで、加熱式タバコは対象としますが、電子タバコは対象外とする自治体が多くみられます。またJR東日本等ほとんどの公共交通機関では、紛らわしいことから電子タバコも禁煙の対象としています。
 ニコチン依存症の方を対象とし健康保険を使用して禁煙する禁煙外来(禁煙治療)は従来燃焼式タバコを前提とし、新型タバコは対象になっていませんでした。2006年の禁煙治療保険適用時、加熱式タバコがほとんど存在しなかったからです。しかし、昨今の急速な加熱式タバコの広がりとその毒性を鑑み、2020年4月から新型タバコも禁煙外来の保険適用となることが先週厚労省の会議で大筋決まりました。詳細が決まりましたら周知します。新型タバコ依存症になっている方、その折は、是非禁煙にチャレンジして下さい。

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2019/11/10 
「2019年11月3日東京国際フォーラムで開催された第40回日本肥満学会及び第37回日本肥満症治療学会学術集会に参加してきました。」

 11月3日東京国際フォーラムで開催された第40回日本肥満学会及び第37回日本肥満症治療学会学術集会に参加してきました。会期は11月2日(土)と3日(日)でしたが、土曜日の午前診療後も書類作成等の残業があり、3日のみ参加してきました。もともと二つは別の学会ですが、今回初めて合同で学会を開催しました。学会名に「治療」のあるなしはありますが、両者とも肥満症をテーマとする学会であり、ゆくゆくは合併を視野に入れているとのことでした。医学が細分化されるに従い医学系の学会の種類も増え、現在では軽く200以上あります。そのため、あちこちの学会で同じような研究結果が繰り返し発表されています。あまりに細分化され過ぎて会費を払うだけでも大変です。
 今回の合同学会のテーマは「健康長寿社会への肥満症総合戦略:Bridge over Obesity」で、肥満学会の会長は千葉大学大学院医学研究院内分泌代謝・血液・老年内科学横手幸太郎教授、肥満症治療学会は自治医科大学消化器・一般外科細谷好則教授でした。肥満症治療といって皆さんが真っ先に思い浮かぶことは、運動だったり、食事制限、糖質制限だったり、あるいは痩せ薬(商品名:マジンドール)等ではないでしょうか。にもかかわらず今回の肥満症治療学会の会長は手術をする外科医です。内科ではありません。少し不思議に思われるかもしれませんが、このことが今回の学会で最も多く取り上げられてテーマ、私自身が最も拝聴したかった肥満に対する外科治療、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(LSG)を示唆しています。
 例年の肥満学会では高度肥満に対する外科手術関連の演題数は限られていましたが、それにしても今回二日間ともLSGに関する演題、セッションが目白押しなのには驚かされました。私もシンポジウム「肥満外科手術の治療成績と効果不良例への対応―各施設の治療成績、減量不良例・revision surgery・合併症への対応―」「アジア視点での減量・糖尿病外科」「Metabolic Surgeryの展望 〜内科と外科の橋渡し〜」産業医研修会「職場健診における肥満症の検出とその治療」「職場におけるSedentary について」を拝聴しました。
 今回学んだLSGについて少し解説します。減量を目的として外科治療は欧米では1960年代から始まり、アジアでは1981年の台湾が最初で、日本では、1982年に千葉大学外科の故 川村功助教授が開始しています。もちろんこれらは単純に痩せるためではなく、高度肥満による糖尿病をはじめとする様々な合併症があり、薬物療法等様々な内科的治療が奏功しなかった方々を対象として行われるようになりました。しかし、当初は、残胃における胃がんのリスクが無視できないこと(胃をショートカットして繋ぎ合わせる初期の術式では、術後胃の観察が困難となる上、とくに日本人はピロリ菌感染者が多く胃癌のリスクが高かったため)、腹部を大きく切開しなければならないこと、また保険適応でなかったことより、広く行われることはありませんでした。その後、切除後も胃の観察が可能な術式が開発され、また、1990年代になり腹腔鏡を使用、小さな傷口だけですむ手術方法が開発されると、日本でも2000年代になり腹腔鏡補助下胃バイパス術、腹腔鏡下胃バイパス術、腹腔鏡下胃バンディング術、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術、腹腔鏡下スリーブバイパス術等が行われるようになりました。それでも保険適応ではなかったのでそれほど手術症例数が増えることはありませんでした。しかし、2004年腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険適用となり、一気に手術症例数が増加しました。サッカー選手のマラドーナ、元力士のKONISHIKI、歌手のマライア・キャリーなどがこの手術を受けています。
 本手術は肥満があればだれでも受けられるわけではありません。保険適応となるのは、患者が、

1、BMI(体格指数のこと、体重(kg) ÷身長(m) ÷身長(m)で計算。基準値は18.5以上、25未満で、それ以上が肥満で、未満が低体重)35kg/平方m以上の高度肥満、
2、6ヶ月以上の内科的治療でも減量効果がない、
3、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上を合併

 のすべてを満たした場合のみです。また、この条件を満たしさえすればどの医療機関でも保険適応となるわけではなく、その医療機関が厚労省の定める施設基準を満たしていなければなりません。それ以外の場合、自費での手術となります。
 手術を自費で実施する場合の適応は、下記の如き日本肥満症治療学会ガイドライン(2013年版)を基本的に踏襲している施設が多いようです。

1、対象年齢は18歳から65歳まで
2、原発性(一次性)肥満症(肥満の直接的原因となる基礎疾患を認めない肥満症。ホルモンの異常や、薬の副作用などが原因の場合、それらの治療を行う)の患者
3、6ヶ月以上の内科的治療を行ったにもかかわらず、体重減少や肥満に伴う合併症の改善が認められない場合
4、減量手術が目的の場合はBMI 35以上、肥満関連疾患の治療が主目的の場合は32以上

 となっています。自費の場合、医療機関により色々ですが、おおよそ150〜200万円位かかるようです。
 減量手術の症例数が全国一多い医療機関が四ッ谷メディカルキューブです。同院の減量・糖尿病外科のホームページには各術式の解説等が詳しく掲載されています。詳細はそちらをご参照下さい。
ところで、「肥満の治療に健康保険を使って手術をするなんて。美容外科で受ける皮下脂肪吸引は保険が利かないのに。」と感じる方も多いのではないかと思います。この肥満減量手術は美容目的ではなく、高度肥満のため肥満症、肥満合併症を併発しているにもかかわらず、内科的保存治療が無効な方を対象とした手術療法(bariatric surgery;肥満減量手術)です。当初は、肥満者の摂食抑制、また吸収抑制による減量効果(40〜50kgくらい)が専ら期待されていました。しかし、近年、外科手術よる減量は、体重の減少に加え、さまざまな代謝異常(2型糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、脂肪肝、肥満関連腎臓病、月経異常、睡眠時無呼吸症候群、整形外科的疾患)を是正させることが明らかとなっています。とくに2型糖尿病に関しては、早期から血糖値が著明に改善、その効果はあらゆる薬物療法を凌ぐほどで、糖尿病治療薬が不要となる患者さんも珍しくありません。そのため、単に肥満減量手術と呼ぶことが、その実態とそぐわなくなり、2002年にはdiabetic surgery糖尿病外科手術と呼ぶことが提唱されました。消化管外科手術は単に摂取エネルギーの減少による減量のみならず、さまざまな消化管ホルモンバランスを変動させ、代謝を改善させることが明らかになりました。各々の手術方法は全く異なるものですから、当然、術式による効果の違いも明らかになり、現在では肥満外科手術をmetabolic surgeryと呼ぶことが一般的となっています。
 日本は欧米諸国に比べ肥満人口は多くありませんが、糖尿病人口は多く、世界の糖尿病患者の6割はアジアに集中しています。LSGを単に肥満減量手術と考えるのではなく、Metabolic surgeryと捉えるとその日本における手術適応範囲は、むしろ欧米以上に広いと言え、海外や日本の糖尿病学会、肥満学会でも有力な治療法として明記されるに至っています。
 最後になりますが、このように述べると良いこと尽くめですが、やはり、デメリットもあります。術式により異なりますが、難治性の逆流食道炎を発症したり、ビタミン剤などのサプリメントを一生涯服用したりしなければならないことが多いですし、今後新たな問題が発生しないとは言い切れません。手術を希望される方は、担当医から十分な説明を受け、納得して決断すべきです。

2019/07/26 
「令和元年7月25日岡山市で開催された第60回日本人間ドック学会学術大会に参加してきました。」

 令和元年7月25日一般財団法人淳風会健康管理センター長井上和彦大会長のもとホテルグランヴィア岡山、岡山コンベンションセンター、岡山県医師会館、ANAクラウンプラザホテル岡山を会場に開催された第60回日本人間ドック学会学術大会に参加してきました。会場が岡山で遠いため水曜日の午前診療後、午後の休診を利用し、前泊する予定でホテルも早々と予約していました。その後、医師会の公務が水曜日の夜7時30分に急遽決まりましたが、ホテルも予約、事前登録済の学会参加費が返金されないことを知っていたため公務を欠席するつもりでいました。しかし、公務の内容が非常に重要なものだったため、副会長としては(私事ですが先月末の三鷹市医師会役員改選で副会長を拝命しました)欠席するわけにはいかないと判断、対策を検討した結果、ホテルをキャンセル、水曜日の夜10時東京発の寝台車サンライズ瀬戸を利用することにしました。この電車に乗れば翌朝6時30分頃には岡山に着くことができます。切符を買い替え参加してきました。ただ、ホテル代2万円(会場のANAクラウンプラザホテル岡山)が返金されなかったのは痛手でした。通常1か月近く前にキャンセルすれば当然全額返金されます。しかし、今回このホテルが学会会場で人気となっていたため、2か月前に早割で予約していました。売り手市場だったため全額キャンセル料として取られてしまいました。サンライズ瀬戸に乗車する方法は昨年11月香川県高松市で開催された第12回日本禁煙学会でも使っています。詳しくは2018/11/15院長コラム「2018年11月11日かがわ国際会議場で開催された第12回日本禁煙学会学術総会に参加してきました。寝台車デビューです。」をご参照下さい。
 さて、今回の大会テーマは「Beside You働く世代の健康増進をめざして!」です。糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病やメンタルヘルスへの対応とともに悪性疾患対策が人間ドックの大きな目的ですが、井上大会長は日本で初めて胃がんリスク層別化検査であるABC検査(胃がんリスク検査(ABC検査)として三鷹市でも実施されています。)を実践された方ということもあり、がん対策をテーマにしたシンポジウム、特別企画が多かったように思います。私自身、がん関連のセッションを中心に参加、初日の25日聞きたいセッションが集中していたこともあり、1日のみ参加してきました。今回注目していたセッションは特別講演「リキッドバイオプシーの社会実装に向けての期待と課題」「線虫がん検査N-NOSEの発明と実用化」です。いずれもわずかな血液や尿サンプルで多種類のがんを一度に早期発見できるという夢のような技術革新です。当院の健診でも従来オプション検査として様々な腫瘍マーカーが採用されています。これは血液検査でがんを発見しようとするものです。しかし、残念ながら早期がんでの陽性率は10%程度のため、これらの検査で運よく早期がんを発見できる方もいますが、発見されても進行がんとなっている方が大半でした。しかし、詳細は割愛しますが、上記の二つの技術は早期がんの段階で陽性となる上、がん種の特定も可能で、転移の有無、抗がん剤の有効性まで非常に正確に判断できるという技術です。特に線虫がん検査はマスメディアでもしばしば取り上げられ、来年に実用化されるところまで来ています。当院でもできるだけ早急に採用したいと考え、準備を始めていきます。

2019/07/15 
「令和元年7月11日から12日まで国立京都国際会館で開催された第51回日本動脈硬化学会総会・学術集会に参加してきました。」

 令和元年7月11日から12日まで京都大学医学研究科臨床創成医学分野教授横出正之大会長のもと国立京都国際会館を会場に開催された第51回日本動脈硬化学会総会・学術集会に参加してきました。本学会は脂質異常症分野の医療従事者が一堂に会して開催される学会です。今回の大会テーマは「チームで取り組む!一生すこやかに血管を保つために」です。いつも診療が気になり最も聞きたい演題のある1日のみ参加することが多いのですが、今回クリニックを二日連続休診にして開会式から閉会式までどっぷりと脂塗れ!(^^)! になってきました。最近ますます公私共々多忙で帰宅は連日深夜です。こんなとき、思いっきり自分の興味のある分野を勉強するのは、知的欲求が満たされ本当にストレス発散になります。
 本大会では日本産業衛生学会との合同シンポジウム「働く世代の動脈硬化性疾患(脳・心疾患、過労死)の予防〜健康寿命延伸を目指して〜」が産業医講習会として認定されており、認定産業医更新のための単位も獲得できて助かりました。
 さて、初日はシンポジウム「積極的脂質低下療法の新たなエビデンス」「CKDと動脈硬化」、ランチョンセミナー「脂質異常症」、診断技術向上セミナー「脳卒中・循環器病対策基本法成立を受けて:動脈硬化予防戦略に必須な画像診断 2 虚血性心疾患に必須な画像診断」「一般医科における早期動脈硬化予防策」、先述の産業医講習会、二日目は日本血管生物医学会との合同シンポジウム「臓器障害としての動脈硬化症と血管炎症」、シンポジウム「脂質異常症難病のすべてがわかる!」、ランチョンセミナー「高TG血症」、シンポジウム「血管病理と心血管イメージング」「家族性高コレステロール血症の諸問題について」を拝聴しました。その中で今後の診療に活かせる重要な点をお話しします。
 やはり、今回も議論の的となったのは残余リスクの問題です。日本動脈硬化学会では、脂質異常症診断基準で「高コレステロール血症(LDLコレステロール)」「低HDLコレステロール血症」「高トリグリセライド血症」の3種類の脂質を取り上げています当院ホームページ「脂質代謝内科」のページをご参照下さい)が、その中でもLDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールを中心に語られています。しかし、悪玉コレステロールをしっかり減らしても動脈硬化性疾患(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳血栓、末梢動脈疾患、大動脈瘤、大動脈解離など動脈硬化が原因で発症する病気)は完全に防げません。2〜4割程度減るのみです。また、家族性高コレステロール血症(同じく当院ホームページ「脂質代謝内科」のページ、「脂質異常症の原因」の欄、「家族性高コレステロール血症について」の段落をご参照下さい)等一部の特殊な場合を除くと、LDLコレステロールの値とこれらの疾患の発症率は必ずしも比例しません。例えば心筋梗塞を発症された方が必ずLDLコレステロール値が高いとは限らず、むしろトリグリセライドが高く、HDLが低い方に多いことが明らかになっています。そもそも3種類の脂質が標的になっているわけですが、単純にそのうちの一つ、LDLコレステロールをして、すべてを説明できるはずがありません。そのため、日本動脈硬化学会が発表した「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」では、nonHDLコレステロール(総コレステロール−HDLコレステロール)という概念も導入されています。総コレステロール=LDLコレステロール+HDLコレステロール+トリグリセライド/5の関係性があるため、nonHDLコレステロールはHDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセライドによって規定される数値、それらを反映した数値となります。ですので、LDLコレステロール値単独より、より動脈硬化性疾患発症との相関性が強くなっています。この問題に答えを出しつつあるのがすでに当院ホームページでもすでに取り上げている超悪玉コレステロールといわれるsmall dense LDL(以後sd LDLと略す)コレステロールです。詳しくは当院ホームページ「脂質代謝内科」のページ、「動脈硬化危険因子」の欄、「small dense LDL超悪玉コレステロールについて」の段落をご参照下さい。sd LDLコレステロールはLDLコレステロールの中で小型(LDLの中で平均粒子直径25.5nm以下、比重1.044〜1.063g/mlの分画をsd LDL、他方、直径25.5nm以上、比重1.019〜1.044の分画をlarge buoyant LDLと呼びます)で動脈硬化惹起性の強い(@sd LDLは肝臓で回収されにくいため通常のLDLと比べ血中に滞留しやすい(2日対5日)、A小型のため血管壁内に侵入しやすい、B酸化されやすい。酸化変性したコレステロールは血管壁内に存在する白血球の一種であるマクロファージに貪食され壁内に蓄積していきます。CビタミンEなどの抗酸化物質の保護を受けにくい等の特徴があるため、通常のLDLと比べ動脈硬化を引き起こす作用が3倍も強力です)コレステロール分画です。トリグリセライド自身は、LDLコレステロールのように直接血管壁に入り込み、動脈硬化を引き起こすことはありません。にもかかわらずトリグリセライドは動脈硬化性疾患の危険因子となっています。これはトリグリセライドがLDLコレステロールを小型化する、すなわちsd LDL化するためです。HDLコレステロールとトリグリセライドは逆相関することが分かっています。すなわち、HDLコレステロールが低いとトリグリセライド値が上昇、結果としてsd LDLコレステロールが増加、動脈硬化が惹起されます。このように考えるとsd LDLコレステロールは単独で高トリグリセライド血症と低HDLコレステロール血症を反映していることになります。
 また、糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームはLDLコレステロールをsd LDL化するため、動脈硬化の危険因子となっています。こう考えるとsd LDLコレステロールは単独で高トリグリセライド血症と低HDLコレステロール血症のみならず、糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームによる動脈硬化をも反映していることになり、一元的に説明可能となります。今後は、sd LDLコレステロールが脂質異常症診断基準の主たる検査項目なる可能性があります。
 ただ、現時点で最も問題なのは、sd LDLコレステロール測定方法はデンカ生研により開発されているにも関わらず、いまだ保険収載となっていないことです。シンポジウム「積極的脂質低下療法の新たなエビデンス」の演者の一人でこのsd LDLコレステロール測定系開発者である海老名総合病院糖尿病センター平野勉先生の御話では、現在保険収載に向けたデータ収集を行っていますが、後2〜3年必要とのことでした。そのため上述の当院ホームぺージ「small dense LDL超悪玉コレステロールについて」の段落に記載しましたように、当院では数年前より保険外診療となりますが7,000円でsd LDLコレステロール検査を実施しています。
 では、このように自身のsd LDLコレステロール値を知るためには、保険収載になるまで3年待つか、7,000円払って自費で今すぐ測定するしかないのでしょうか。いえ、直接sd LDLコレステロール値を図らずとも、その値を推測する方法があります。もちろん大雑把ではありますが、トリグリセライドが増えると減り、HDLコレステロールが減ると増えるnonHDLコレステロールもその一つです。
 当院ホームページ「脂質代謝内科」のページ、「脂質異常症の原因」の欄、「家族性高コレステロール血症について」の段落で、水溶性の血液に溶けにくいコレステロールは、水溶性のアポリポ蛋白と結合、リポ蛋白という球形の舟に乗って血液中を移動するとご説明しました。肝臓はコレステロールを生成しますが、一方で余分なコレステロールの回収もします。肝臓がコレステロールを回収するとき肝臓表面LDL受容体はLDLリポ蛋白のアポリポ蛋白であるB-100を認識して回収します。LDL受容体の不具合でLDLコレステロールを回収できなくなり、高コレステロール血症となる病気が家族性高コレステロール血症です。sd LDLであろうと、large buoyant LDLであろうとLDL一つに存在するアポリポ蛋白B-100は一つのため、同じLDLコレステロール値であってもsd LDLの含まれる割合が多いと、一つ一つのLDL粒子が小さく数の多い分だけアポリポ蛋白B-100の量が多くなります。すなわちアポリポ蛋白B-100はsd LDLの量と比例しますから、アポリポ蛋白B-100を測定すればsd LDLの量を推測できることになります。しかし、B-100はLDLのみならずIDL、VLDLにも含まれ、肝臓で回収されるときに認識されます。また、アポリポ蛋白BにはB-100以外にB-48があり、B-48はカイロミクロン、カイロミクロンレムナントに含まれます。保険で簡単にアポリポ蛋白Bを測定できますが、残念ながらB-100とB-48を合わせた合計、アポリポ蛋白Bとして測定しています。そのため、アポリポ蛋白B測定でsd LDL量を正確に知ることはできませんが、ある程度推測することができます。男性基準値は73〜109、女性は66〜101mg/dLですが、110以上の場合sd LDLの増加を疑います。
 同様の考えとして、LDLコレステロールに含まれるsd LDLコレステロールの比率が増加していくと、アポ蛋白B/LDLコレステロール比が増加していくため、>0.85の場合、sd LDLが増加していると推測できます。
 今後は今回得られた知見を診療に活かしていきたいと思います。

2019/07/05 
「当院を御利用下さった方が2019年6月27日2万人に達しました!」

 当院は昨年11月で開院11周年を迎え、現在12年目に突入しています。その間、御病気の方のみならず、健康診断、人間ドックを目的として受診された方が、先日6月27日2万人に達しました。1万人に達したのは開院5年余りの2013年1月22日です(2013/01/22院長コラム「当院を御利用下さった方が1万人に達しました。」をご参照下さい)。この数は延べ人数ではなくあくまでも個々人の数です。持病のため毎週毎月通院されている方もいれば、年に1回だけ健診で受診される方もいます。受診者の方は必ずしも地元の三鷹市民とは限らず、西は長野県から東は千葉県までいらっしゃいます。別荘にお住まいでそこから通院される方も多くなってきました。欧米、東南アジア、中国などに赴任中で、帰国の都度、持病の治療で定期的に受診される方も最近は非常に多いです。三鷹市の人口が18万人強程度であることを思うと本当にたくさんの方に御利用頂けたことと深謝いたしております。2万人の方を診察してきた経験は私にとって大きな自信と財産であり、また誇りでもあります。
 年々来院者増加のためお待たせする時間が長くなってきました。そのため、昨年から本年にかけ土曜日の2診体制、乳腺外来の新設などスタッフの充実を図り、だいぶ待ち時間が減っております。また、詳細はお話しできませんが、より効率的な診療が出来るよう現在施設拡張の準備中です。創立理念のもとスタッフ一同で工夫し、当院を信頼し来院して下さる方をできるだけ多く診療できるよう、患者さん、私達スタッフで協力し合っていければ幸いです。御協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

2019/04/30 
「平成31年4月27日から29日まで名古屋国際会議場を中心に開催された第30回日本医学会総会2019中部に参加してきました。

 平成31年4月27日から29日まで名古屋大学名誉教授齋藤英彦会頭のもと名古屋国際会議場を中心に開催された第30回日本医学会総会2019中部に参加してきました。本学会は4年に1回、関東、中部、関西地区等を会場として日本のあらゆる分野の医学会が一堂に会して開催される学会です。ですからその規模はすべての学会の中で最大です。
 本学会では産業医講習会も多数開催されるため、認定産業医更新のための単位数を一度に多く得ることができます。そういったこともあり毎回できるだけ参加するようにしています。特に今回は黄金週間休みと重なり、診療を休まず、4月27日土曜日の診療後に出発、参加してきました。
 今回の学会では、産業医講習会として「有機溶剤中毒の新たな展開」「がんと就労:治療との両立」「面接指導の実際」「粉じん作業職場等にかかる職場巡視と安全衛生関係法令」を聴講しましたが、その他昨今注目されている分野「AIとICTはどこまで医療を変えるか〜人工知能が切り開く未来医療」「フレイルと人参栄養」「がん・難病の予防療法はどこまで可能か?」「肺がん治療のパラダイムシフト」などなどを聴講しました。少し残念だったのは、ノーベル医学生理学賞受賞者「本庶佑」「山中伸弥」両先生の講演を拝聴できなかったことです。
 癌治療に関して、最近、分子標的薬、本庶佑先生らの研究が端緒になり開発された免疫チェックポイント阻害剤などが次々と上梓され、様々な癌の予後が著しく改善していますが、今回肺がん治療を例にどの程度、どのように改善しているか全体像を理解することができました。私は普段、がん治療を行っているわけではないので、その分野の理解度は素人に毛が生えた程度です。その分野の専門家のお話を伺い、がん治療がパラダイムシフトを起こしていることを実感することができました。これからの時代、ガンはHIV感染症、非結核性抗酸菌症、一昔前のC型慢性肝炎等の感染症のように天寿までうまく付き合っていくような慢性疾患に変貌しそうです。

2018/12/04 
「常時SSL化(https化)について」

 近年、インターネットの利用が多様化し、第三者による盗聴やデータ改ざんなどのリスクが年々高まっています。日本国内のみならず世界でトップシェアのブラウザである「Google Chrome」を開発したGoogleは、セキュリティ強化を優先事項として掲げており、常時SSL化(httpsサイト)を推奨してきました。
 個人情報やクレジットカード情報などの重要なデータを、 サーバーとPC間で安全に通信するため、インターネット 上でデータを暗号化して送受信する仕組みのことを SSL(Secure Sockets Layer)といいます。 このSSLをサイト全体に適応することでセキュリティを強 化し、サイトの信頼性向上を図ることを「常時SSL化」 といいます。 「常時SSL化」されたサイトは、Google Chrome等 のブラウザによって、「http://」ではなく、「https://」と 表示され、セキュリティが強化されたサイトとして認識さ れるようになります(左図)。付加される「s」はsecurityの「s」です。
 今回、2018年7月にリリースされた「Chrome 68」より、「httpサイト」というだけで警告を表示するアップデート(仕様変更)が行われました(右図)。
 Googleは、今後も警告を強めるアップデートを行うことを発表しており、各サイトが「httpサイト」から「httpsサイト」へバージョンアップする必要性が高まっています。
 GoogleはSSL化されたwebサイトを優遇しているため、検索順位に影響を与える可能性もあります。このような状況を鑑み当院では、12月1日常時SSL化としました。
(当院ホームページ管理会社、エンパワーヘルスケア株式会社資料を改変して掲載しました)

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2018/11/17 
「エレベータ内にビル案内板を設置しました。」

ビルオーナーに依頼し、当院の入居する三鷹第一ビルのエレベータ内にビル案内板を設置して頂きました(左図、右図)。当院は2階と4階に入居していますが、2階は診療部門で4階は事務部門です。これまで、エレベータ内の各階ボタンのところにテプラで表示するのみでしたが、これで大分判りやすくなりました。

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2018/11/15 
「2018年11月12日平成30年度三鷹市医師会地域ケア会議で三鷹市の災害時の医療救護対策について発表しました。」(その1)

 小生は現在三鷹市医師会防災救急対策担当理事を拝命していますが、平成30年度三鷹市医師会地域ケア会議で「災害時の医療救護所の役割など」をテーマに講演を依頼され、2018年11月12日昼、三鷹市医師会館で講演してきました。そのため、午後の外来を14時30分まで休診にしました。ご迷惑をお掛けしてすいません。そもそも「三鷹市医師会地域ケア会議」とは、三鷹市の委託事業として実施しているもので、在宅ケアの推進を目的に、関係機関の活動紹介、情報交流、研修、事例検討などを通して、医師会員を含む関係機関等の職員の相互連携ならびに在宅ケアにかかる知識等のスキルアップを目的に実施するものです。なお、講演の骨子は下図の如くです。

スライド1〜3(下図)

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2018/11/15 
「2018年11月12日平成30年度三鷹市医師会地域ケア会議で三鷹市の災害時の医療救護対策について発表しました。」(その2)

スライド4〜6(下図)

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2018/11/15 
「2018年11月12日平成30年度三鷹市医師会地域ケア会議で三鷹市の災害時の医療救護対策について発表しました。」(その3)

スライド7〜9(下図)

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2018/11/15 
「2018年11月12日平成30年度三鷹市医師会地域ケア会議で三鷹市の災害時の医療救護対策について発表しました。」(その4)

スライド10〜12(下図)

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2018/11/15 
「2018年11月12日平成30年度三鷹市医師会地域ケア会議で三鷹市の災害時の医療救護対策について発表しました。」(その5)

スライド13〜15(下図)

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2018/11/15 
「2018年11月12日平成30年度三鷹市医師会地域ケア会議で三鷹市の災害時の医療救護対策について発表しました。」(その6)

スライド16〜18(下図)

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2018/11/15 
「2018年11月11日かがわ国際会議場で開催された第12回日本禁煙学会学術総会に参加してきました。寝台車デビューです。」(その1)

 2018年11月10日(土)から11日(日)にかけて、久米川啓香川県医師会会長を大会長として、かがわ国際会議場とサンポートホール高松を会場に開催された第12回日本禁煙学会学術総会に11日日曜日1日だけ参加してきました。前日10日土曜日、多摩地区医師会懇話会(都下の全地区医師会が一堂に会して交流を深める会)が新宿京王プラザホテルで18時から開催されましたが、三鷹市医師会理事の小生も参加していました。特に今回は、交流の深いお隣の武蔵野市医師会が幹事であったため、参加がマストとなっていました。これまで懇話会では、三鷹市医師会理事同士が同じテーブルに着座していましたが、今回初めて、近隣の他地区医師会の中で同じような役職(小生の場合、防災救急対策)の理事が一つのテーブルを囲むようになっており、各地区での災害時医療について意見交換するこができて大変有意義でした。
 さて、他の先生方の中には二次会に参加された方もいらっしゃいましたが、私はその後、どのようにして翌日、会場の香川県高松市に辿り着いたかというと、22時東京駅発翌11日朝7時27分松駅着の寝台特急サンライズ瀬戸(左図)を利用しました(実際は、一つ前の列車が鹿を撥ね、15分遅れで到着)。懇話会が21時過ぎに終了、すぐに中央線に乗り、東京駅に向かい無事22時の電車に乗ることができました。中図は私が利用したB寝台一人用個室ですが、寝台車に乗車したのは生まれて初めてです。今回の学会会場は、高松駅徒歩3分の場所のため、非常に効率よく学会に参加することができました。右図は高松駅構内にあったうどん屋で、ここで到着後朝食を摂りました。うどん屋の後方に見えるタワーのような建物がかがわ国際会議場/サンポートホール高松です。

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2018/11/15 
「2018年11月11日かがわ国際会議場で開催された第12回日本禁煙学会学術総会に参加してきました。寝台車デビューです。」(その2)

 左図は会議場から瀬戸内海を眺める景色。中図は瀬戸大橋を渡る直前の児島駅、右図が瀬戸大橋からの景色です。
 閑話休題。今回の学会テーマは「草の根projectが無煙社会を創る 四国が動く 日本が動く」です。学会では、「東京都受動喫煙防止条例」「COPDの認知度向上の問題」「喫煙と石綿肺癌」「電子タバコ」などについて学びました。今後これらの知見を順次ホームページに反映させ、より一層禁煙活動を強めます。

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2018/11/03 
院長コラム「平成30年度高山小学校避難所体験会報告」(その1)

 防災救急対策担当理事の松慶太です。平素より三鷹市医師会活動にご協力頂きありがとうございます。
 ご存知のように三鷹市医師会では、震度6弱以上の地震が発生した場合、各診療所を閉鎖、災害時医療救護所で医療活動を行うことになっておりますが、毎年市民の防災力向上を目的に三鷹市では市内7住区に於いて三鷹市総合防災訓練を開催しています。本年も第六小学校(連雀住区)、第四小(駅前)、第六中(東部)、第五中(新川中原)、井口小(西部)、井の頭コミセン(井の頭)羽沢小(大沢)で開催され、多数の先生方に参加していただきました。改めて御礼申し上げます。
 さて、市内7住区には33か所の一次避難所(三鷹市ホームページで「避難所」で検索、ご確認下さい)が設置されております。よって、市内7住区には平均して5ヶ所足らず(33/7=4.7)の一次避難所が設置されていることになります。そのうち各住区毎に1ヶ所の避難所に災害時医療救護所(合計7か所)が設置されます。そのため三鷹市総合防災訓練の会場が災害時医療救護所設置予定の一次避難所となるのは各住区各々5年に1回程度しかありません。
 そのような背景下、東部地区の災害時医療救護所が設置される高山小一次避難所では、例年、「避難所運営連絡協議会」が中心となり総合防災訓練とは別に、独自の防災訓練を実施しており、今回で5回目となります(左図「平成30年度高山小避難所体験会」)。今年は折しも3日前に、北海道胆振地方を震源とする最大震度7の地震が発生、現時点で死者42人に達しています。例年以上に多くの住民が参加していました。昨年に続き、本年も災害時医療救護所運営者である医師会に協力要請があり、高山小災害時医療救護所に配属されている11人の先生方に参加をお願いしたところ、浅見泰宏、石川尉子、古川秋生、山本薫、山本美香子先生が参加してくれました(右図「高山小避難所体験会参加医師会員」)。11人の中にはご高齢の先生や準会員の先生方もいらっしゃいますので、実質、高山小災害時医療救護所に配属されている正会員の先生方、ほとんどが参加してくれました。改めて御礼申し上げます。

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2018/11/03 
院長コラム「平成30年度高山小学校避難所体験会報告」(その2)

 さて、訓練内容ですが、左図「平成30年度高山小避難所体験会計画書タイムスケジュール」に従い進行します。準備段階で、職員室の鍵の場所、災害時備蓄倉庫、医薬品保管庫の確認を行いました(中図「災害時備蓄倉庫医薬品保管庫」)。医師会担当の「医療救護所」のセッションでは、実際の災害時医療救護所の場所を使用し、まず、右図「大災害発生時には災害時医療救護所を設置します及びSTART式トリアージ」の資料を配布、「三鷹市の災害時医療体制」と「START式トリアージ」について先生方に説明して頂きました(7分)。

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2018/11/03 
院長コラム「平成30年度高山小学校避難所体験会報告」(その3)

その後、参加者に模擬患者用ゼッケンを首から掛けてもらい、模擬患者に見立てトリアージを行いました(5分)(左図「トリアージ訓練」)。症例は右図「傷病表示」の如き23例です。

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2018/11/03 
院長コラム「平成30年度高山小学校避難所体験会報告」(その4)

災害時医療救護所では一般に左図「 災害時医療救護所における患者の流れ」の如く傷病者を流していきますが、高山小学校では右図「高山小学校災害時非難救護所患者の流れ」の如く傷病者を受け入れることが事前に決まっています。トリアージ後、緑に分類された方は受付をして振り分け外来、診察室へと誘導します。赤、黄色に分類された方は、黄色、赤、黒の待機場所に誘導し、外科、歯科、内科、産科、薬局などのブースを案内しました(5分)。誘導が終わったらゼッケンを回収、この段取りを4班に分かれた住民に繰り返し実施しました。
 今回の訓練が非常に有意義だったのは、総合防災訓練と異なり、実際の災害時医療救護所設置場所を使用し、実際にそこに配属されている先生方だけで訓練が行われたことです。このような訓練は私が防災救急対策担当理事となって初めてです。かねがね申し上げていますが、三鷹市総合防災訓練は市民ための訓練で、我々災害時医療を提供する側にとっては必ずしも十分な訓練とはなっていません。しかし、今回の訓練は我々医師会員にとっても大変良い訓練機会となりました。今後もこのような訓練が7住区の災害時医療救護所で展開されるよう働きかけていきたいと思います。
 また、三鷹市役所の関連部署の部長以下多数のスタッフが参加しており、市民のみなら三鷹市に対しても三鷹市医師会の存在意義をアピールする良い機会となりました。
 なお、末筆ですが、前防災救急対策担当理事の高山俊政先生も飛び入りで参加されました。今後もこのように多くの先生方のご参加を希望します(以上は三鷹市医師会雑誌「醫人往来」平成30年11月号より、改変転載したものです)

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2018/10/30 
「クリニックの入居するビルに帯看板と掲示板が設置されました。」

 当院の入居するビルには、当院の帯看板(左図のように横長のメインの看板)はなく袖看板(左図のビル左側から突き出た丸い看板)、立て看板(左図の右下にある白く四角い看板)、2階の窓ガラスに貼られたカッティングシートしかありませんでした。
 袖看板は、小さな円形で、ビル2階の位置にあり、歩道を歩く通行人の視野に入りません。意識的に見上げなければ視野に入らない位置にあります。さらに、字数の関係から端折って「高松クリニック」と表記されています。以上にように視認性が低いです。
 また、立て看板は目線の位置にあるのですが、駅側から歩道を歩いてくると、ビルの柱の陰になり、視野に入らず通り過ぎてしまう方もしばしばです。道路を挟んで反対側の歩道からは字が小さくて読めません。
 さらに、2階窓のカッティングシートは、2階のため直下の歩道を歩く方の視野には全く入りません。道路を隔てて反対側の歩道を歩く方の視野には入るのですが、左図のように窓ガラスにプライバシーフィルムが施されてあり、太陽光が反射するため大変見難く、とくに高齢者には書いてある文字が読み難いです。
 そのためか、開院して11年近く経つのに、「ここにクリニックがあったことに気づきませんでした」と未だに近所にお住いの方から言われることがあります。そのため、ビルオーナーと交渉、ようやく左図の如き帯看板を設置することができました。夜には、帯看板のバックライトが点灯、明るく光ります。そのため、夜は一層視認性が高く、当院の認知度が一層高まるのは間違いないと確信しました。
 さらに、今回、右図の如く1階自動扉のガラスに、クリニックのお知らせ、掲示板を示すカッティングシートを貼りました。これまで、ただガラスにペタペタとポスターを貼るだけでしたが、今後は認知度がかなり高くなり、皆様に様々な情報をより解りやすくお伝えすることができると思います。当院の前を歩かれるとき、一度足を止めてご覧になって下さい。
 それから、帯看板を見ていただけると分かりますが、ホームページ同様、当院のシンボルカラー、茶色が基本です。

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2018/10/26 
「2018年10月24日第3回井の頭乳腺疾患研究会で「三鷹市乳がん検診の実態について」と題して発表しました。」(その1)

平成30年度10月24日杏林大学医学部付属病院外来棟10階第1会議室で開催された第3回井の頭乳腺疾患研究会(左図)で「三鷹市乳がん検診の実態について」と題して発表してきました。内容はスライド1〜10(中図、スライド1、右図、スライド2)の通りです。今回スライドにデータをまとめることにより、様々な点に気づくことができました。これらの知見を来年度の三鷹市乳がん検診に活かしてい行きたいと思います。

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2018/10/26 
「2018年10月24日第3回井の頭乳腺疾患研究会で「三鷹市乳がん検診の実態について」と題して発表しました。」(その2)

左図、スライド3、中図、スライド4、右図、スライド5

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2018/10/26 
「2018年10月24日第3回井の頭乳腺疾患研究会で「三鷹市乳がん検診の実態について」と題して発表しました。」(その3)

左図、スライド6、中図、スライド7、右図、スライド8

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2018/10/26 
「2018年10月24日第3回井の頭乳腺疾患研究会で「三鷹市乳がん検診の実態について」と題して発表しました。」(その4)

左図、スライド9、中図、スライド10

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2018/10/15 
「2018年10月7日から8日まで開催された第39回日本肥満学会に参加してきました。」

 神戸大学大学院医学研究科内科学講座糖尿病・内分泌内科学部門教授小川渉大会長のもと神戸国際会議場及び神戸ポートピアホテルで2018年10月7日から8日まで開催された第39回日本肥満学会に参加してきました。7日日曜日早朝出発、一泊二日で参加してきました。今回のテーマは「肥満症学−新たなステージへ−」です。本学会では「神戸宣言2018」が発表されました。
 日本肥満学会は2000年に「新しい肥満の判定と肥満症の診断基準」を発表、以来、肥満に関連する健康障害を合併し、医学的に減量を必要とする肥満症(obesity disease)を、BMIで規定される肥満(obesity)と明確に区別して治療・管理の対象とすることを提案してきました。
 一方で、肥満がもたらす健康障害は多岐にわたることから、その予防・治療にはさまざまな専門家の協力が必要となります。そこで日本医学会連合の呼びかけの下、肥満症に関連する23学会によるワーキンググループが結成され、肥満症の撲滅を目指し、領域を超えて協働することが合意され、第39回日本肥満学会の初日に行われた合同特別プログラムにおいて、ワーキンググループ・グループ長の春日雅人先生(朝日生命成人病研究所所長)により、その決意が「神戸宣言2018」として発表されました。今回の学会の演題も、領域横断的な内容になっていました。
 肥満症には、「糖尿病・耐糖能異常」「腎臓病」「高血圧」「心筋梗塞、狭心症」「脳梗塞」「脂質異常症」「脂肪肝」など11の疾患が関連します。それ以外にもがんや脳血管性認知症、筋肉量減少など多くの病気との関連が指摘されています。フレイルやサルコペニアなど筋肉量減少に配慮が必要な高齢者の肥満症、薬物療法や外科治療が選択肢となる高度肥満症、家庭や学校と改善に取り組む小児肥満症、肥満症治療薬の開発など、肥満症の治療・予防方法には幅広い選択肢があります。ワーキンググループは来年4月をめどに、まとめを出す方針です。ワーキンググループに属する23学会は次の通りです。日本肥満学会、日本内科学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会、日本高血圧学会、日本循環器学会、日本呼吸器学会、日本肝臓学会、日本腎臓学会、日本外科学会、日本整形外科学会、日本小児科学会、日本産科婦人科学会、日本病態栄養学会、日本体力医学会、日本癌学会、日本疫学会、日本老年医学会、日本脳卒中学会、日本肥満症治療学会、日本臨床栄養学会、日本痛風・核酸代謝学会、日本総合病院精神医学会。
 ちなみにその全文と解説は下図の如くです。

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2018/10/04 
「忙中閑あり。ここはどこでしょう?」

2018年9月17日の院長コラム「2018年9月14日から16日まで旭川で開催された第41回日本高血圧学会総会に参加してきました。」で北海道旭川市訪問を報告しました。その折、お伝えし忘れたことです。最終日飛行機の出発時間まで時間があったので、タクシーを飛ばし、下図の場所に記念撮影に行ってきました。ここはどこだかわかりますか。ヒントは日本で一番歌の上手い歌手の聖地です。

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2018/09/17 
「2018年9月14日から16日まで旭川で開催された第41回日本高血圧学会総会に参加してきました。」

 旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野教授長谷川直幸大会長のもと旭川市民文化会館と星野リゾートOMO7旭川を会場に2018年9月14日から16日まで開催された第41回日本高血圧学会総会(下図)に参加してきました。2018/09/14院長コラム「2018年9月13日三鷹駅周辺住民協議会の健康セミナーで「尿のトラブル」について講演してきました。」でご報告したように9月13日午後、講演の演者となっていたので、旭川は遠方ですが前乗りできず、14日早起きし7時50分羽田発の飛行機で参加しました。今回、17日月曜日が敬老の日で祭日のため、16日日曜日の最終プログラムまで3日間みっちり聴講、日頃疑問に思うも答えを出せずにいた課題を演者にぶつけ、一つ一つ不明な点をクリアにすることができました。プログラムも充実、非常に勉強になりました。後ほどポイントを解説します。
 実は、13年前にも旭川医大第1内科教授菊池健次郎大会長のもと第28回大会が旭川の全く同じ会場(その当時、星野リゾートOMO7旭川は買収される前で旭川グランドホテルでした)で開催されています。13年前この大会において「健診における高血圧治療ガイドライン2004に準拠した高血圧診断支援コンピュータシステムについて」との演題名で発表したため、記憶に残る学会でした。よって、今回旭川は2度目の訪問です。
 さて、ご存知のように、10日前の9月6日最大震度7を記録した北海道胆振東部地震が発生、41人の方が亡くなっています。今回の地震で大きな問題となったのが大規模停電です。復旧後も電力供給が不足しているため現在も2割の節電が要請(引き続き節電は要請されていますが、18日には数値目標は解除されるとのこと)されています。高血圧学会も開催か中止かの判断を迫られましたが、自粛するより節電に配慮しながら開催する方が復興にも寄与するとの判断で開催となりました。もちろん、旭川が震源地から遠く、震度4程度の揺れで停電以外ほとんど被害がなく、開催に支障をきたさなかったこともあります。しかし、何よりも、多くの観光客が旅行をキャンセル、大打撃を受ける地元経済復興の一助となるよう願っての開催だと思います。節電について事前に学会からメールがあり、懐中電灯持参をお願いされました。また、旅行会社から、食材が揃わないためホテルのビュッフェ形式の朝食を提供できず、1,500円を現地で返金するとの連絡もありました(宿泊したちょうどその日から朝食の提供が再開、朝食をとることができました。もっとも朝食がなくとも、早朝開催されるモーニングセミナーに参加、提供されるサンドイッチで朝食を済ませるつもりでしたので気にはなりませんでしたが)。波乱含みの学会でしたが先述の如く、プラグラムは大変充実したものでした。聴講した内容を、復習も兼ねて拾い上げてみます。
 まず、薬剤による二次性高血圧について、従来から知られている非ステロイド系消炎鎮痛剤、甘草・グリチルリチン、糖質コルチコイド、造血薬、免疫抑制剤、女性ホルモン関連薬に加え、新薬であるがん治療薬の分子標的薬、抗うつ薬や神経痛治療薬のSNRIなども血圧を上昇させるため、留意が必要とのことでした。昨今がん治療が進歩、抗がん剤を服用しながら「がんと共存する」方も珍しくなく、注意する必要があります。
 高血圧管理指標は、従来高血圧は診察を担当する医師が測定する血圧(通常診察室血圧)が唯一の指標でしたが、白衣効果が問題となり、現在では、待合室にある自動血圧、自宅で自己測定する家庭血圧(起床時と就寝前)、24時間自由行動下血圧(ABPM;ambulatory blood pressure monitoring)などが指標となっています。さらに、最近は患者さんを一人静かな環境下において自動診察室血圧計により複数回測定した血圧をAOBP(Automated Office Blood Pressure)と定義、特にカナダでは積極的に活用しています。ただ、その理由として家庭血圧計が日本ほど普及していない事情があるようで、日本におけるその有効性、意義などは、現時点では不明で国内ではほとんど普及していません。
 夜間高血圧について、当院でも実施するABPM検査により睡眠中の血圧をモニタリングすることができるようになりました。睡眠時の血圧は起床時に比して10から20% 程度低下するのが通常ですが、夜間降圧が消失(non-dipper)したり、さらには昇圧(riser)したりすると心血管イベントの危険因子となることが報告されています。夜間血圧を規定する主要な因子の一つが食塩感受性で、ナトリウム排泄を夜間まで持ち越すことがその背景です。その他大動脈硬化も夜間血圧を高める因子ですが、最も強く夜間血圧を規定するのは夜間頻尿とそれに起因する睡眠分断とのことでした。また、夜間高血圧、とくにriser パターンは認知機能障害と強く関連、多発ラクナなどの脳小血管病とも相関していました。
 血圧変動について、血圧は常に変動しますが、そのほとんどは生理的に必要な変動です。しかし、それが病的になった時、心血管イベントを誘発することが証明されています。血圧変動をとらえる方法としては、診察室血圧を用いた受診間変動、家庭血圧を用いた日間変動、ABPM を用いた短期血圧変動、血圧日内変動、モーニングサージ、食後低血圧などがあり、いずれも非生理的な場合は心血管イベントの危険因子となっています。変動は血圧値の標準偏差SD≧8mmHgの場合、「変動が大きい」と判断されるとの意見でした。SD≧8を計算するのは大変ですが、簡便な方法として家庭血圧の最大値と最初値の差が30mgHg以上(通常は15mgHg以下)あれば、SD≧8mgHgに相当、「変動が大きい」と判断できるとのことでした。
 水銀血圧計廃棄に伴う代替血圧計につて。血圧測定の標準は、これまで100年にわたり水銀血圧計を用いた聴診法でした。しかし「水銀に関する水俣条約」の発効に伴い、我が国では 2021年以降、水銀血圧計の製造・輸出入が禁止されます。そのため、高血圧学会でもステートメントを発表、「水銀血圧計は、通常の取扱いでは、ほとんど環境負荷なく高精度な血圧測定が可能であることから、現在使用している水銀血圧計について直ちに廃棄・交換を行う必要はない」こと、ならびに「水俣条約など社会環境の変化も鑑み、実地診療では今後、新規に水銀血圧圧計等の導入を行わないことを推奨する」ことを述べています。そのため、次期高血圧治療ガイドライン (JSH 2019) でも、水銀血圧計を用いない血圧測定方法が前提となる見込みです。現在、電子血圧計の進化と普及によって、水銀血圧計がなくとも実地臨床にはほとんど影響はなくなっています。特に手動の電子圧力柱血圧計は、水銀柱を模した液晶の圧力柱を見ながら測定者が聴診法で血圧値を判定するため、水銀血圧計と操作感覚がほぼ同一で、水銀血圧計の代替品として十分な信頼性を持つと考えられます。当院でも、水銀血圧計を全面的に廃棄、手動式電子圧力柱血圧計への買い替えを進めます。
 高血圧患者の10%近くを占める原発性アルドステロン症のup-to-dateを勉強してきました。奥アマゾンの先住民にヤノマミ族がいます。彼らは食塩(塩化ナトリウム)のない生活をしています。24時間尿中ナトリウム排泄量は食塩換算でたったの0.08gと極端に低値です(塩は汗からも失われるため実際には0.08g以上の塩分を摂取しています)。一方、現在の日本人の平均塩分摂取量は男性11.0g、女性9.2g(平成27年度国民健康・栄養調査)です。しかし、ヤノマミ族の血液中ナトリウ濃度は正常で、平均血圧は96/61mgHgしかありませんでした。しかも、加齢による血圧上昇もなく!心血管病も発症しません。重たい荷物を持ってジャングルを歩き回るほど体力があり、健壮です。そのように極端に少ない塩分摂取にも関わらず低ナトリウム血症を来さないのは、レニン―アルドステロン系が活性化、アルドステロンが大量に分泌され、尿中にナトリウムが捨てられないようにしているためです。ならば、逆にアルドステロンが過剰に分泌される病気、原発性アルドステロン症も、厳格な食塩制限を実施すれば正常域まで血圧を下げられる可能性があるのではないかと思いました。実際、当院に通う原発性アルドステロン症の患者さんを見ていると、汗から塩分が失われる(1,000ccの発汗で約2g程度の食塩が排泄されます)夏になると血圧が低下する印象があります。この点を質問してみたところ、演者、座長の先生とも厳格な食塩制限の重要性を強調されました。さらに、 最近、認識を新たにするアルドステロン症の病理診断(腫瘍性か非腫瘍性か)の動向も知ることができました。
 では、肝心な減塩療法について、滋賀医科大アジア疫学研究センターの上島弘嗣特任教授のお話は大変参考になりました。学会の食塩摂取量の目標は1日6g未満ですが、世界保健機関では1日5g未満を推奨しています。しかし、実態は先述の通りです。疫学調査では、減塩していると回答した人とそうでない人の食塩摂取量の差はわずか1日1g程度しかありませんでした。先生は、若い頃から高血圧があり、減塩を必要としていましたが、4年前までは1日6g 未満を達成できていなかったそうです。栄養と血圧に関する国際共同研究(INTERMAP)から、日常の食塩摂取量の約半量は料理に加える調味料とそれに含まれる食塩からであること分かり、現状の食塩摂取量を半減するには、少なくとも、家庭で料理するものには、原則、一切の食塩および食塩を含む調味料を使用しないこととし、食塩無添加食を2014年3月から実践しています。結果、2018年3月末で満4年が経過しましたが、リバウンドすることなく、家庭での食塩無添加食を続けています。奥様は、食べる前に塩胡椒を振ったり、醤油を掛けたりして同じ料理を食べています。食塩無添加食を始め3ヶ月を過ぎる頃から、日々楽しく美味しく料理ができ食べられるようになったそうです。禁煙に慣れるまで3か月必要なのと似ています。基本は素材のうま味を生かすことで、調味料でごまかすことではないとのこと。食塩の入っていない香辛料、酢、ショウガ、玉ねぎ等はよく使うようにしたところ、24時間蓄尿による食塩摂取量は3g 台に保たれ、結果として、収縮期血圧は130mmHg 未満になり、降圧薬は半減、体重の増加もないとのことです。「日本高血圧協会」のホームページに開始から現在までの記録が公表されています。百聞は一見に如かず、是非ご覧になって下さい。
 今回得られた知見を、当院ホームページの「高血圧内科」の欄に反映、日々の診療に活かしていきたいと思います。

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2018/09/14 
「2018年9月8日『平成30年度東京都医師会災害対策医療講習会〜東京オリンピック・パラリンピックに備えて〜』に参加してきました。」

 2018年9月8日土曜日神田駿河台にある東京都医師会館で開催された「平成30年度東京都医師会災害対策医療講習会〜東京オリンピック・パラリンピックに備えて〜」に参加してきました。プログラムは、

1、東京オリンピック・パラリンピックのリスクいついて
2、東京オリンピック・パラリンピックの医療体制
3、想定される,EKGテロと最低限の決まりごと
4、爆傷と銃創
5、熱中症
6、外国人が持ち込む感染症
7、下痢・嘔吐 発熱とサーベイランス
8、バックアップ機関と緊急連絡先

といった内容です。
 2012年のロンドンオリンピックには、204か国、10,568人の、同パラリンピックには164か国、4,237人の選手が参加、観客数はそれぞれ821万人と278万人だったそうです。東京オリンピックはそれ以上の規模になるといわれています。そしてオリンピックイベント関連だけで1,330件の救急出動件数があったそうです。東京オリンピックはロンドン以上の猛暑ですから、救急出動件数もさらに増加することが予想されています。
 一方、1972年のミュンヘンオリンピック、1966年アトランタ、2008年北京、2012年ロンドンではテロ事案が発生しており、東京オリンピックもテロの標的となる可能性があります。
 さらに、東京五輪では都内8か所がパブリックビューイング会場の候補となっていますが、その一つが井の頭公園で、東京オリンピックは都心の出来事、余所事ではなく、三鷹にとっても私事で、まさに今回の講習会のような備えが必要と思われます。
政府の音頭で、東京五輪開催までの2年間、このような講演会が今後次々と開催されることでしょう。三鷹市医師会防災救急対策担当理事でかつ三鷹市災害利用コーディネータを拝命する小職としては、今後も積極的に参加するつもりです。

2018/09/14 
「2018年9月13日三鷹駅周辺住民協議会の健康セミナーで「尿のトラブル」について講演してきました。」(その1)

 三鷹駅周辺住民協議会では定期的に健康セミナーを開催していますが、2018年9月13日午後1時30分から3時30分まで三鷹駅前コミセンで「尿のトラブル」について講演してきました。同セミナーでは2008年9月13日「メタボってな〜に?」と題して講演したので、ちょうど10年ぶりの講演です。上述のような開催時間のため、当日は午後の診療を2時から4時まで休診としました。皆様にご不便、ご迷惑をお掛けしましたことお詫び申し上げます。折角休診までして講演してきたのに、ホームページや外来待合室で告知し忘れてしまいました。残念。ただ、100人近くいたのではないでしょうか、会場には座りきれないほどの方が来場しており、入れなかったかもしれません。
 講演では、腎臓の機能、役割をご説明した後、主題である下部尿路(左図)の病気について解説しました。正常な尿の特性(中図)と対比しながら男性にありがちな尿のトラブル(右図)(つづく)、

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2018/09/14 
「2018年9月13日三鷹駅周辺住民協議会の健康セミナーで「尿のトラブル」について講演してきました。」(その2)

女性にありがちな尿のトラブル(左図)について説明、その代表的な原因疾患である前立腺肥大症(中図)、過活動膀胱(右図)について解説しました。

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2018/09/14 
「2018年9月13日三鷹駅周辺住民協議会の健康セミナーで「尿のトラブル」について講演してきました。」(その3)

また、2時間と講演時間が長かったため、下部尿路における他の重要な疾患(前立腺がん、膀胱がん、膀胱炎、夜間頻尿)(左図)(中図)(右図)についても解説しました。

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2018/09/09 
「平成30年度三鷹消防署救急活動訓練効果確認参加報告 −地上30メートル、はしご車に乗ってきました−」(その1)

 7月20日三鷹消防署防災教室にて平成30年度三鷹消防署救急活動訓練効果確認が開催されました。これは、救急隊員の技術向上を目的として救急活動訓練実施に際し、医療機関を代表して視察、気付いた点などを指摘するものです。
 別紙の「進行予定表」(左図)に従い別紙の如き「訓練想定」(中図)「会場図」(右図)のもと各隊の活動を視察しました。

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2018/09/09 
「平成30年度三鷹消防署救急活動訓練効果確認参加報告 −地上30メートル、はしご車に乗ってきました−」(その2)

 例年、救急隊員の冷静沈着、かつ迅速滑らかな動きに感心させられます。日々このような訓練によって救急!活動は成り立っていることを改めて認識させられます。
 今年は訓練視察の後、三鷹消防署に新たに導入された高さ30mまで届くはしご車(写真1〜4)(左図、中図、右図、その3の左図)の視察(続く)、

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2018/09/09 
「平成30年度三鷹消防署救急活動訓練効果確認参加報告 −地上30メートル、はしご車に乗ってきました−」(その3)

(続き)試乗もしてきました。最大長30mまで上がると、富士山は霞んで見えませんでしたが、三鷹の地から遥か遠くスカイツリーを眺めることができました。このはしご車は1台1億五千万円するそうです。防災救急対策担当理事の数少ない役得でした。(以上は三鷹市医師会雑誌「醫人往来」平成30年9月号に掲載された記事を転載してものです)

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2018/09/02 
「2018年8月30日から31日まで開催された第59回日本人間ドック学会学術大会に参加してきました。内視鏡室設置の準備中です。」

 新潟大学大学院生活習慣病予防検査医学講座教授加藤公則大会長のもと朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)で2018年8月30日から31日まで開催された第59回日本人間ドック学会学術大会に参加してきました。29日水曜日の診療後出発、二泊三日で参加してきました。今回のテーマは「人が『人らしく』生きるために〜健康長寿に寄与できる人間ドックを目指して〜」です。大会長の加藤教授は新潟大学の出身ですが、同大学の第一内科に入局、その後退局、一般社団法人新潟県労働衛生医学協会(健診機関)に就職しました。現在も同協会の職員ですが、同協会が新潟大学大学院に上記寄付講座を開設、その教授に就任しています。私が学生時代はこのような仕組みはありませんでしたが、昨今は、産学連携の考えで、このような寄附講座が増えています。
 さて、今回、学会に参加した目的はいくつかありますが、その一つはもちろん認定医の単位を取得することです。さらに、かねてより、上部消化管(食道、胃、十二指腸)検査として、内視鏡検査の必要性を痛感していましたが、現在の施設には内視鏡室を設置するスペースがありません。現在当院が入居する5階建のビルの1階には歯科医院が、2と4階に当院が、3階と5階には各々一般企業が入居しています。2階が診療スペースで、4階が事務室、スタッフ休憩室、ロッカー室、院長室等です。2007年11月1日当院が開院したときは、2階だけでした。しかし、5年近くを経た頃診療スペースが手狭になり、2012年8月頃4階を追加で賃貸、先述のように非診療部門を4階へ移動させ、2階の空いたスペースにマンモグラフィ(乳房レントゲン)検査室、婦人科診察室、女性専用更衣室等を新設しました(2012/11/23院長コラム「クリニック拡張工事が始まります。」をご参照下さい)。さらに、開院8年近くが経ちまた手狭になったため、2015年8月近隣のワンルームマンションを賃貸、会議室兼倉庫として利用しています(2015/08/03「パシフィコ横浜で開催された第56回日本人間ドック学会学術大会に7月30日参加してきました。いろいろ忙しくてお疲れモードです。」をご参照下さい)。
 今年11月で開院丸11年となりますが、上記のように内視鏡室新設は必須と判断しています。しかし、現在場所がありません。しかし、希望するような新しい場所、移転先が何時見つかるか分かりません。これはやはり縁、運だと思っています。ですから、その縁を逃がさないためにも、いつでも内視鏡検査を始められる準備をしておくべきだと考え、今回人間ドック学会で、各健診施設における内視鏡検査室の実態、運営法などを情報収集しました。実際内視鏡を始める場合、内視鏡専門医を招聘します。最新の環境、機器で内視鏡検査が行えるよう内視鏡室を設計する必要があります。私が内視鏡検査をしていた30年前にはなかったデジタル内視鏡、経鼻内視鏡、ハイビジョンスコープ、拡大内視鏡、狭帯域光観察内視鏡等続々と新しい技術が開発されています。これらの新技術の特性を十分理解した上で、内視鏡室を設置したいと考えております。1年以内に内視鏡室を新設する予定です。内視鏡室設置の折は、是非ご利用いただければ幸いです。

2018/07/29 
「東京ドームで巨人vs中日戦を観戦してきました。」

 昨年6月5日の院長コラム「くじ運は絶好調。今度は東京ドーム巨人戦、1塁側エキサイトシート3人分が当選しました。」で巨人戦チケットをくじでゲットしたことを報告しましたが、今年も同じくじに申し込んだところ、何とまたしても当選、忙中閑あり本日昨年同様のメンバー三女、四女とエキサイトシート(リンク先のG12の席が今回観戦した席です)で観戦してきました。
 実は別口の東京ドーム野球観戦を申し込んだところ、そちらも当選、8月末に巨人阪神戦を観戦予定です。ただ、今回のエキサイトシートほど迫力のある席ではありませんが。
 四女はスポーツ観戦が好きなため、野球のルールをかなり理解していますが、三女は全く理解していません。娘曰く、サッカーに比べてルールが複雑で難しいとのこと。確かに、子どもの頃野球をやらない世代からすると複雑かもしれません。私が子どもの頃は、スポーツと言えば野球で、野球のルールを知らない子どもなどいませんでしたが。
 しかし、上の子も東京ドームのスケール感には、今回も感動したようで、次回阪神戦も参加表明しています。
 試合に先立ち、上原浩治選手の100勝100セーブ100ホールドの記念セレモニーがありました(下図)。試合は残念ながら、9対2で巨人の惨敗。昨年も巨人の敗戦。次回阪神戦に期待します。

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2018/07/14 
「2018年7月11日から13日まで大阪国際会議場で開催された第50回日本動脈硬化学会総会・学術集会に参加してきました。」

2018年7月11日から13日まで日本動脈硬化学会理事長でりんくう総合医療センター病院長の山下静也大会長のもと大阪国際会議場で開催された第50回日本動脈硬化学会総会・学術集会に参加してきました。11日午後の新幹線で大阪に向かい、12日、13日と二日間しっかり聴講してきました。今回、プログラムが大変充実しており、拝聴したい講演が複数の会場で重なり、全部聞けず大変残念でした。
具体的には、トリグリセリド(TG、中性脂肪)、レムナントなどの残余リスクの問題、スタチン不耐に対する対応、当院でも使用を初めたPCSK9阻害薬の可能性、FMDなど動脈硬化評価法、NAFLD/NASHと動脈硬化症の関わり、動脈硬化の画像イメージング、Lp(a)の新知見、心血管疾患における再生医療・細胞治療、家族性高コレステロール血症研究の展望、原発性脂質異常症の診断治療のbrush upなど新しい知見をしっかり勉強することができました。これらの知見をホームページで公開するとともに、明日からの診療に活かしていきたいと思います。

2018/07/09 
「7月3日三鷹産業プラザで開催された武蔵野内分泌代謝ネットワーク2018で司会を務めました。」

 平成30年7月3日三鷹産業プラザで開催された武蔵野内分泌代謝ネットワーク2018(下図)で司会を務めました。平成27年7月にも同研究会で司会を務め、「サブクリニカルクッシング症候群を合併した原発性アルドステロン症の一例」という演題名で症例発表したことを院長コラムでご報告(2015/08/02院長コラム「7月29日吉祥寺第一ホテルで開催された武蔵野内分泌代謝ネットワーク-2015-で『サブクリニカルクッシング症候群を合併した原発性アルドステロン症の一例』という演題名で症例発表してきました。」)しましたが、今回は司会だけで発表はしていません。この会は、武蔵野赤十字病院内分泌代謝科の杉山徹部長を中心に、症例ベースに内分泌や代謝性疾患について勉強する会です。本年が5度目の開催で、当初より会の世話人になっています。
 今回の症例は、「病診連携により強化インスリン療法を離脱できた高齢2型糖尿病の一例」と「著明な低カリウム血症により診断に至った正常血圧の原発性アルドステロン症の一例」です。演題名のごとく当院でも正常血圧にも関わらず原発性アルドステロン症であった症例を多数経験しています。たとえ血圧値が正常でも、アルドステロン過剰による傷害性ため臓器障害、動脈硬化が進展します。ですから、正しく原発性アルドステロン症と診断することは大切です。原発性アルドステロン症については、「高血圧内科」のページの「本態性高血圧か二次性高血圧かの鑑別診断」の欄をご参照下さい。

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2018/07/07 
「診療所の中心で愛をさけぶ」

 まずもって、青春恋愛小説の名作「世界の中心で愛をさけぶ」の著者、片山恭一氏、並びにファンの方々に大変失礼なタイトルとなったことを深謝します。
 さて、永く医者をしているといろいろな患者さん出会います。先日、診察室で真っ赤な口紅を塗った患者さんから頬にキスをされる、しかも両手で顔を押さえ付けられながらという初めての経験をしました。私生活でも妻を含め、顔を押さえ付けられながらキスをされたことはありません。押さえつけながらしたことはあっても。この患者さん、認知症ではないので少々困っています。
 その患者さんとの出会いは今から10年くらい前、開業して間もないころです。当時75歳のAさんは、数年前先生が他界され閉院となった自宅近くのB医院に通っていました。B医院は当院から徒歩15分ほどでさほど遠くない距離にあります。医者の言うことはほとんど聞かず、マシンガンのように一方的に自身の話ををするAさんに嫌気が差したB先生は、門前のC薬局に連絡、「うまいこと言ってどこか別の医院に通わせることはできないか。」と相談、依頼したそうです。C薬局は市内に2店舗あります。そこでもう一店舗の近くに開業して間もない当院に白羽の矢を立てました。患者さんのご自宅がB医院と当院の間に位置し、通うのに都合が良かったこともあります。また、開業したてで患者さんも少なく、ゆっくり話を聞いて貰えると読んでC薬局は「よく話を聞いてくれるいい先生が開業したから、そちらかに通ってみてはどうですか。」と勧め、当院に通い始めました。確かに当時のホームページには「ご自身のみならずご家族のことでも、何でもご相談下さい。」と書いていたように記憶しています。以上は、C薬局から直接聞いた話です。
 初診で来院した折、型通り持病の糖尿病、高血圧について問診した後、患者さんから「先生は何でも話を聞いてくれるのですか?」と尋ねられ、「ええ、どうぞ。」とお答えしたところ、「昔都心に住み相当な資産(数億とお話ししていました)があったが、夫が連絡保証人になり、全財産を失ったこと。そのため、三鷹に都落ちし(三鷹在住の方々に申し訳ありませんが、ご本人の言葉です)借家住まいになったこと、今では服を買うお金がなく、既存の服を手作りでリフォームし着ていること、娘はフランス在住で年1回しか帰国しないこと、夫のせいで全財産がなくなったが姑の面倒を最後までみて看取ったこと」など様々なお話を来院する都度伺いました。さらに、私の大学時代の同級生から贈られ、院内に掲示した北九州市門司港の写真を切っ掛けに、互いに北九州市出身であることが分かり、なお一層私に強い親近感を抱くようになりました。
 通院を始めて数年は病気と身の上話が半々といった診察でしたが、数年前夫が他界、独居となってからは、診察室での会話のほとんどが身の上話のようになっていきました。1か月分の処方をしても来院するのは2か月後といった有様で、血糖検査HbA1cが基準値の2倍、10近くなることも。その都度注意をしていましたが、「お金がなくて大変なの。食事にも困っているの。ここは遠いから歩いて通院するのが大変なの。」との返事でした(確かに徒歩10分ほどの距離があり、外出時はシルバーカーを押しながら歩くADLの方です)。ただ、一見すると来院時はいつも小奇麗な身なりで、レンズが紫色の色付き眼鏡をし、メイクもバッチリ、生活に困っているようにも見えません。
 愛を注ぐ相手がいなくなったためか、診察に入ると固く私の手を握って会話するようになりました。1、2年前からは「私は先生が何でも話をしていいよって言ったから、なんでも話したの。話を聞いてもらいたくて来ているの。体を大事にするのよ。先生が倒れたら話を聞いてくれる人がいなくなるから困るの。」といって肩や背中を擦ってくれるようになりました。スウェーデン式タクティールケアでスキンシップの大切さを理解していましたから、当初さほど気にはなりませんでした。しかし、1年くらい前から「いいこ、いいこ。」といった感じで髪の薄い頭を撫でられるようになり、さすがに気恥ずかしく感じるようになりました。経緯を当院看護師も十分承知しており、Aさんが来院すると、看護師は皆ニコニコ?ニタニタ?クスクス?と笑うようになっていきました。その間認知症を考え、HDS-Rを実施しましたが満点で、やはり認知症というより、個性的な性格だけのようでした。
 そして2週間前です。今回3か月ぶりの来院で血糖値が悪化しており、きちんと薬を飲み、薬がなくなる前に来院するようお話し、久しぶりの採血検尿をお願いしました。ちなみにAさんのマシンガントークに対抗し、当方の伝えたいことを話す術は、とにかく相手お構いなしに自分の伝えたいことをしゃべり続けることです。「静かにして下さい。」「話すのを止めて下さい。」等と言ってはいけません。相手を慮ってひとしきりお話を聞いた後の区切りの良いところで自分の話を始めるのがマナーですが、遠慮は無用、相手の会話に重ねて話を始めます。先方も負けずに話し続けますが、根気比べ、当方が話を止めなければいずれ先方が諦め、私だけの話になります。
 いつものように頭をなでなでして、シルバーカーを押しながら採血コーナーに歩く後ろ姿に、「ところで、いつもの湿布は必要ですか?」とお声を掛けたところ、その優しさが彼女の心の琴線に触れたようで、両手で押していたシルバーカーを投げ捨て、小走りで私のもとに駆け寄り、私の顔をしっかり両の手で固定、左の頬に接吻をし「有難うね。有難うね。頑張るのよ。」と言いました。一部始終を見ていた看護師、臨床検査技師もさすがに目が点になっていました。頬へのキスも驚きですが、私としてはシルバーカーを投げ捨て小走りで駆け寄る様に「えっ。走れるの?」とそちらの方が驚きでした。自分の幻覚でないはないかと、その場にいた二人に「今、見た?確かに走っていたよね?」と尋ねると二人「え、見ました。確かに走っていました!」と目を丸くして笑っています。「次は、口かなあ?それはさすがに困るよ。どうしよう?」とスタッフに話しかけると「Aさん、とにかく先生のことが好きで好きで仕方がないんです。」と女心を解説、「次回来院時はマスクをしておくといいですよ。」とアドバイスをくれました。
 現在、当院のホームページから「ご自身のみならずご家族のことでも、何でもご相談下さい。」との文面は削除しています。しかし、「患者さんが安心して治療に専念していただけるように、まずは信頼関係が重要と考えております。」と変わらず記載しています。信頼関係の究極の姿は、患者さんに愛されることなのでしょうか。
(本文は三鷹市医師会雑誌「醫人往来」平成30年7月号に掲載したものを改変して転載しました)

2018/06/26 
「ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)」

 6月16日から17日まで第9回日本プライマリケア学会に参加、性感染症に関する知識を集中的にbrush upして来たことを報告しましたが、早速、初めて経験する性感染症の症例を診断しました。最も、今回性交渉で感染したか否かは定かではありませんが。
 患者さんは長期休暇を取得、4か月間インドの安宿に滞在していた方です。渡航前から当院で高血圧の治療を受けていました。帰国後、2か月以上経て降圧剤の処方を受けるため久しぶりに来院されました。旅行中の様子を伺うと、予想通り不衛生な環境のため下痢が続いた上、毎日毎食カレーでさすがに食傷気味になり、滞在中に10kg体重が減ったそうです。しかし、帰国後は元気になり5kg回復したとのことでした。久しぶりの来院のため定期の血液検査実施しました。結果、白血球の中の好酸球が22%(以前の値は2%)と著しく増加していることを指摘しました。
 白血球にはいろいろな種類がありますが、そのうち好酸球という白血球が増加する病態として、

1、アレルギー性疾患:気管支喘息、アトピー性皮膚炎、じん麻疹、薬剤アレルギー、アレルギー性鼻炎(花粉症)
2、膠原病・血管炎症候群:アレルギー性肉芽腫性血管炎、皮膚筋炎、
3、好酸球増加症候群、好酸球性肉芽腫、PIE症候群。Löffler症候群、
4、皮膚疾患:天疱瘡、痒疹、多形滲出性紅斑、
5、血液疾患:慢性好酸球性白血病、慢性骨髄性白血病、Hodgkinリンパ腫、
6、寄生虫疾患、
7、射線照射後、
8、悪性腫瘍の転移、

 等が挙げられます。このうち最も頻度が多いのはアレルギー性疾患です。日常診療の中で、好酸球増多症を見た場合、そのほとんどがアレルギー疾患、とりわけ喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎と言っても過言ではありません。
 しかし、今回、アレルギー性疾患の持病がなかったこと、前値が2%だったこと、インドで下痢をしていたことなどから、寄生虫疾患を真っ先に疑いました。そして、再度よくよくお話を聞くと、帰国後も下痢が続いているとのことでした(早く言って欲しかった!)。ご本人曰く、「今回、何だか下痢の直りが悪くて。いつもだったら放っておいても治るのですが。」とのことでした。寄生虫感染が疑われることを説明、早速便の提出を指示、虫卵検査を行うことにしました。
 便検査の結果、左図の如くランブル鞭毛虫のオーシスト(接合子嚢)を発見、ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)と診断しました。本疾患は、感染症法の5類感染症(全医療機関が診断後7日以内に最寄り保健所に届け出の義務がある)となっているため、早々に東京都多摩府中保健所へ届け出を行いました。臨床症状、感染経路、治療方針などに関しては、東京都感染症マニュアルの「ジアルジア症」を転記します(右図)。
 ご存知の方も多いことと思いますが、成田空港等を経て帰国するとき、空港の検疫所で発熱や下痢などの症状がある場合、申告するように求めれらます。インドからの帰国で下痢症状があると、検便検査を無料で実施してくれるようです。この方はおそらく無申告のまま検疫所を通過したのだと思います。下図のマニュアルの如く下痢便の取り扱いが不適切(トイレの後の手洗い等)な場合、帰国後家族への二次感染の可能性もあります。インドなど衛生環境に問題のある国(厚生労働省検疫所ホームページ国別情報:インド)へ旅行中、発熱、下痢などの症状があった場合、面倒臭がらず検疫所で申告しなければならないことを明記します。

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2018/06/17 
「6月16日と17日、三重県総合文化センターで開催された第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に参加してきました。」

 平成30年6月16日と17日、三重大学大学院医学系研究科家庭医療学・医学部附属病院総合診療科教授竹村洋典大会長のもと、三重県総合文化センターで開催された第9回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に参加してきました。16日土曜の診療後、書類などの残業を片付けた後、午後3時前にクリニックを出発、三重県津市まで行きました。津市に到着したのは19時近くで、初日は懇親会に参加したのみでした。翌日朝から、教育講演「エビデンスに基づいたワクチン接種のために〜Annual evidence up-to-date 2018」、シンポジウム「総合診療医が知っておきたい性感染症診療のリアル」、「医と薬の連携・協働 今さら聞けない頭の中―診断・処方―」等を拝聴し、15時には三重を出発、帰京しました。
 教育講演でも性感染症の一つとして、子宮頸癌の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(詳しくは「予防接種」のページの「子宮頸がんHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンについて」をご参照下さい)が話題になっていましたが、性感染症に関するシンポジウムでも、昨今急増する梅毒(下図)、HIV感染症の問題が俎上に上がっていました。私自身、2016/10/30の院長コラム「梅毒」で約15年ぶりに梅毒患者を診療したことをご報告しました。その後さらにもう一人梅毒患者を診断しています。最も印象に残った話は、演者の一人、医療法人太融寺町谷口医院谷口恭院長の「総合診療医が”偶然”発見する性感染症」と題する講演です。性交渉の後、尿道痛や帯下(おりもの)異常といった性器の症状があれば患者自身が性感染症を疑い来院してきますから、正しい診断に辿り着くのは難しくありません。しかし、それら性感染症特有の症状がなく、例えば、発熱、リンパ節腫脹、皮疹、咽頭痛、皮膚掻痒感等といった非特異的な症状のみの場合、性感染症を疑わず、診断が付き難い場合が少なくないとのお話しでした。先生は、「ニキビが治り難いと病院を何件も回った症例=HIV(ヒト免疫不全ウイルス、いわゆるAIDSウイルス)感染症」、「皮疹で皮膚科を通院中に倦怠感が生じた症例=急性HBV(B型肝炎ウイルス)感染症」(詳しくは「予防接種」のページの「B型肝炎の疾患概念のパラダイムシフト〜是非、B型肝炎ワクチンを接種して下さい!」をご参照下さい)、「長引く咽頭不快感=淋菌性咽頭炎」、「副腎ステロイド軟膏を使っても治らない皮疹=梅毒」、「長引く外陰部の掻痒(尖圭コンジローマ)」等の症例を提示、「“いきなり”性感染症」と命名していました。総合診療医が身に着けるべき診断ノウハウであり、大変勉強になりました。明日からの診療に活かしたいと思います。
 野村病院の野村幸史院長も本学会にご参加されており、帰りの津駅でばったりお会いしました。

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2018/06/03 
「今年もくじ運は絶好調。東京ドーム巨人戦、1塁側エキサイトシート3人分が当選しました。」

 2017/06/05院長コラム「くじ運は絶好調。今度は東京ドーム巨人戦、1塁側エキサイトシート3人分が当選しました。」でご報告したように幸運にも野球観戦チケットをゲットしました。その折、お話ししたように当選確率はかなり高いと踏み、今年も二匹目のドジョウを狙い申し込んでみたところ、なんと、再び当選しました!このシートは応援グッズ付きで、また、ジャイアンツのTシャツ、タオルなどがクローゼットに溜まりそうです。大学受験の次女は参加できませんが、昨年参加し、臨場感(下図、東京ドーム1塁側エキサイトシートからの眺めです。東京ドームホームページより転載)に感動、大喜びしていた三女、四女と一緒に観戦予定です。

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2018/05/25 
「麻疹(はしか)流行を考える」(その1)

 この10年麻疹(はしか)の流行がマスコミで報道されることが多くなっています。
 まず、左図は1999〜2007年の定点あたり麻しん患者報告数(麻しん、成人麻しん:18歳以上、2006年から15歳以上)です(国立感染症研究所感染症疫学センター作成厚生労働省麻しん風しん対策推進会議資料を転載)。図のよに2007〜2008年にかけて10〜20歳代の若年者を中心に麻疹が全国的に流行しました。そのため、当時、都内では日本大学、上智大学、東京工科大学、駒沢大学、和光大学などが休講になっています。この流行を機に厚労省は2008年1月から全数報告を医療機関の義務付け、正確な患者数が把握されるようになりました。
 そして2018年、今回は台湾から沖縄県に”輸入”された麻疹の流行です(中図、朝日新聞記事)。右図(国立感染症研究所発表資料)では赤線で示された2018年の麻疹累積報告数が13週目(4月第1週)から急激に増加しているのが分かります。
 昨今、何故麻疹の流行が話題となるのでしょうか。今回の流行をよい機会と捉え考察してみます。

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2018/05/25 
「麻疹(はしか)流行を考える」(その2)

日本の麻疹に関する予防接種制度の変遷を述べると、

1948年 予防接種法制定
1966年 麻疹不活化ワクチンと生ワクチンの併用療法が開始される。
1969年 併用療法が廃止になり、麻疹弱毒生ワクチン単独接種に変更になる。
1978年 麻疹ワクチン1回接種が定期化される。
1989年 麻疹生ワクチン、風疹(三日麻疹)生ワクチン、ムンプス(おたふくかぜ)生ワクチンを混合した麻疹風疹おたふくかぜ混合ワクチン(measles−mumps−rubella;MMRワクチン)が導入される。
1993年 MMRワクチン接種後のおたふくかぜワクチンによる無菌性髄膜炎症例が蓄積、MMRワクチン接種が中止となる。
2006年 ムンプスワクチンを除いた麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)が導入、従来の第1期(満1歳〜2歳未満)に加え、第2期(就学前の1年間)が開始、2回接種が定期接種化される。
2007年 10〜20歳代の若年者を中心に麻疹が流行、翌2008年まで持続し終息する。
2008年 5年間の時限付きで、第3期(中学1年生)、第4期(高校3年生)を対象として麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の接種が導入される。
2008年 麻疹患者発生動向調査はそれまでの小児科定点及び基幹病院定点から全医療機関に全数報告を義務付ける。

 以上のようになります。
 そもそも1978年に麻疹ワクチン接種が定期化されるまで、麻疹を予防する対策は一切なされていませんでしたから、麻疹の流行は為すがままの状態で、日本人ほぼ全員が成人するまでに必ず感染していたと推察されます。上述の如く2008年まで全数報告がなされていませんでしたから、正確な数字は不明です。しかし、左図(国立感染症研究所感染症疫学センター作成厚生労働省麻しん風しん対策推進会議資料を転載)の「麻しんによる年別死亡報告数」を見ると分かるように、2007〜2008年の流行時でさえ1〜2名しかいなかった麻疹による死亡者が1999年当時30名近くいたことから推測すると、麻疹患者数がいかに多かった容易に理解できます。そのため、「はしかのようなもの」といった慣用句まで生まれたわけです。今では死語かもしれませんが、「はしかのようなもの」とは「誰もが一度は通る道」「誰もが若い時期に経験すること、失敗」といった意味に使われる慣用句です。換言すると、麻疹はこれほどまでに感染力の強いウイルスといえます。
 しかし、1978年幼児に対する麻疹ワクチン1回接種が開始されると当然麻疹患者数は年々減少していきました。ただ、麻疹が完全に日本から撲滅されることはありませんでした。というのは、麻疹ワクチン1回接種では約95%以上の方が免疫を獲得できましたが、数%ながら十分免疫が付かない方がいたからです(primary vaccine failure;PVF)。2回接種するとそれら不十分な方もたいてい麻疹に対する免疫を獲得できます。ちなみに欧米では、2回接種が基本です。さらに、1989年導入されたMMRワクチンで髄膜炎の副反応が出現、1993年MMRワクチン接種が中止になる事態に及び、予防接種に対する不信感から、予防接種そのものを多数の親御さんが控えてしまいました。
そのため、2006年厚労省は、就学前の1年間に2回目の麻疹ワクチン接種を定期化しましたが、時すでに遅し、2007〜2008年頃、上述のように10代から20代の若者に麻疹が大流行してしまいました。この年代に流行した理由は当時、1、まったく麻疹ワクチンを接種していない者(おおよそ15〜19歳の一部)、2、1回接種はしたが免疫が獲得できなかった者(PVF)(1〜30歳のワクチン接種者の約5%)が蓄積したことに加え、3、1回接種し免疫を獲得できたが、時間の経過とともにその免疫が失われていった者(secondary vaccine failure;SVF)が多数いたためと考えられています。
 SVFとは一度獲得した免疫が時間の経過とともに記憶(免疫細胞の記憶)が薄れ、抵抗力がなくなることです。これは、当院ホームページの「予防接種」のページ、「帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛や顔面神経麻痺ワクチン(予防接種)について」の欄、「はしかのようなもの」の段落でお話ししたことですのでそちらもご参照下さい。ワクチン導入以前は、日本中に麻疹ウイルスが蔓延していたためほとんどの日本人は、とっとと感染しましたから、当然患者の大多数が乳幼児〜小児でした。しかし、幼児のワクチン接種導入より小児の麻疹患者数は激減しました。しかし、幼児期に接種したワクチンの効果は一生涯持続するわけではありません。一旦獲得した免疫、抵抗力も年々低下していきます。しかし、そういった時期、麻疹に感染すると、あたかも2度目のワクチン接種を受けたかの如く、免疫力が再上昇(ブースター効果といいます)します。しかし、皮肉にもワクチン導入以後麻疹患者数が激減、年々感染する機会が失われ、ブースター効果を得る機会が失われて行きました。おそらく30歳代以後はまだ麻疹に感染する機会があり、ブースター効果を得ることができのでしょう。しかし、2007年当時10〜20歳代の若者はその機会も少なく、麻疹流行を招いたようです。
 2008年から5年間時限の第3期(中学1年生)、第4期(高校3年生)麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)接種導入により、結局、1990年4月2日生まれ以後の世代、すなわち現在28歳以下の世代は、受け漏れていない限り、世界標準通り2回の麻疹ワクチン接種を実施していることになり、麻疹に対して十分な抵抗力を持っていると予想されます。しかし、実際には第3期の接種率は85.1%、第4期に至っては77.3%に留まってしまいました。ですから、現在の麻疹流行に関して、感染の危険性が高いのは29歳以上(第3期または4期の接種を打ちそびれた場合19歳以上)の方と言えます。一方、1978年の幼児期の麻疹弱毒生ワクチン定期接種化以前に生まれた方、換言すると45歳以後(1972年10月1日生まれ以後)の方は、高い確率でほぼ全員が麻疹に感染、さらにブースター効果を得ている者も多いと予想されます。結局、現在、29歳(1990年4月2日生まれ以後)、2回目のワクチン未接種の場合19歳(2000年4月2日生まれ以後)〜44歳の方が現在麻疹に罹りやすい状況となっています。
 中図は今回沖縄に端を発した麻疹流行における「年齢群別接種歴別麻しん累積報告数」(国立感染症研究所発表)です。実際、ご覧になってお分かりになるように20歳前半から40歳代半ばまでに多数発生、50歳以上では全部合わせても5名しかいません。
 そもそもですが、日本は諸外国と異なり麻疹ワクチン接種回数が2006年まで1回であったため、1969年麻疹弱毒生ワクチン単独接種導入後も麻疹患者発生数が多く、麻疹「輸出」国と見なされる不名誉な状況にありました。そこで、政府は2007年、2012年までに麻しんを国内から排除(天然痘のように撲滅ではありません。排除とは、国外で感染した者が国内で発症する場合を除き、麻疹診断例が一年間に人口100万人当たり一例未満であり、かつ、ウイルスの伝播が継続しない状態にあることをいいます)することを目標に掲げました。その結果、2015年3月27日、WHO西太平洋事務局により日本は「麻疹排除状態にある」と認定されました。そのため、換言すると現在、日本で麻疹が流行する場合、今回のように流行国から「輸入」される場合がほとんどです。右図は世界各国の麻疹症例発生数です。今回の沖縄での流行も中華民国の方がタイに旅行したとき麻疹に感染、10日間の潜伏期の間に沖縄に来日、そこで麻疹を発症、感染が広がりました。

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2018/05/25 
「麻疹(はしか)流行を考える」(その3)

 現在麻疹ワクチンが不足しています。限られた量のワクチンを最大限有効利用するため、国立感染症研究所感染症疫学センターは、左図(ページ1)、中図(ページ2)の如き指針を提示しています。これはあくまでもワクチン不足の状況下での対応です。
 ワクチン供給量が十分な場合、右図の如き日本環境感染学会から発表されている「麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘ワクチン接種のフローチャート(医療関係者のためのワクチンガイドライン第2版)」が参考になります。

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2018/05/09 
「平成30年度(2018−2019シーズン)インフルエンザワクチン株が決定しました。」

 平成30年度(2018−2019シーズン)インフルエンザワクチン株が決定しました。平成27年度以降、それまでの3価から4価に変更になりましたが、今年も例年通り下記のようなA型2種、B型2種を混ぜわせた4価のワクチンです。

<A 型株>
A/シンガポール/GP1908/2015(IVR−180)(H1N1)pdm09
A/シンガポール/INFIMH−16−0019/2016(IVR−186)(H3N2)
<B 型株>
B/プーケット/3073/2013(山形系統)
B/メリーランド/15/2016(NYMC BX−69A)(ビクトリア系統)

 ご存知の方も多いかと思いますが、A型患者数の方がB型より多いのが例年ですが、昨シーズンはB型が大流行、B型とA型の患者数ほぼ同じ程度でした。そういったこともあり、例年通りA型2種、B型2種を混ぜることになっています。昨年はインフルエンザワクチンが不足し混乱しましたが、今シーズンに関しては少なくとも現時点でそのような情報はありません。
 インフルエンザワクチンの接種開始は例年通り10月1日を予定しています。時期が近づきましたら改めて広報します。

2018/04/30 
「麻疹(はしか)が沖縄県で流行していますが、ワクチンが不足しています。」

 メディア報道でご存知の方も多いと思いますが、台湾から持ち込まれた麻疹(はしか)が沖縄県で流行しています。さらに沖縄を旅行した愛知県の方が帰宅後麻疹を発症しました。当院へも麻疹ワクチンの問い合わせが来ていますが、現在麻疹ワクチンは全国的に不足しており、入荷の見通しが立っていません。そのため、当院では麻疹ワクチンの代わりに麻疹ワクチンと風疹ワクチンを混合した麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の接種を希望者にはお勧めしています。MRワクチンに関しては少なくとも現時点では問題なく入荷します。麻しん単体ワクチンの代わりMRワクチンを接種した場合、風疹(三日はしか)にまで免疫が得られることと、費用が高くなる(5,400→8,640円)こと以外違いはなく、単体ワクチン同様麻疹に対する免疫が得られます。麻しんワクチンに関しては引き続き入荷できるよう計らいます。

2018/04/28 
「今度は振り込め詐欺で情緒不安定、不眠症に。許せません!」

 2012/12/10院長コラム「振り込め詐欺が引き金となった発作性心房細動。許せません!」で、通院患者さんのところに振り込め詐欺の電話がかかり、それが引き金となり発作性心房細動を発症した患者さんのことをご報告しました。不幸中の幸い、この方は電話を怪しみ実際には振り込まず、金銭的被害はありませんでした。
 しかし、今回、高血圧、高脂血症で通院中の方が振り込め詐欺に遭い、実際に数百万を振り込み、詐取されてしまいました。その落ち込み様は相当なもので、憔悴しきっていす。
 先日来院された折、いつも闊達な方から暗い顔で「最近眠れないので入眠剤を処方してもらえませんか。」と依頼されました。私が「珍しいですね。どうかされましたか?」と尋ねすると、「実は先日振り込め詐欺の電話が掛かり、数百万を振り込んでしまい落ち込んでいます。布団に入っても怖くて寝られないんです。預金は二つの銀行に預けていたのですが、幸い一方の〇〇銀行の行員が気付き、金額が大き過ぎると振り込まさせてもらえませんでした。その御蔭で被害は半分で済んだのですが、それでも数百万円を振り込んでしまいました。思い出すと怖くて寝られなくなってしまうんです。」とのことでした。振り込め詐欺犯、許せません。
 通院患者さんで振り込め詐欺の金銭的被害に遭われた方は、開院間もないころ被害に遭った方以来二人目です!こんな身近に二人も被害者が出るとは。昨今、如何に振り込め詐欺が横行しているかを示唆しています。調べてみると下図(警視庁ホームページより転載)の如くオレオレ詐欺を筆頭に振り込め詐欺は増加の一途を辿っています。
 ちなみに今回初めて知ったのですが、警視庁ホームページによれば「「特殊詐欺」とは、面識のない不特定の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、預貯金口座への振込みその他の方法により、現金等をだまし取る詐欺をいい、振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺及び還付金等詐欺)及び振り込め詐欺以外の特殊詐欺(金融商品等取引名目の特殊詐欺、ギャンブル必勝情報提供名目の特殊詐欺、異性との交際あっせん名目の特殊詐欺及びその他の特殊詐欺)を総称したものを言います。」だそうです。これら特殊詐欺の被害に遭わないための対策は警視庁ホームページのここに詳しく記載されています。是非ご一読下さい。
上述の院長コラムでも書かせて頂きましたが、私は刑罰に関し死刑も含め厳罰主義者です。陪審員となった方々は、高齢者を狙い打ちする卑劣な振り込め詐欺犯に対し是非とも厳罰を下して頂ければ幸いです。

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2018/04/22 
「向精神薬に分類されていない類似薬の取り扱いについて」

 向精神薬は多剤併用制限(2014/10/13院長コラム「向精神薬多剤併用制限について」をご参照下さい)に加え、投与日数が制限(薬剤により14日、30日、または90日)されています。90日はてんかん治療目的のため、向精神薬は実質的に30日が最大投与日数となります。30日というのは法的に許可された最大投与日数であって30日分投与しなければならないわけではありません。あくまでも診察の結果、医師が一人一人の患者さんの病状を把握し投与日数を決めます。当院での考え方は、当院ホームページの「診療案内」のページ、「向精神薬」の欄をご覧下さい。薬剤投与日数を決める権限、処方権は患者さんにはなく(希望を述べる権利はあります)、医師にしか認められていません。
 一方、向精神薬と同様、睡眠薬や精神安定剤にもかかわらず、向精神薬に分類されていない薬剤があり、ここでは向精神薬類似薬と表現します。これらは、向精神薬に分類されていないため、麻薬及び向精神薬取締法の規制を受けず、投与日数制限もありません。具体的には、下記のようなものがあります。

エスゾピクロン(商品名:ルネスタ、以下同様)、、スボレキサント(ベルソムラ)、トリクロホスナトリウム(トリクロリール)、抱水クロラール(エスクレ)、フルタゾラム(コレミナール)、フルトプラゼパム(レスタス)、ブロモバレリル尿素(ブロモバレリル尿素)、メキサゾラム(メレックス)、ラメルテオン(ロゼレム)、リルマザホン塩酸塩水和物(リスミー)等。

 これらは向精神薬に分類されずとも、睡眠薬や精神安定剤であることには変わりなく、上述のような多剤併用制限を受けます。投与日数に関しも当院では向精神薬同様に扱い、30日以上処方することはなく、当院ホームページの「診療案内」のページ、「向精神薬」の欄の如く投与日数を調整します。繰り返しになりますが、薬剤投与日数を決める権限、処方権は患者さんにはなく(希望を述べる権利はあります)、医師にしか認められていません。ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。

2018/04/22 
「大腸内視鏡検査について」

 2017年度から三鷹市が実施する大腸がん検診は、単独実施のみならず、特定健康診査後期高齢者健康診査若年健康診査と一緒に500円の自己負担でヒトヘモグロビン2日法による便潜血反応検査を受けることができるように変更されました。これら健康診査には、従来無料ではありますが1日法による便潜血反応検査が付随していました。変更により、500円の自己負担は発生したものの2日法に拡大され、検査感度が上昇、便潜血反応陽性(便に血が混じっていること)を指摘する機会が多くなりました。陽性の場合、大腸の精密検査が必要になります。ちなみに、このヒトヘモグロビン法は、食道、胃、十二指腸からの出血には反応せず、あくまでも大腸からの出血に反応するように作られています。そのため、陽性者は胃内視鏡検査ではなく大腸内視鏡検査を受けていただくことになります。当院では大腸内視鏡検査を実施していません。そのため、陽性者には大腸内視鏡検査を実施する近隣の施設をご紹介しています(左図)。いずれも過去に紹介実績のある医療機関です。
 また、当院へは久我山発三鷹駅南口行きの京王バス(右図)を利用すると乗り換えなしで来院(北浦バス停下車徒歩6分)できるため、牟礼や三鷹台にお住いの方も多数通院されています。そのため、そちら方面にお住いの方には、牟礼の山本医院や三鷹台の松川内科クリニックもご紹介しています。

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2018/04/22 
「ヘパリン類似物質外用剤(ヒルドイド等)について」

当院は皮膚科ではありませんが、比較的簡単な皮膚疾患に対しては患者さんの利便性を考慮し、抗真菌外用薬(足白癬=水虫。爪白癬の治療はしていません)、抗ウイルス薬(帯状疱疹、単純疱疹=口唇ヘルペスなど)、抗菌薬(ざ瘡=にきび、膿皮症)、副腎皮質ホルモン剤(湿疹、掌蹠膿疱症、脂漏性皮膚炎=フケ症、虫刺され、薬疹、主婦湿疹等)、保湿剤(皮脂欠乏症、ドライスキン、老人性乾皮症等)をご処方しています。また、その他日焼け、蕁麻疹、凍瘡(=霜焼け)、汗疹(=あせも)、肩関節周囲炎(=肩こり)、筋肉痛、打撲痛、腰痛、関節痛、褥瘡(=床ずれ)、鶏眼(=魚の目)、掌蹠角化症(=厚い踵の角質)等の病気に対する処方もしています。
 このうち保湿剤であるヘパリン類似物質(商品名:ヒルドイド)、ヘパリンナトリウム(商品名:ヘパリンZ)が、数年前より一部雑誌やネット上で、しわ取りの「アンチエージングクリーム」として紹介され、美容目的の使用を推奨するような記事が掲載されるようになりました。そのうわさが口コミで広がり、皮膚科で化粧品クリーム代わりに処方を受ける方が急増、2017年発表された健保連の推計では、その使用量が年間93億円に達しています。健康保険はあくまでも、病気の治療に対し適応されるものですから、美容目的の使用は違法となります。2018年4月の診療報酬改定では、湿布同様処方制限の導入が検討されましたが、結局見送られ、保険診療でのヘパリン類似物質処方条件としては「疾病の治療であることが明らかであり、かつ、医師が当該保湿剤の使用が有効であると判断した場合」のみと明文化されるに留まりました。当院は内科のため保湿剤を処方目的に来院される方はいませんが、主病の内科疾患で通院、副病として保湿剤を処方している方はいます。保湿剤が今後保険適応外となり、真に病気のため保湿剤を必要としている方に被害が及ばないよう、美容目的の処方は厳に慎まなければなりません。ヘパリン類似物質やヘパリンナトリウムを主成分とする薬はすでに市販化されており、診察料や薬局での調剤料を考慮すると医療機関で処方を受けるのと費用はほとんど変わりません。美容目的の方は、ドラッグストアにてご自身で購入して下さい。

2018/04/01 
「悪い空気〜マラリア」

 先日、通院中の某患者さんから「ラバウルに行くのでマラリアの予防をしたいが、薬を処方していただけますか。」と尋ねられました。
 約30年前、私はアフリカのガーナに仕事で行ったことがあります。そのため、院内にはその当時お土産として持ち帰った絵などが飾られています。その折、やはりマラリア予防のため薬を持参しました。当時、有楽町にある東京交通会館の中にあった医療機関で買い求めて持参した記憶があったので、そのようにご説明しました。しかし、後日、東京交通会館のホームページで確認してみたところ、確かにそれらしき医院はあるのですが、女性の院長先生は後期高齢者をとうに過ぎた超高齢者(90歳以上)のようにお見受けします(間違いでしたら、大変失礼なことを申し上げすいません)。先代の院長の話がホームページに出てきますから、当時その先生から処方を受けたのかもしれません。
 いずれにしても、当時の記憶も曖昧で、自身のマラリアに関する知識もだいぶいい加減になっています。地球温暖化の昨今、デング熱が東京で流行する時代、今後マラリアが日本で流行しないとも限りません。これをよい機会と捉え、知識をbrush upしたいと思います。
 医師向けの情報としては、国立感染症研究所ホームページのマラリアの項が詳しいですが、あくまでも医師向けのため知見が中心で一般の方には不向きです。一般人が対象で、これから流行地への旅行を計画されている方向けなのは、厚生労働省検疫所ホームページのマラリアの項です。簡潔で、5分で理解できます。私の書いた文章を一読するより、ここを印刷して持参する方が実践的です。
 その他医学書を含め、以上の情報をまとめてみました。
【病因】
 ハマダラカが産卵のため吸血する際、伝播する熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形マラリアの4種の原虫がおもなマラリア病原体で、その感染により熱発作の反復とそれに持続する貧血、脾腫などを主徴とする全身感染症を引き起こします。
【疫学】
 マラリアは、結核、エイズと並ぶ世界の3大感染症の一つです。イタリア語の「悪い」mal、「空気」ariaというのがマラリア(malaria)の語源だそうです(知らなかった!)。マラリアは熱帯,亜熱帯諸国を中心に約100カ国で流行(下図、濃ゆい青がマラリア感染が発症している国や地域で、薄い青が限定的ですが、マラリア感染が発症している国や地域です。)、世界保健機構(WHO)の推計によると、年間2億1,400万人以上の罹患者と約44万人の死者が出ています(WHO、2015)。死亡者の70%は5歳未満の子どもです。重症化しやすく死亡率も高い熱帯熱マラリアは、アフリカやアジア・太平洋の熱帯地域が流行の中心ですが、三日熱マラリアは、韓国や中国といった温帯地域でも発生しています。卵形マラリアや四日熱マラリアは、熱帯熱マラリアや三日熱マラリア(各々40〜50%、40〜60%)に比べ感染者は少なく(各々国内輸入感染例の2%以下)、臨床的に問題にならないようです。日本国内での報告数は、国際化時代を反映し、熱帯地からの輸入マラリアが年間50例前後で推移しています。
【臨床症状】
 マラリアに免疫のない方が初感染した場合、発熱はほぼ必発で、原虫侵入後の潜伏期は熱帯熱マラリアで7〜12日前後、三日熱マラリアは8〜31日前後、四日熱マラリアは28〜31日前後、卵形マラリアでは11〜16日前後です。三日熱マラリアでは、感染後病原体が肝細胞の中で休眠し、1年以上、はっきりした症状もなく過ごすことがありますが、典型例では、潜伏期間の後、頭痛、倦怠感などの前駆症状を伴い悪寒、戦慄とともに39〜41℃の熱発作が出現、数時間後には大量の発汗とともに解熱します。この熱発作の間隔は、熱帯マラリアでは不定期で短く、三日熱・卵形マラリアで48時間毎、四日熱マラリアで72時間毎です。一般検査所見では血小板減少(感染赤血球による毛細血管塞栓を反映)、LDH上昇(赤血球破壊を反映)などが高頻度にみられます。貧血は、病初期にはみられませんが、この熱発作を繰り返すことにより、貧血、脾腫(網内系細胞の感染赤血球貪食を反映)が出現していきます。熱帯熱マラリア原虫が感染した赤血球は、毛細血管の豊富な臓器を中心に、血管内皮へ固着、多臓器不全を引き起こします。そのため、5〜6病日以内に適切な治療を開始しないと重症化し、疲憊、意識障害や痙攣(脳症)、腎症、代謝性アシドーシス、呼吸困難(肺水腫/ARDS)、異常出血(DIC様出血傾向)、重症貧血、黄疸、低血糖、黒水熱(高度の血色素尿症)など種々の合併症を生じ、致死的となります。
【診断】
 診断にあたっては、流行地への渡航歴がある発熱者を診たらまずマラリアを疑ってみることが最も重要です。そのためには世界的なマラリア流行状況を把握しておかなければなりません(下図)。ごくまれに、輸血(保存血、血小板、交換輸血)、針刺し事故などでも感染する(1991年以来発症なし)ので輸血歴の確認も重要です。
 診断の基本は、血液塗抹標本を染色し、光学顕微鏡で検査する形態学的診断法です。その他、迅速診断キット、PCR法なども開発されています。
 熱帯地域から帰国後の熱性疾患では、デング熱、インフルエンザ、急性肝炎、アメーバ性肝膿瘍、ウイルス性出血熱などの熱性疾患との鑑別が重要になります。
 マラリア原虫を媒介するハマダラカは、デング熱を媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカと異なり、都市環境では生息できません。アフリカやインド等の一部の国を除き、日本人が、熱帯の都市に滞在しマラリアに罹患する可能性はかなり低いようです。また、発熱以外に消化器症状が前面に出た場合は、腸チフスとの鑑別が問題となります。
【治療】
 マラリアの治療は、急性期治療と根治的治療に分かれます。様々な治療薬が開発されていますが、薬剤耐性が問題となっています。当院では診断はしますが、治療は高度医療医機関へご紹介することになるので、治療の詳細は割愛します。いずれのマラリアも早期に適切な治療を開始すれば一般に予後良好です。しかし、熱帯熱マラリアでは上述の如く5病日以内に適切な治療を開始しないと、急激に悪化したり致命的な合併症をきたす場合もあります。
 三日熱マラリアと卵形マラリアは、肝臓に休眠状態で留まるため、急性期治療後にそれらを殺滅する根治療法を行わないと、再発を繰り返します。
【予防】
 予防接種はありませんが、予防薬があります。マラリア流行地へ渡航する際は、抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされています。マラリア予防薬は、医師の処方が必要で、渡航先の流行状況や滞在期間、活動内容などによって適応となる予防薬が異なります。厚生労働省検疫所の予防接種実施機関検索サイト日本渡航学会の国内トラベルクリニックリストで処方可能な医療機関を見つけ、ご相談下さい。予防薬を服用していても、防蚊対策は必要です。
【感染症法における取り扱い】
 全数報告対象の4類感染症に分類され、診断したら医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る義務が課せられています。

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2018/03/21 
「蕗の薹」

 「ふきのとう」と聞き1970年代に活躍したフォークグループを想起される方は、私と同じ世代の方かもしれません。本日はそちらではなく、本物の「蕗の薹」(By Kropsoq - photo taken by Kropsoq, CC)(左図)のお話です。
 先日、某患者さんからたくさんの蕗の薹を頂きました。その方は三鷹市内にお住まいですが、もともと農業をしていたので今でも少し畑があり、時々季節のものをお裾分けしてくれます。三鷹には今でもあちらこちらに畑が点在しています。グーグルマップの航空写真で三鷹市全体を見ると文字通り点在しているのがよく分かります。
 ご自身は元気な方ですが、亡くなられたご尊父の主治医だった縁で、たまにご自身が具合の悪いとき当院を受診されています。もう20年以上のお付き合いになります。
 私は季節の野菜や山菜が大好き、好物です。素材の味そのままにシンプルに食すのが好きです。嫌いな方などいませんよね。いつか畑をやりたいと思っています。現在多忙でとても無理ですが。
 千葉に別荘があり、子ども達が小さい頃はその庭(というより、広い空き地、雑木林)や近所の空き地で蕗、蕗の薹、多羅の芽、土筆、野蒜を摘んで食することもありましたが、最近全く行くことができません。そんな折、たくさんの蕗の薹を頂きました。それはそれはたくさん頂きました。家内にお願いし、早速、天麩羅(右図)にしてもらいました。ちなみに頂いた蕗の薹はこの4倍くらいはあります。ですから100個くらいありました。ちなみに、原稿の執筆に際し、「蕗の薹」はどうやって数えるのだろうと気になり調べてみました。蕗の薹の助数詞は「個」「本」でよいようです。ですから、100個と表現しました。
 食いしん坊の娘達がいくら食べても余るくらい大量だったので、深夜に帰宅しても心行くまで蕗の薹を食することができ、大満足で一日締めくくりました。

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2018/02/25 
「飛蚊症」(その1)

二日前より、左眼の眼前に糸状の物が見えるようになりました(左図)。眼球を動かすとその紐も同じように動きます。これが世にいう飛蚊症かと思いましたが、蚊というより紐状で、目に睫毛が入ったように思えます。異物感もなく、しつこく見えるので睫毛ではなさそう。眼科を受診した方がよいと判断しました。
 しかし、当院は月曜日から土曜日まで連日診療しているため、受診する時間がなかなか取れません。さらに、当院は予約制。多い日は1日80人以上の予約が入っていることもあり、突然休診にすることもできません。ところが、2月22日木曜日、23日金曜日と米子市で開催される第51回日本痛風・核酸代謝学会総会に参加するため臨時休診にしていました。飛行機に乗る時間を変更、急遽某眼科を受診しました。
 診察の結果は「生理的飛蚊症」。要は加齢による飛蚊症とのことでした。先生から、診察直後に開口一番「老人性」の一言。私、まだ50歳代で高齢者に非ず、「老人性」との表現は不適切、「加齢性」なら納得ですが。「某医院を受診したら『老化、老人性』と言われた。」と憤慨する70歳代、80歳代の患者さんに時々お会いしますが、少々その気持ちが理解できた気分です。「飛蚊症」の病名、眼科疾患ではありますが、頻繁に耳にします。折角の機会なので勉強してみました。
【定義】飛蚊症とは、視野内に蚊のような物体が飛んで見える現象のこと。硝子体(中図「眼の構造」(Copyright:Santen Pharmaceutical Co.,Ltd))中にある物体(浮遊した細胞、混濁、出血など)が網膜に影を落とすことにより起こる内視現象です。眼球の動きによって硝子体が動くと物体も動き,眼前を蚊が飛ぶように見えるためこのように呼ばれています。
 私の場合糸状に見えましたが、ゴマ、虫、カエルの卵、糸くず、たばこの煙状など、人により様々な見え方があるようです。
【飛蚊症の原因疾患】
1、生理的飛蚊症
 元来透明でゲル状の硝子体は加齢とともに液化し可動性が増していきます。これに伴い生じた生理的な硝子体の混濁が飛蚊症として自覚されるようになります。

2、後部硝子体剝離
 硝子体の液化が進行すると硝子体は虚脱、硝子体ゲルを包んでいる後部硝子体膜が網膜から剥離、ゲルが前方(水晶体方向)に移動する現象のことです(右図「正常眼と目の加齢」(「Copyright:Santen Pharmaceutical Co.,Ltd」))。右図では眼球の下半分が正常眼で、上半分が加齢により硝子体剥離を生じた眼球です。硝子体と視神経乳頭は円形(眼球の上下を結ぶ円周)に強く癒着しているため、後部硝子体剥離を生じた場合、視神経乳頭縁に一致する後部硝子体膜は線維成分の濃い環状の白色組織「グリア環」を形成、その陰を飛蚊症として自覚します。これは加齢に伴う生理的な変化で病的意義はなく治療対象とはなりません。60歳代で43%、70歳代で71%、80歳代で85%に認められるそうです。しかし、後部硝子体剝離が進行する過程で、網膜硝子体癒着が強い部分を牽引、硝子体出血、網膜裂孔・網膜剝離(下記)が生じると眼科治療が必要になります。
 後部硝子体剥離は急に生じることが多いため、飛蚊症も突然自覚することが多いようです。また、強度近視眼、眼球の外傷歴、硝子体注射歴がある場合、硝子体液化の進行が早く後部硝子体剥離が比較的若い時期に生じやすく、また硝子体混濁の程度も強いため、飛蚊症になりやすいようです。

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2018/02/25 
「飛蚊症」(その2)

3、硝子体出血(左図「硝子体出血」(「Copyright:Santen Pharmaceutical Co.,Ltd」))
 硝子体に出血した血液塊の影を飛蚊症として自覚します。糖尿病網膜症、網膜裂孔(後述)、裂孔原性網膜剝離(後述)、後部硝子体剝離(先述、中図「後部硝子体剥離に伴う硝子体出血」「Copyright:Santen Pharmaceutical Co.,Ltd」)、網膜静脈分枝閉塞症、加齢黄斑変性、ぶどう膜炎、血液疾患などで生じます。

4、裂孔原性網膜剝離・網膜裂孔(右図「裂孔原性網膜剝離」(「Copyright:Santen Pharmaceutical Co.,Ltd」))
 網膜裂孔を通し、硝子体腔に網膜色素細胞の湧出が起こり、飛蚊症を生じます。また、裂孔形成時に網膜血管の破綻を伴えば硝子体出血を生じ、先述のごとくやはり飛蚊症の原因となります。

5、硝子体混濁
 ぶどう膜炎などでの炎症細胞の浸潤、中枢・眼原発悪性リンパ腫やアミロイドーシスなどでも生じます。

【まとめ】このように、飛蚊症には生理的で病的意義のないものから、眼科での治療が必要なものまで様々あり、飛蚊症を自覚したらまずは眼科受診が必要です。

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2018/02/12 
「複発性帯状疱疹」

 2月10日の土曜日午後、都心で開催される講演会に久しぶりに参加しました。以前は、ウィークデイの夜、土曜日午後、日曜日に開催される講演会は三多摩地区であろうと都心であろうと時間があれば必ずと言っていいほど参加していました。講演の内容にもよりりますが、総合臨床医を標榜する者にとって勉強して損な内容は一切ないとの考えからです。講演を聞いて、自身でその内容を吟味、取捨選択すればよいのですから、どんな内容の講演でも参加することにしていました。しかし、医師会理事としての公務、診療後開催される会議も多く、また患者さんや健診受診者が増え、連日深夜まで残業するようになり、昨今は事前に講演内容を吟味して参加するようになっています。ましてや都心での開催となるとアクセスだけでも往復2時間程度かかるわけですから、なおさらです。
 さて、今回の講演は品川プリンスホテルを会場として「帯状疱疹講演会〜水痘ワクチンという予防戦略〜」という講演会です。例えば高血圧、高脂血症や糖尿病などの生活習慣病や、心疾患、脳血管障害、がんをテーマとした講演会は三多摩地区でも頻繁に開催されています。しかし、帯状疱疹をテーマとした講演会はめったにありません。今回は、一般財団法人阪大微生物病研究会と某ワクチンメーカー2社がスポンサーとなり、帯状疱疹ワクチンをテーマとした講演会でした。全国講演会のため、この分野に関する著名な講師が全国から参集、帯状疱疹に関する知識をbrush upすることができました。
 帯状疱疹ワクチンに関しては、既に2013/01/03院長コラム「帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛や顔面神経麻痺ワクチン(予防接種)について〜今、帯状疱疹は予防する時代です!(その1〜3)」で詳細にご説明したように、国に先駆け2013年から当院では予防接種を開始しています。その後、2016年3月厚生労働省により水痘ワクチンが正式に追加承認されています。今回そのワクチンに関する新しい知見を勉強することができ、ホームページの「帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛や顔面神経麻痺ワクチン(予防接種)について」の記載を改訂しました。
 たまたまですが、先週、医者になって初めて複発性帯状疱疹の患者さんを診察しました。帯状疱疹に関してあまり詳しくない方のため、上記当院ホームページの帯状疱疹の解説を一部抜粋、下記に転載します。

 「水痘帯状疱疹ウイルスVZVに初感染し水疱瘡を発症、しかし、抵抗力の源である抗体が誘導されると約1週間程度で水疱は痂皮(かさぶた)になって治癒しますがウイルスは体内から駆除されません。脊髄と体表を継ぐ脊髄後根神経節や三叉神経節に潜伏、感染し続けます。獲得した免疫力により閉じ込められ冬眠させられた状態になります。その後成人になり30〜40年を経て徐々にVZVに対する免疫力が低下、ストレスや疲労、心労、加齢、抗がん剤や副腎皮質ホルモンなどの免疫抑制剤の使用、日射などの刺激で免疫力が低下すると、冬眠していたウイルスが再活性化(回帰感染)、末梢神経に沿ってウイルスが体表面に到達、水疱を形成、帯状疱疹を発症させます。
(中略)
 それらの神経節が支配する領域、皮膚分節(左図)は人間皆共通です。複数の神経節に冬眠するVZVが偶然同時に覚醒することはまずないため、帯状疱疹は左右一方の皮膚分節の範囲に限局して水疱を形成(右図は右T9皮膚分節の帯状疱疹です)します。
(中略)
 このような特徴を持った病気は他にないので視診で比較的簡単に診断できます。
(中略)
 しかし、時として帯状疱疹は重症化し、入院治療が必要になることもあります。汎発性帯状疱疹といってVZVに感染したリンパ球が全身にまわり、全身に水痘様の水疱が散発する場合があります。また、複発性帯状疱疹といって同時に2箇所以上の皮膚分節に帯状疱疹が発生する場合もあり、これらの多くは免疫不全に伴って発症しますが、特に基礎疾患のない方に発症することもあります。

 先週診察した患者さんは、左右に跨る前胸部の痛みを訴え来院されました。その方は腎臓移植手術を受けており、高血圧など動脈硬化危険因子をお持ちの方でしたので、当初は帯状疱疹を疑わず、狭心症や呼吸器疾患を疑い早速心電図や胸部レントゲン検査を実施しました。しかし、服を脱がせて診察してみると左右胸部の皮膚分節に一致した全く同様な痛みを訴え、左側はすでに水疱が出現し始めていました。この方は腎臓移植手術後のため、免疫抑制剤を服用されており、そのため複発性帯状疱疹をきたしたのでした。まさに、教科書的な症例でした。今後も日々研鑽し、このように稀な症例にも対応できる臨床力を身に着けていきたいと思います。

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2018/01/15 
「恐縮ですが当院では対応できない患者さんです。」

 当院ホームページの「HOME」にある「新古情報」に2017年7月10日以下の如く記載させて頂きました。

最近とみに公務の会議体(東京都や三鷹市、医師会など)が多く、遅刻できない場合、診療時間を1、2時間休診することも珍しくありません。それでも間に合わない場合、予約者限定の診療にすることもあります。ですから、受診される方は極力予約されることをお勧めします。すでに予約があるにもかかわらず、休診にすることは絶対にありません。

 しかし、このお願いを反故にするトラブルが11月立て続けに起きました。
 一つ目は、11月1日水曜日、午前中の診療を予約者限定にしたときの事例です。この日は、13時30分より、三鷹市医師会長、市担当職員と来年度三鷹市乳がん検診をどのように実施するか決定する重要な会議に出席することになっていました。現在私は三鷹市医師会乳がん検診委員会の委員長を拝命しています。ですから、この会議におて三鷹市側のカウンターパートであり、三鷹市内で乳がん検診を受託する医療機関を代表する立場のため、絶対に遅刻できない状況でした。しかし、にもかかわらず既に定数以上の予約患者で溢れていたため、朝から予約患者限定の診療にしていました。
ここからは大部分が当院外来受付スタッフからの報告です。午前中、当院に高血圧で定期的に通院する井の頭住区お住いのご高齢の某患者さんから、「動悸」がするので診て欲しいと電話がありました。受付スタッフは、本日は所用のため予約者限定の診療となっていることをご説明し、近医受診を進言したそうです。動悸となればまずは心電図ですから何ら問題ない所作です。ところがその患者さんのご主人がたいそう心配され、当院の指示に従わず自己判断、自身の通院先である武蔵野赤十字病院へ車で直接連れて行ってしまいました。武蔵野赤十字病院ホームページにも大きく「当院の初診には紹介状と予約の両方が必要です。」と記載されているように、いきなり受診しても診療してもらえません。ですから、当然日赤では診療を断られました。おそらくそこで日赤の受付スタッフから助言されたのだと思いますが、ご主人が当院に電話を掛けてきて、「今すぐ紹介状を書いてFAXして欲しい。」と高圧的な態度で話されました。お願いというより「今すぐ書け。何故書けないのだ。」といった態度です。当院受付スタッフが本日は所用のため時間がなく、予約者限定診療にしている状況なので無理である旨お話ししましたが、喧嘩腰の剣幕で院長に繋げと主張されたそです。その後、知己の日赤循環器内科部長より直接当院に電話があり、当院の状況をお話ししたところ、大変申し訳なさそうに紹介状作成を依頼されました。再度ご主人より電話があり、診察室の患者さんを待たせ、受付に代わり私が電話に出ました。上述の如く甚だ身勝手な行動で、腸が煮えくり返る思いでしたが、不承不承診療を止め、取り急ぎ紹介状を作成、日赤にFAXしました。案の定、20分ほど診療が止めたこともあり、会議に間に合わなくなりました。そのため、受付スタッフに依頼、当日の予約患者さんの中で他の日に再度ご来院頂ける方を募ったところ、3、4名の方が快く受けて下さり、その日は帰って下さいました。おかげで何とか会議には遅刻することなく出席することができました。この場をお借りし、改めて深謝申し上げます。ちなみに、後日日赤より届いた報告書によれば、外来で心電図を含めいくつかの簡単な検査を実施しましたが何ら異常を認めず、投薬もなく帰宅させたとのことでした。これを老害と言わずして何と言うのでしょうか。
 ちなみにその日当院職員からも、娘が感冒のため風邪薬が欲しいと臨時受診の希望がありました。しかし、上述のような状況下、予約限定診療ということで断りました。
 問題点を整理すると、

1、外来受付スタッフに進言されたように、近医を受診、心電図、その他の検査を実施していれば、わざわざ遠くまで行って日赤を受診する必要がなかった可能性が高い。このような段取りを踏まない患者が多いため、本当に高度な医療を必要とする患者さんが適切な医療を受けられず、社会問題になっていることの認識がない。
2、日赤を受診する必要のある病状の場合、初療を行った近医の医師が紹介状を作成するため、わざわざ当院に作成を依頼する必要はなく、患者さんも長時間待たされることはなかった。
3、自身が長期間日赤に通院しているにも関わらず、日赤の「初診には紹介状と予約の両方が必要」との認識がなかった。あるいは認識があったが、ごり押しをすれば、自分の思い通りになると傲慢な考えを持っていたのかも。
4、以上のような非常識な行動が、他の患者さんの迷惑になっているとの認識がない。

ということだです。何も昼ご飯が食べたくて予約者限定にしているわけではありません。本当に困るからそうしているのです。ご理解いただければ幸いです。
 今回のエピソードで私が最も忌み嫌うのは、きちんとルールを守る方が迷惑を被り、ルール違反、非常識な行動をする方が利するような結果となったことです。具合が悪かったご本人は申し訳なさそうに次月来院されました。しかし、ご主人からは一言のご挨拶もありません。例年市民健診で来院されています。来院時、このような考えでは当院では対応=診療できない旨、はっきりとお伝えするつもりです。当日予約を変更し帰宅して下さった数名の方々が二度と同じような目に合わないように、きちんと総括することが私の責務だと思います。
 二つ目はその週の土曜日、11月4日に発生しました。11月4日の前日3日は文化の日で祝日のため休診です。また、翌週の土曜日11月11日は徳島出張のため休診になっていました(2018/01/03院長コラム「徳島市で開催された第27回日本乳癌検診学会学術総会に2017年11月10日と11日参加してきました。夜行バスデビューです。」をご参照下さい)。前日と翌週が休診のため必然的に大混雑することが明らかでした。しかし、11月4日から5日まで京都で開催される第11回日本禁煙学会学術総会に参加することになっていました。非常にスケジュールがタイトなことは分かっていましたが、最近話題の電子タバコの情報収集と「禁煙サポーター」の資格認定を受けるため「禁煙治療セミナー」を受講することになっていました。講演に間に合うように京都に到着するには、12時14分三鷹駅を出発しなければなりません。そのため、同日は予約限定診療の上、通常12時30分までの外来受付を11時30分と1時間短縮していました。上述の如く患者数がいつもより多くなる状況下、診療時間を制限すれば診察できない患者さんの数が増えるため、当日勤務の職員にお願いし、通常8時30分開始の土曜日限定の早朝外来を30分早め8時0分診療開始としていました。
 診療を開始、しばらくして当院スタッフより、「自分の娘が発熱した。もう解熱したが、インフルエンザだと登校できないので検査して欲しい。」と申し出てきました。祭日前日の11月2日時点では、そのような患者の予約はなかったように記憶していました。ですから予約外です。当日は予約者限定ですから、上述の如く水曜日も予約のないスタッフの娘さんの診療をお断りしていたので、同様にお断りしました。しかし、電子カルテの予約画面を見ると予約がされてあります。予約患者を装うため当日自身で予約を入れたようでした。これは明らかにルール違反です。さらに、公平性の観点からも同じ状況下、一方のスタッフのみ利するようなことはできませんので再度お断りしました。しかし、聞くと何と子どもをすでにクリニックに連れてきており、待合室に待たせているとのことでした。親の身勝手な行動は問題ですが、子どもには責任はありません。不承不承ですが、インフルエンザの検査を実施、診療を受け付けました。
 そんなこともあり、結局その日12時14分の電車に間に合わず、新幹線の往路切符代2万円近くがパーになりました。また、肝心の講習を受けられなければ無理をして行く意味がありません。学会事前参加費11,000円、禁煙サポーター登録費用3,000円、ホテルだ2万円余り、合計5万円余りがパーになりました。問題点を整理すると、

1、どの医療機関でも受けることのできるインフルエンザ検査を、わざわざ診療時間を制限し、予約者限定としている当院に策を弄してまで依頼する必要性はまったくなかった。
2、予約患者ではないのに予約患者のように偽装し、ルール違反をして受診させた。
3、院長の許可を得る前に行動し、断れない状況を作り受診させた。
4、その結果、現実に学会に参加できなくなった。

 本患者を診療するのに要した時間は10分足らずです。他の患者さんの診療が長引けは例え本患者がいなくとも電車に間に合わなかったかもしれません。ですから、今回のことは些末なことで大したことでないと考える方がいるかもしれません。しかし、私が問題としているのはお金でもなく、電車に間に合ったかどうかでもなく、決められらルールを守ったかどうかです。
 飲酒運転は禁止されています。それはお酒を飲んで運転すると交通事故が起こりやすいからです。では飲酒運転をして、何ら事故を起こさず無事家に辿り着けば問題ないのでしょうか。飲酒運転をしても構わないのでしょうか。事故が起きてからでは遅いのです。ですから、事故の危険性が高くなる飲酒運転そのものを禁止しています。今回も同じこと。結果として電車に間に合ったか否かではなく、その危険のある行為を禁止しているにもかかわらず、そのルールを破ったことが問題だと私は考えています。この問題は当院で月1回開催しているスタッフミーティングで俎上に載せ、職員を指導しました。
 当院を受診される患者さんや健診受診者のみならず、当院スタッフの行動にも問題があります。一人でも多くの患者さんに、私たちの理想とする医療を提供できるよう今後一層、指導力を発揮することが私に課せられた責務だと再認識しました。

2018/01/14 
「格闘技の聖地後楽園ホール初見参。プロボクシングの試合を初めて生で観戦してきました。

 先日とても楽しいことがありました。12月6日水曜日、あこがれの地、格闘技の聖地後楽園ホールに初めて赴き、プロボクシングを妻と観戦してきました。
 私は格闘技ファンです。自分ではしませんが、格闘技観戦が趣味で、大いなるストレス発散になっています。ちなみに四女も格闘技観戦が大好きです。
 観戦といっても専らTVです。開業以前、病院勤務医時代は定期的に当直がありました。仮眠室にはTVがあり、日曜日の深夜?に放送されるボクシング中継を楽しみにしていました。今でもプロボクシングや総合格闘技のTV中継は欠かさず見るようにしています。
 以前、ボクシング経験者の某患者さんからリングドクターの手伝いを依頼され、お手伝いしたことがあります。そのときの様子は、2013/06/23院長コラム「TRY-Fチャリティボクシングマッチ」、2013/08/01院長コラム「TRY-Fチャリティボクシングマッチで初めてリングドクターを務めました。」、2013/08/28「元日本J.フェザー級1位・元日本フェザー級1位・元日本J.ライト級1位TRY-F打越代表の表敬訪問を受けました。」、2013/09/22院長コラム「2013年7月15日開催のTRY-Fチャリティボクシングマッチ試合前診察風景」、2013/11/30院長コラム「12月23日開催のTRY-Fチャリティボクシングイベントにリングドクターとして参加します。」、2013/12/28院長コラム「12月23日開催されたTRY-Fチャリティボクシングイベント1周年記念大会”エレクションデイ”に参加してきました(その1)(その2)(その3)」で報告しています。
 その折、偶然にも他の通院患者さんも来場しており、リングドクターをしている私を見かけ、声を掛けてくれました。お話を伺うと、ご自身も以前ボクシングジムに通っていたそうで、その縁で後輩のプロボクサーのマネージメントを手伝っているとのことでした。そしてその日、昔マネージャーをしていた元日本チャンピオンが参加していたので応援に来たとのことでした。その方は、現在でも本業のサラリーマンの傍ら、縁のあるボクシングジムのマネージメントを夫婦でお手伝いしているとのことでした。
 その方が11月来院時、マネージメントを手伝っているフラシュ赤羽ボクシングジム主催のボクシングイベント(下図)に誘ってくれました。17時45分試合開始です。18時まで診療しているため通常参加できないのですが、12月6日はたまたま診療が午前中で終わる水曜日だったため観戦することができました。連日帰宅が24時となる中、残業を止め、妻とビール片手にボクシング観戦、「ナイスボディ」と大声を張り上げる、久々に楽しい時間を過ごし、かつ、ストレスを発散することができました。途中、招待券をくださった某患者さんが私たちの席に来てくださり、試合の見どころ、ボクシング観戦のコツなどを解説してくれました。次回は、自分でチケットを買って見に行きたいです。
 多忙のため二の足を踏んでいた私の背中お押して下さり、本当に有難うございました。

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2018/01/04 
「骨粗鬆症治療薬ビスホスホネート製剤の注射療法について」

 骨粗鬆症は「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されています。加齢,閉経,遺伝的素因,生活習慣によるものを原発性骨粗鬆症といい、それ以外の特定の原因によるものは続発性骨粗鬆症と呼びます。
 骨強度は骨密度と骨質により決まりますが、骨密度が70%、骨質が30%程度寄与しています。骨密度は骨塩、つまり骨のカルシウム濃度です。一方骨質は、微細構造、骨代謝回転、微小骨折、石灰化などにより規定されます。
 骨粗鬆症発症危険因子としては、閉経(女性ホルモンの一つエストロゲンは骨にカルシウムを沈着させ、骨密度を高める作用があります。そのためエストロゲン分泌低下を意味する閉経では骨からカルシウムが溶出するようになります。無月経や生理不順も同様に危険因子となります)、加齢(男女とも40歳代後半から加齢とともに骨密度が低下します)、遺伝(近親者に骨粗鬆症の患者さんがいる場合、自分もなりやすくなります)、骨折既往歴(過去に骨折の既往歴のある方は、ない方に比べ骨折しやすいです)、痩身体型(痩せた方は太った方に比べ骨粗鬆症になりやすいです。体重が多い方はそれだけ骨が鍛えられているわけですから。思春期の女性の極端なダイエットは骨粗鬆症リスクを高めます)、喫煙(喫煙は腸管でのカルシウム吸収を阻害したり、エストロゲン分泌を抑制したりするためです)、過度な飲酒(過剰なアルコール摂取は、腸管でのカルシウム吸収を阻害したり、尿からのカルシウム排泄を促進します)、カルシウム摂取不足(インスタント食品などはリンを多く含み、カルシウムが吸収されにくくなります)、運動不足(運動すると骨に負荷がかかるため骨の強度が増します。一方運動不足では骨は脆くなります)などがあります。
 骨粗鬆症は、問診、脊椎エックス線像、骨密度測定結果などを総合し、左図(原発性骨粗鬆症の診断手順、「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015版」より引用)の如く診断します。詳細は「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015版」をご参照下さい。
 治療法も上記のガイドラインにその詳細が記載されていますが、基本は、食事療法、運動療法、薬物療法の三つです。そのうち薬物療法は中図(「骨粗鬆症治療薬の種類と作用点」ファイザーホームページより引用)のごとく纏められます。
 これらの治療薬には右図(「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015版」から引用)の如き使用上の注意点があります。このうち、ビスホスホネート剤は骨折予防効果における有効性は明確でしたが、顎骨壊死の副作用が危惧されるため、抜歯予定のある患者さんでは抜歯前3か月程度休薬せざるをえず、使いにくい薬剤となっていました。そもそも骨粗鬆症患者さんは、当然高齢者が多く、抜歯をする機会が多いためなおさら不便です。しかし、「顎骨壊死検討委員会ポジションぺーパー2016」が発表され、「経口、静注を問わず窒素含有BP[ビスホスホネート剤のこと:引用者注]治療を受けている骨粗鬆症患者におけるONJ[顎骨壊死のこと:引用者注]発生率は0.001〜0.01%であり、一般人口集団に見られるONJ発生頻度0.001%とほぼ同様か、ごくわずかに高いと推定されている」こと、「BRONJ[ビスホスホネート製剤関連顎骨壊死のこと:引用者注]発生は感染が引き金となっており、歯科治療前に感染予防を十分に行えばBRONJ発生は減少するとの結果が示されている」こと、「論理的に判断すると、侵襲的歯科治療前のBP休薬を積極的に支持する根拠に欠ける」こと等の見解が示されてから、使いやすくなりました。
 また、同薬は吸収効率が非常に悪い薬剤で、食事の影響で吸収が阻害されます。また、咽喉頭や食道へ逆流すると粘膜傷害を引き起こします。そのため、BP製剤添付文書の「用法・用量」には「起床時に十分量(約180mL)の水とともに経口投与する。なお、服用後少なくとも60分は横にならず、飲食(水を除く)及び他の薬剤の経口摂取を避けること。」と記載されています。換言すると60分座位を保てない方は服用できません。このように服用方法が複雑なため、本剤を服用するような高齢の患者さんがこの通りきちんと服薬方法を守っているか疑念が生じます。服薬後間違って何か口にしていたら、折角の薬もその効果を発揮できません。
 さらに、BP剤は発売当初、毎日服用する薬として売り出されていました。しかし、先述の如く複雑な服用方法による高齢者の負担を減らすため週1回内服する製剤が発売されました。つまり、1週間分を1日で内服するため、1月すなわち4週間に4回しか服用しなくてよくなりました。さらに、現在は月1回製剤が開発され、1か月に1度服用するだけで済むようになりました。しかし、裏を返せば、月1回の内服時に服薬後60分以内に間違って何か食べ物を口にしたら1か月分の薬がパーになります。そう考えると月1回製剤は功罪両面があるといえます。
 そこで開発されたのがBP製剤月1回注射剤(ボンビバ静注1mgシリンジ)です。高血圧などの持病で月1回通院されている方の場合、来院時に静脈注射を1本打つだけで済みます。飲み忘れることもなく、食事制限も不要なため確実に効果を発揮することができます。服薬方法を遵守できな認知症の方にも使用できます。もちろん針を刺される痛みがあり、患者さんがどの治療法を望まれるかにより、最終的には判断します。もちろん、薬物療法を行おうとも食事療法や運動療法も並行して実施する必要があります。

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2018/01/03 
「徳島市で開催された第27回日本乳癌検診学会学術総会に2017年11月10日と11日参加してきました。夜行バスデビューです。」

 報告が遅れましたが、徳島大学大学院医歯薬学研究部産科婦人科分野教授 苛原稔 大会長のもと徳島市で開催された第27回日本乳癌検診学会学術総会に2017年11月10日と11日参加してきました。ご報告が遅れたのは、例年10〜11月が繁忙期な上、12月になりインフルエンザや普通感冒が流行、多忙を極めたためです。健康診断を受診する方が最も多いのはこの頃です。お陰様で年々受診者数が増加、開院以来最も忙しかったです。さらに、インフルエンザ流行が例年より前倒しになり、11月後半に流行し始めたため一層多忙になりました。おそらく他の医療機関も同様ではないかと思います。
 そのような状況ではありましたが、今年は是が非でも本学会に参加したいと思っていました。一つ目の理由は、昨年11月4日、5日に久留米市で開催された第26回日本乳癌検診学会学術総会に参加するつもりでしたが、第92回多摩医学会講演会と日程がバッティング、参加できなかったためです。個人的には乳癌検診学会の方に参加したかったのですが、多摩医学会の特集演題「災害医療における医師会の取り組み」に三鷹市医師会防災救急対策担当理事として「熊本地震のおける東京JMAT活動報告」を発表することになり、そちらを優先せざるをえませんでした。その発表の様子は2016/11/08院長コラム「第92回多摩医学会講演会において『熊本地震のおける東京JMAT活動報告』を発表しました。」をご参照下さい。
 二つ目の理由は、現在私は三鷹市医師会の乳がん検診委員長を拝命、三鷹市から委託された乳がん検診を統括し、乳がん検診をどのように実施していくか取り纏め、三鷹市医師会を代表して三鷹市の担当者に意見を述べる立場にあります。現在乳がん検診のマンモグラフィ(乳房レントゲン撮影)実施医療機関4施設(野村病院、三鷹第一クリニック、三鷹中央病院、当院)はいずれもデジタル撮影でマンモグラフィを実施しています。にもかかわらず、医師会への画像提出(各医療機関で撮影された画像は、ダブルチェックするため医師会への提出が義務付けられています)はデジタルデータでは受け付けず、レントゲンフィルムに印刷し提出することが義務付けられています。デジカメに例えると、各医療機関ともデジカメで写真撮影しているのに、CD-ROMやUSBメモリーでの提出は受け付けず、医師会へはいちいち印画紙に印刷し提出しています。それは医師会にデジタルデータをモニターで見るための機器PACS及びマンモグラフィ読影システム(デジカメでいうところのパソコンとモニター)がないためです。この機器は500万円〜1000万円と高額なためこれまで医師会には導入されていませんでした。そのため、4医療機関から提出されたレントゲンフィルムはシャウカステン(下図)を使用し読影されていました。しかし、医師会では来年度からPACS及びマンモグラフィ読影システム導入を目指し準備を始めています。今回の学会では各社のPACS及びマンモグラフィ読影システムの情報を収集したいと考えていました。
 三つ目の理由は、市との話合いの中で現在乳がん検診で実施されている乳房視触診を来年度から廃止するか否か、検討しています。今まで実施していた触診を廃止することは、一般の方からすると健診内容が後退するように思われるかもしれませんが、そう単純な問題ではありません。今回乳癌検診学会に是が非でも参加したかったのは、乳房視触診に対する諸家の意見を広く情報収集したいと考えていたためです。その結果に関しては、改めて別の機会でお話しさせて下さい。
 さて、今回の学会開催地徳島市は遠方です。開催日は10日金曜日と11日土曜日。徳島は交通の便があまりよくないため、10日朝東京を出発すると10日午前の講演はまったく拝聴することができません。また、今年三鷹市医師会が幹事を務める多摩地区医師会懇話会(年に一度都下の地区医師会が一堂に会するイベント)が11月11日土曜日新宿京王プラザホテルで開催されるため、理事である私は16時30分京王プラザ集合となっており、昼頃徳島を飛行機で出発しなければなりませんでした。そのため、11日の学会は午前中しか参加できないことが分かっていました。そうすると結局徳島まで行って、10日の午後と11日の午前しか勉強できなことになります。これではあまりに非効率的で、先述のような情報収集もままならないのではないかと危惧していました。ですから、学会前日9日木曜日に前乗りしたいところですが、木曜日18時30分から駅前コミセンで「三鷹駅周辺・地域ケアネットワーク」のケアネット委員会が開催され、三鷹市医師会代表の委員である私は参加を要請されていました。結局前乗りは無理かと思っていましたが、乗換案内ソフトで調べると、新宿駅南口の最近完成したバスタ新宿を21時55分に出発、10日朝6時47分徳島に到着する夜行バス「ドリーム徳島号」を案内されました。これだとケアネット委員会終了後に三鷹を出発しても十分間に合います。また、10日朝から学会に参加できます。これまで一度も夜行バスに乗ったことがありません。60歳近くになり夜行バスで出張、学会に参加するのは体力的に私自身不安ですし、家族や医師会長からも心配されました。しかし、徳島ドリーム号を運行するジェイアール四国のホームページを見ると、早割で片道7,200円の運賃に2,400円の追加料金を支払うとプレミアムシートにグレードアップできます。リンク先を見ると分かりますが、フルフラットまではいかないものの156度傾斜とかなりフラットな上、座席幅70cmと広くゆったり寝られそうです。意を決し、チケットを購入、夜行バスデビューとなりました。その乗り心地はというと、座席は何も問題なかったのですが、1、生まれて初めて夜行バスの乗り興奮した、2、座席が2階建てバスの最前列だったため、急ブレーキを掛けたとき、全面に広がるフロントガラスを突き破り飛び出さないか気になった、3、列車と違い高速度道路を走っていても周期の短い微妙な揺れが絶えず体を揺さぶり落ち着かない、以上のような理由で結局熟睡できませんでした。翌日の学会は推して知るべし。今回の学会テーマは「女性ヘルスケアからみた乳癌検診」です。心身は疲れていましたが、当初の目的の「乳房視触診」のセッションの聴講、「マンモグラフィ読影システム」機器展示での情報収集に加え、「マンモグラフィと超音波検査による総合判定」「高濃度乳房(dense breast)」「遺伝性乳癌卵巣癌」「MRI、ブレストトモシンセシスなどマンモグラフィ・超音波以外のモダリティ」等最近のトピックスを勉強することができ、頑張って参加した甲斐がありました。

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