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総合診療内科

内科全般の幅広い診療

内科全般について、例えば発熱、急性上気道炎(かぜ症候群、感冒)、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、咳喘息(CVA)、気管支喘息、COPD(肺気腫や慢性気管支炎)特発性間質性肺炎などの呼吸器疾患、心不全、不整脈、狭心症・心筋梗塞などの循環器疾患、腹痛、胃・十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染(除菌治療)、下痢、ノロウイルス等の感染性胃腸炎過敏性腸症候群B型やC型ウイルス性肝炎、胆石、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、自己免疫性肝炎原発性胆汁性胆管炎(原発性胆汁性肝硬変)などの消化器疾患、緊張型頭痛、片頭痛、薬物乱用頭痛、良性発作性頭位めまい症、脳梗塞や脳出血後遺症、認知症(認知症のある初診患者さんの診療は致しておりません。認知症の方には専門医療機関への受診をお勧めしています。なお、認知症発症以前より当院に通院されている方が認知症を発症した場合、ご希望により引き続き当院で診療致します)などの神経疾患、骨粗鬆症、原発性副甲状腺機能亢進症、サブクリニカルクッシング症候群、原発性アルドステロン症などの代謝内分泌疾患、鉄欠乏性貧血、悪性貧血、サラセミア、鎌状赤血球症、遺伝性球状赤血球症、骨髄異形成症候群、腎臓や前立腺疾患、膀胱炎、尿路結石、インフルエンザ帯状疱疹風しん手足口病、デング熱(デング熱診療ガイドライン)、マラリア梅毒ジアルジア症(ランブル鞭毛症)などの感染症、リウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群などのリウマチ性疾患Marfan(マルファン)症候群弾性線維性仮性黄色腫好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(Churg-Strauss症候群、チャーグ-ストラウス症候群)ミクリッツ病(IgG4関連疾患)皮膚筋炎/多発性筋炎、等複数の病気を抱える方に対しても、適切な診断・治療・アドバイスをします。様々な疾患の原因・診断・治療の十分な説明はもちろんのこと、体質や生活習慣等をふまえ、より健康的な暮らしができるようお手伝いします。病気のことだけでなく、健康上の些細な心配事でも遠慮なくお尋ねください。
不明な点があれば情報端末を使いその場で調べることもできます。
皆様方に安心して信頼される“かかりつけ医”を目指し、地域に根付いた医療に貢献していきたいと考えています。
なお、飛蚊症、毒蛇ヤマカガシ咬傷は診療していませんが、2018/02/25の院長コラム「飛蚊症」2016/12/11の院長コラム「毒蛇ヤマカガシ咬傷について」に詳しく解説しています。そちらをご参照下さい。

過敏性腸症候群について

各駅停車症候群

2011年12月13日の産経新聞に「『トイレに行かせて』江ノ電バス運転手が乗客残しファミレスへ」といった見出しの記事が掲載されました。「申し訳ないのですが、トイレに行かせてください」とアナウンスし、エンジンを切り車輪に輪留めをかけて、バス停前のファミレスに駆け込んだ」との内容です。この記事に鬼気迫るものを感じた方は、私同様各駅停車症候群だと思います。

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome;IBS)とは、大腸・小腸に器質的異常(がん、潰瘍や腸炎など視覚的に判別できるような形態的な異常)がないにもかかわらず、下痢や便秘などの便通異常、腹痛、腹部膨満感や腹部不快感などの症状を呈する症候群で、症状の発現や増悪にストレスが密接に関係しています。ストレス社会の現代においてIBSの罹患率は増加の一途を辿っています。IBSは良性疾患であり生命的予後良好(寿命は健常者と変わらない)ですが、生活の質(quality of life;QOL)を害するため、苦痛を感じ医療機関を受診すると病気とみなされます。

IBSの成因、病態生理

IBSの成因は不明です。ただ、消化管運動異常、内臓知覚過敏、心理的負荷の3つの要素が複雑に絡み合って、病態を形成しています。そのため、最近では、これらの病態を説明する考え方として、「脳-腸相関」(下図、アステラス製薬ホームページより転載)という概念が提唱されています。

IBSの頻度

IBSは、最も頻度の高い消化器疾患の一つで、日本の有病率は10~20%に達するといわれています。つまり、少なくとも日本に約1,200万人の患者さんがいると推定されています。とあるIBSの講演会で、講師が参加者の医師達に、IBS症状の有無を尋ねたところ、私を含め約半数の医師が挙手しました。IBSが如何にありふれた疾患であること、また、医師が大きな精神的ストレスを抱えていることを示唆しているようです。IBSの男女比は男:女=1:1.6で、有病率は20~30歳代で高く、加齢とともに減少します。約50%の患者さんでは35歳前に発症し、50歳以上の初発患者は10%程度しかいません。日本では、特に受験期にIBSを発症する人が多いようです。当院でも中高生の患者さんが増えています。病型として下痢型、便秘型、混合型および分類不能型がありますが、下痢型は男性に多く、便秘型は女性に多く見られます。軽症は70%、中等症は25%、重症は5%程度です。男性に多い下痢型IBSは急に大便を催す上、下痢便のため一歩遅れると便失禁しかねません。そのため、トイレのない電車に長時間乗れず、各駅停車症候群と呼ばれています。

IBSの症状

IBSは、腹部症状(腹痛、腹部不快感、腹部膨満感、腹鳴など)を伴った下痢や便秘が続き、ストレスによって症状が出現したり、増強したりします。患者さんの多くはそれら腸症状のみならず、嘔気・嘔吐、食欲不振などの他の消化器症状、心悸亢進、四肢冷感、発汗、顔面紅潮、肩こり、頭痛などの自律神経失調症状や不安感、不眠、無気力、緊張感、全身倦怠感などの精神神経症状などを訴えることもあります。
IBSは、器質的疾患ではなく機能的疾患ですから、大腸がんや炎症性疾患でみられるような血便や体重減少、発熱はみられません。また、ストレス負荷により症状が発現・増悪しますので、睡眠中やリラックス状態の時には症状は出ません。
また、IBSには同様の機能性消化管障害として、顎関節症、機能性ディスペプシア、胃食道逆流症、機能性直腸肛門痛などが高率に合併します。また、うつ病、不安障害、パニック障害、心臓神経症、線維筋痛症、慢性疲労症候群なども併存することが多いです。
IBSでは精神的ストレスが増悪因子になっていても、患者自身が必ずしもストレスを自覚しているとは限りません。腹部症状と、試験や仕事など生活上のエピソードとの因果関係を具体的に確認する必要があります。
また、IBS患者のライフスタイルは健常者よりも不規則な食生活を送り、睡眠も不規則なことが多いようです。

IBSの診断

IBSの診断基準に関しては、世界的にはRomeⅢ診断基準(2006年)がグローバルスタンダードとして使用されています。
IBSは、RomeⅢ基準において「過去3ヶ月間、月に3日以上にわたって腹痛や腹部不快感が繰り返し起こり、

  1. 排便によって症状が軽減する、
  2. 発症時に排便頻度の変化がある、
  3. 発症時に便形状(外観)の変化がある(軟便・水様便になったり、硬便や兎糞状になったりする)(下図)

ブリストル便形状スケール

の3つのうち2つ以上の症状を伴うもの」と定義されています。
下痢や便秘、腹痛等は、日常診療において頻繁に遭遇する消化器症状ですが、その原因と病態は多種多様です。その多くが急性、一過性の疾患ですが、IBSでは病悩期間が3ヶ月以上と慢性の経過を辿ります。しかし、慢性の器質的疾患も存在しますから、

  1. 理由のない体重減少がない
  2. 血便がない
  3. 夜間に腹痛や下痢で目が覚めない
  4. 50歳未満

という点を確認することが重要です。

腸炎後IBS

腸炎に罹患してから3~6ヶ月後にIBSを発症する症例が10%前後あります。腸炎後にIBSが発症した場合には、臨床像がやや異なる面があるので、腸炎後IBSと称しています。腸炎後IBSのリスク要因は腸炎の罹患期間、重症度、女性、若年者などです。乳酸菌製剤による治療が有効な場合が多いようです。
自験例として東南アジアに海外旅行に行き、現地で下痢になり、帰国後も半年以上IBS症状が持続した女性がいました。

IBSの検査

IBSと推察される患者さんに対して、大腸がん、感染性腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、膵炎、甲状腺機能異常症など器質的疾患を除外するための尿検査や血液検査、便潜血検査、便細菌検査、便虫卵検査など非侵襲的な検査を実施します。直腸指診で直腸がんも否定します。もし、それらの検査で異常があればIBS以外の疾患が考えられるので、大腸内視鏡検査など精密検査を勧めます。
簡単な検査で異常がなければ、IBSとして治療を開始し、この治療に反応すれば治療を継続し、反応しなければ器質的疾患を疑って消化管精密検査を実施するという「診断的治療」を行います。
IBSは問診だけでも診断可能な疾患ですが、ある程度の検査は実施した方が患者は安心します。患者は「自分はがんなどの重篤な疾患ではないか」と疑って来院するケースが多いので、検査をして器質的疾患の可能性を否定すると、安心してIBSに対する治療に専念し、治療効果も上がります。

IBSの治療

IBSの治療には、食事指導、生活習慣是正に加え、薬物療法として高分子重合体、消化管機能調整薬、乳酸菌製剤、抗コリン薬、下剤、セロトニン5-HT3受容体拮抗薬、漢方薬、抗うつ薬、抗不安薬などがありますが、かなり奏功します。また、心理療法、精神療法などもあります。軽症、中等症、重症に分類した「心身症診断・治療ガイドライン(2006)」が作成されており、詳細は割愛します。いずれにしても、QOLが改善、症状をセルフコントロールでき、社会生活上も適応できれば治療のゴールとなります。
患者に対して、ライフスタイルの是正を含めた生活指導や内科的治療を行っても症状が改善しない場合があります。上述の如くIBSではうつ病、不安障害なども合併している症例がしばしば見られますが、患者は身体症状を前面に訴え(仮面うつ病、心身症)、精神症状がカムフラージュされているからです。このような患者に対して抗うつ剤や、抗不安剤などにより心理面の治療を行って精神症状が改善すると、患者は便通異常や腹痛、腹部不快感が多少残存していても「具合がよくなった」と自覚的に改善されることが多いのです。
治療を成功させるためには、良好な患者-治療者関係を築くことが大切です。そのためには、患者の苦痛を傾聴し、受容すること、検査結果を丁寧に説明し、IBSの病態生理をわかりやすく解説すること、IBSは機能性疾患であり予後良好であること理解させること、などにより精神的ストレス→IBS→精神的ストレスといった悪循環から解放することも重要です。

当院でのB型及びC型ウイルス性肝炎の診療について

この数年のウイルス性肝炎治療法の進歩は目を見張るものがあり、知識量が爆発的に増大、非常に複雑化しています。患者さんにとって最も適切な肝炎治療を行うためには、生半可な知識ではダメで、非常に高度な専門性が必要になっています。大学院時代C型肝炎ウイルスの研究に携わり、ある程度基礎知識のある私も、年々複雑化する内容を完全に把握するのが困難になりました。都内に二つしかない「肝疾患診療連携拠点病院」の一つ(もう一つは国家公務員共済組合連合会虎ノ門病院)である武蔵野赤十字病院消化器科泉並木部長のお話では「非常に複雑なため専門医でも常に勉強していないと正確な診断、判断を下すことができない。」程だそうです。
B型やC型のウイルス性慢性肝炎における新知見をまとめてみると、

  1. 外来種の遺伝子型AのB型肝炎ウイルスが日本に蔓延化、成人感染のB型肝炎の約10%が慢性化するようになった。
  2. B型肝炎ウイルスは稀ではあるが、尿、唾液、鼻汁、汗、涙などでも感染しうることが明らかになった。
  3. 成人発症のB型急性肝炎が慢性化せず完全に治癒したと考えられていた場合も、実際にはB型肝炎ウイルス遺伝子は生体内に遺残、免疫抑制剤や抗がん剤投与時で再活性化し、重篤な肝炎を再発する可能性のあることが明らかとなった。
    以上の詳細は、「B型肝炎の疾患概念のパラダイムシフト~是非、B型肝炎ワクチンを接種してください!」をご参照ください。
  4. B型肝炎治療では、従来の肝庇護剤、インターフェロンに加え、経口剤である核酸アナログ(ラミブジン、アデホビル、テノホビル、エンタカビル)という肝臓がんを予防する薬を使用できるようになった。
  5. C型肝炎に対するインターフェロン治療は、経口の抗ウイルス剤を併用することにより著効例が著しく増加、かなり確率で完治するようになった。
  6. C型肝炎治療において、完治させうる経口剤の抗ウイルス剤が続々と上梓された。その著効率はきわめて高く(95~99%!)C型肝炎は副作用の強いインターフェロンを使用しなくとも飲み薬で治せる時代になってきた。そのため副作用でインターフェロンを使用できなかった患者さんも完治のための治療を受けることができるようになった。さらに、肝硬変や高齢のためインターフェロンを使用できなくなった患者さんにも治療の適応が広がった。
  7. これらC型肝炎に対する経口治療の新薬は事前に遺伝子検査を受けることにより、有効か無効か判るようになった。無効なものを投与すると薬剤耐性化が広がり、その後の治療をむしろ難しくするため事前に遺伝子検査が必須になりつつある。
  8. 次々と有効性の高い新薬が開発されるため、患者さんによっては有効率の低い治療をすぐに始めるより、むしろより有効な新薬の開発を待って治療を始めた方がよいと判断される場合(治療待機)も出てきた。つまり、現時点では、治療しないことが最適な判断と考えられる場合もあるようになった。
  9. 肝臓移植が行われるようになった。
  10. 行政的には東京都では「B型・C型肝炎治療医療費助成制度」「東京都肝炎ウイルス重症化予防推進事業(精密検査費用の助成)」という医療費助成を行っており、積極的に活用すべきである。
  11. 東京都では肝炎診療ネットワークを構築、「肝疾患診療連携拠点病院」や「幹事医療機関」(都内12医療機関)、「肝臓専門医療機関」を指定、医療費助成の受けられる医療機関が限定されるようなった。

以上のような状況のため、当院ではB型またはC型ウイルス性肝炎の方を発見した場合、その方にとって最も適切な治療法を判断するため、必ず、武蔵野赤十字病院を含めた肝臓専門医療機関の受診をお勧めしています。当院でウイルス性肝炎の診療を行うのは肝臓専門医療機関で指示され、連携して治療を行う場合に限定しています。

原発性胆汁性肝硬変について

代表的な自己免疫性肝疾患に自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis;以下AIH)と原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis;以下PBC)があります。開院後7年余りの間に当院でも、両者を合わせると10人近く発見された難病で、注意深く観察すると時々見つかる病気です。とくにPBCは国の特定疾患治療研究事業の56対象疾患の一つで、検査代、診察代、薬代など診療にかかわるすべての費用が公費負担となります。ですから、正しく診断し、公費負担の申請手続き方法を指導することは患者さんにとって大きなメリットです。現在AIHは10,000人程度、PBCは57,000人程度日本にいると推計されています。ということは人口約17万人の三鷹市内だけで90人程度自己免疫性肝炎と原発性胆汁性肝硬変の方がいることになります。診断されていない方もまだ多数いるでしょうから、実際にはもっと多いはずです。ここでは、頻度の多いPBCついてお話します。
免疫とは人間が病原体、がん細胞などヒトにとって有害なものから身を守るための体の中の仕組みです。そのため免疫システムは自己と非自己=病原体などの異物を明確に区別し、非自己のみを攻撃排除するようになっています。どのようにして免疫システムが無数にある非自己と自己を判別しているのか、その仕組みを解明したのが日本人で始めてノーベル生理学・医学賞を受賞した利根川進博士です。
自己免疫性疾患とはその免疫システムが間違って自己を攻撃することによって発症する病気です。自己免疫性疾患の中で最も有名なのが関節リウマチです。関節リウマチは、免疫が自分の関節を攻撃する病気で、関節が破壊され変形します。一方、自己免疫性肝炎は自分自身の肝細胞を、原発性胆汁性肝硬変は肝臓の中にある自分自身の胆管(胆汁を肝臓から腸管に流し出すための管)を攻撃、破壊する病気です。ちなみに、便の主成分は本来白色ですが、腸管に排出された胆汁の黄色に染まりあのような色になって排泄されています。
PBCは末期には胆汁が体の外に排泄できなくなるため、体内に胆汁が逆流、黄疸(黄疸で皮膚が黄色になるのは、胆汁が黄色いためです)をきたし、ついには肝臓病の終焉状態である肝硬変となります。PBCが発見された1950年当時、このような肝硬変の患者さんが端緒となって発見された疾患であったため、原発性胆汁性肝硬変と名付けられました。
PBCの特長を列記すると、

  1. 男女比は1:9で圧倒的に女性に多い。
  2. 20~80歳代まで幅広く発症するが、40~60歳代に圧倒的に多く発症する。まとめると、患者の多くは中年女性で発症する。下図(難病情報センターホームページより転載)を参照してください。

    男女別無症候性と症候性PBC

  3. 自覚症状を伴うのは患者の約30%程度で、残り70%は無症状(無症候性PBCと呼ぶ)である。自覚症状は皮膚掻痒感(胆汁の流れが滞ることにより血中に逆流してきた胆汁が皮膚を刺激するため)である。
  4. 血液検査で、血清IgM、胆道系酵素のALP、γ-GT、総コレステロールが上昇する。一方、AST、ALTの上昇は軽度にとどまる。
  5. PBCに特異的な抗ミトコンドリア抗体が陽性となる。

となります。

このうち、4のうち、AST、ALT、γ-GT、総コレステロールは三鷹市民健康診査の検査項目に含まれています。ですから、三鷹市民健康診査を受診すると、性別、年齢、AST、ALT、γ-GT、総コレステオロール値からPBCの可能性のある方を拾い上げることができます。実際、当院で発見されたPBC患者の多くが、三鷹市民健康診査が端緒でした。
γ-GTは飲酒によって増加します(例外的に飲酒しても上昇しない方が存在します)。また、飲酒習慣のある方はメタボや肥満の方が多いため総コレステロール値も高い方が多いです。換言すると、飲酒習慣がないにもかかわらず、γ-GT、総コレステロール値高値の場合、積極的にPBCを疑い、高ミトコンドリア抗体、血清IgMなどの追加採血を進言しています。
治療にはウルソデオキシコール酸やベザフィブラートが有効で、検査データが改善されるとともに、生命予後も改善します。無症候性PBCの方は、一般人と寿命は変わらず、天寿を全うします。一方、症候性PBCは徐々に進行、肝硬変に至り、肝不全や合併する食道静脈瘤の破裂が死因となることが多いです。そのため、末期のPBCの方に対しては肝移植が行われることもあります。無症候性PBCの方の一部は症候性PBCに移行しますので、無症候性PBCの方も定期的に検査を受ける必要があります。
AIHもPBCも同じ発症機序の自己免疫性疾患ですから、両者が合併(PBC-AIHオーバーラップ症候群)することもあります。また、肝臓以外の自己免疫性疾患、例えば関節リウマチ、シェーグレン症候群、慢性甲状腺炎(橋本病)、CREST症候群などがPBCの約20~30%に合併します。
ところで、上記の如くPBCの約70%は無症状です。無症候性PBCの方は、一般人と寿命は変わらず、天寿を全うします。こういった方々に原発性胆汁性“肝硬変”といった病名を付けることは問題です。歴史上、この病気のため肝硬変に至った方が端緒となり発見されたため、当初付けられた病名「原発性胆汁性肝硬変」が現在まで変わりなく使用されてきました。しかし、現在、ほとんど健常人とかわらないくらい健康なPBC患者のいることが明らかになり、さらにそういった方の方がむしろ多いことも明らかになっています。にもかかわらず、未だにそういった方々に“肝硬変”の病名を使用しています。
私自身、三鷹市民健康診査でPBCを疑ったとき、患者さんに「まったく無症状かもしれませんが、検査データから『原発性胆汁性肝硬変』という病気が疑われますので、追加で採血してはどうでしょうか?」と進言すると、皆一様に「肝硬変ですか!」と驚かれます。そのため、毎回原発性胆汁性肝硬変の歴史的な背景などをお話し、肝硬変でない方にも肝硬変という病名を使用していることをご説明しています。でないと、患者さんは検査結果が出るまでの間、不安な気持ちで数日間を過ごさなければならないからです。原発性胆汁性肝硬変という病名はPBC患者像の実態と乖離しており、すでに「原発性胆汁性胆管炎」といった病名に改めようといった議論がなされています。

薬物乱用頭痛について

外来診療をしていて最近しばしば見かけるのが「薬物乱用頭痛」(Medication overuse headaches, MOH、別名リバウンド頭痛)です。薬物乱用頭痛とは、鎮痛薬を過剰服用することで、逆に頭痛の頻度が増え、連日のように頭痛が起こるようになる病態です。患者さん自身は、頭痛薬の飲み過ぎが原因と理解していないため、漫然と頭痛薬を服用し続ける傾向があります。典型的には、中等度から重度の片頭痛や緊張性頭痛ため頭痛薬を過剰摂取し発生することが多いようです。市販の鎮痛薬が容易に入手可能なことも一因と思われます。頭痛持ちの方は極軽度の頭痛時や、さらにはイベントの前に予防的に服用したり、必要以上に過剰服用したりする傾向があります。
薬物乱用頭痛の有病率は、人口の1~2%とされ、頭痛の中では緊張型頭痛、片頭痛に次いで3番目に多く、世界中で問題になっています。頭痛の罹病期間は約平均18年と長く、成人だけでなく小児や思春期においても見られます。典型的には中年女性の罹患率が高い傾向にあります。
乱用の原因となる薬物は、非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)等の鎮痛薬、エルゴタミン製剤(片頭痛治療薬、ジヒデルゴット(R))、トリプタン製剤(片頭痛治療薬、イミグラン(R)、ゾーミック(R)、レルパックス(R)、マクサルト(R)、アマージ(R))、オピオイド(麻薬様物質)などが挙げられます。最も多いのは市販の鎮痛薬を乱用しているケースですが、近年はトリプタン製剤の処方量が増えていることに加え、下記の如く、トリプタン製剤が他剤に比べ少ない服用回数でMOHを発症することより、トリプタンによるMOHが増えています。

MOHに至るまでの鎮痛剤平均使用回数

一般に、鎮痛薬を月に10~15日以上、3ヶ月間以上継続的に内服している場合、乱用と判断します。
MOHの原因についてはまだはっきりとは解明されていません。頭痛薬過剰服用に伴い痛みに対する感受性が過敏になる、つまり痛みの閾値が下がってしまうことが原因ではないかと考えられています。しかし、関節リウマチの患者さんも大量に鎮痛薬を使用しますが、薬物乱用頭痛は起きません。よって、片頭痛や緊張型頭痛の病態そのものが薬物乱用頭痛の発症要因となっている可能性があります。
薬物乱用頭痛の治療の原則は、以下の3点です。

  1. 原因薬物の断薬
  2. 原因薬物中止後に起こる頭痛(反跳頭痛)に対する治療
  3. 予防薬の投与

当然ですが、まずは乱用の原因となった薬物の断薬です。徐々に減量するより即刻断薬する方が有効なようです。しかし、そのことにより薬物離脱症状~リバウンド頭痛(反跳頭痛)が2~10日間悪化します。典型的には約2ヶ月間離脱症状が持続しますが、その後は、頭痛の頻度や強度が以前より著しく軽減します。リバウンド頭痛に対して当該鎮痛剤を再服用すると頭痛は軽減しますから、反跳頭痛緩和の施策を講じなければ、過剰服薬行動を再強化しかねません。さりとて、反跳頭痛緩和の施策が過剰になればまた薬物乱用頭痛を招きかねません。このような理由で、リバウンド頭痛の軽減に、私は漢方薬(呉茱萸湯、桂枝人参湯、釣藤散等)を使用します。漢方薬の詳細はまた別の機会にお話しますが一つだけ。西洋薬は、同じ病気の同じ症状に対して万人に同じ薬を処方します。しかし、漢方薬は患者の体質や病期(初期なのか治癒期なのか)等で使用する薬が異なります。ですから、同じ薬物乱用頭痛でも患者さんにより使用する漢方薬が異なります。この見極めが肝心なのです。ピタッとはまると面白いように効きますが、外れると「まったく効かなかった。」と言われかねません。

頭痛予防薬として、抗うつ薬、抗てんかん薬、ステロイドホルモン、トリプタン製剤、消炎鎮痛剤等を投与します。MOH治療の成功率は70%程度といわれていますが、約40%の患者が再発しています。治療終了後1年以内の再発が最も多く、その後、再発リスクは減少していくため、頭痛薬使用頻度(月10日以内)、鎮痛剤の功罪についての患者教育の徹底が再発防止策となります。治療が成功するか否かは、患者さんの意識改革や忍耐力ですが、医師の話に耳を傾け、断薬を勧めるその言葉を信じてもらえるか否かは、やはり、医師と患者間の信頼関係の構築に掛かっています。

骨粗鬆症治療薬ビスホスホネート製剤の注射療法について

骨粗鬆症は「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されています。加齢、閉経、遺伝的素因、生活習慣によるものを原発性骨粗鬆症といい、それ以外の特定の原因によるものは続発性骨粗鬆症と呼びます。
骨強度は骨密度と骨質により決まりますが、骨密度が70%、骨質が30%程度寄与しています。骨密度は骨塩、つまり骨のカルシウム濃度です。一方骨質は、微細構造、骨代謝回転、微小骨折、石灰化などにより規定されます。
骨粗鬆症発症危険因子としては、閉経(女性ホルモンの一つエストロゲンは骨にカルシウムを沈着させ、骨密度を高める作用があります。そのためエストロゲン分泌低下を意味する閉経では骨からカルシウムが溶出するようになります。無月経や生理不順も同様に危険因子となります)、加齢(男女とも40歳代後半から加齢とともに骨密度が低下します)、遺伝(近親者に骨粗鬆症の患者さんがいる場合、自分もなりやすくなります)、骨折既往歴(過去に骨折の既往歴のある方は、ない方に比べ骨折しやすいです)、痩身体型(痩せた方は太った方に比べ骨粗鬆症になりやすいです。体重が多い方はそれだけ骨が鍛えられているわけですから。思春期の女性の極端なダイエットは骨粗鬆症リスクを高めます)、喫煙(喫煙は腸管でのカルシウム吸収を阻害したり、エストロゲン分泌を抑制したりするためです)、過度な飲酒(過剰なアルコール摂取は、腸管でのカルシウム吸収を阻害したり、尿からのカルシウム排泄を促進します)、カルシウム摂取不足(インスタント食品などはリンを多く含み、カルシウムが吸収されにくくなります)、運動不足(運動すると骨に負荷がかかるため骨の強度が増します。一方運動不足では骨は脆くなります)などがあります。
骨粗鬆症は、問診、脊椎エックス線像、骨密度測定結果などを総合し、下図(原発性骨粗鬆症の診断手順、「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015版」より引用)の如く診断します。

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015

詳細は「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015版」をご参照下さい。
治療法も上記のガイドラインにその詳細が記載されていますが、基本は、食事療法、運動療法、薬物療法の三つです。そのうち薬物療法は下図(「骨粗鬆症治療薬の種類と作用点」ファイザーホームページより引用)のごとく纏められます。

骨粗鬆症治療薬の種類と作用点

これらの治療薬には下図(「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015版」から引用)の如き使用上の注意点があります。

骨粗鬆症治療薬の使用上の注意点

このうち、ビスホスホネート剤は骨折予防効果における有効性は明確でしたが、顎骨壊死の副作用が危惧されるため、抜歯予定のある患者さんでは抜歯前3か月程度休薬せざるをえず、使いにくい薬剤となっていました。そもそも骨粗鬆症患者さんは、当然高齢者が多く、抜歯をする機会が多いためなおさら不便です。しかし、「顎骨壊死検討委員会ポジションぺーパー2016」が発表され、「経口、静注を問わず窒素含有BP[ビスホスホネート剤のこと:引用者注]治療を受けている骨粗鬆症患者におけるONJ[顎骨壊死のこと:引用者注]発生率は0.001~0.01%であり、一般人口集団に見られるONJ発生頻度0.001%とほぼ同様か、ごくわずかに高いと推定されている」こと、「BRONJ[ビスホスホネート製剤関連顎骨壊死のこと:引用者注]発生は感染が引き金となっており、歯科治療前に感染予防を十分に行えばBRONJ発生は減少するとの結果が示されている」こと、「論理的に判断すると、侵襲的歯科治療前のBP休薬を積極的に支持する根拠に欠ける」こと等の見解が示されてから、使いやすくなりました。
また、同薬は吸収効率が非常に悪い薬剤で、食事の影響で吸収が阻害されます。また、咽喉頭や食道へ逆流すると粘膜傷害を引き起こします。そのため、BP製剤添付文書の「用法・用量」には「起床時に十分量(約180mL)の水とともに経口投与する。なお、服用後少なくとも60分は横にならず、飲食(水を除く)及び他の薬剤の経口摂取を避けること。」と記載されています。換言すると60分座位を保てない方は服用できません。このように服用方法が複雑なため、本剤を服用するような高齢の患者さんがこの通りきちんと服薬方法を守っているか疑念が生じます。服薬後間違って何か口にしていたら、折角の薬もその効果を発揮できません。
さらに、BP剤は発売当初、毎日服用する薬として売り出されていました。しかし、先述の如く複雑な服用方法による高齢者の負担を減らすため週1回内服する製剤が発売されました。つまり、1週間分を1日で内服するため、1月すなわち4週間に4回しか服用しなくてよくなりました。さらに、現在は月1回製剤が開発され、1か月に1度服用するだけで済むようになりました。しかし、裏を返せば、月1回の内服時に服薬後60分以内に間違って何か食べ物を口にしたら1か月分の薬がパーになります。そう考えると月1回製剤は功罪両面があるといえます。
そこで開発されたのがBP製剤月1回注射剤(ボンビバ静注1mgシリンジ®)です。高血圧などの持病で月1回通院されている方の場合、来院時に静脈注射を1本打つだけで済みます。飲み忘れることもなく、食事制限も不要なため確実に効果を発揮することができます。服薬方法を遵守できな認知症の方にも使用できます。もちろん針を刺される痛みがあり、患者さんがどの治療法を望まれるかにより、最終的には判断します。もちろん、薬物療法を行おうとも食事療法や運動療法も並行して実施する必要があります。

RS3PE症候群について

高齢化社会になり増加してきたとはいえ、従来その罹患率(1年間に発症する患者の割合)は10万人当たり1.5人程度で、三鷹市の人口を18万程度とすると、三鷹市内で1年に3人程度しか発症しない病気です。ですからその発症原因など十分に解明されておらず、不明な点も多々ある病気ですが現在までの知見を纏めると、

病気の概念

1985年にMcCartyらが、1.予後の良い(Remitting)、2.リウマチ因子陰性(Seronegative)、3.対称性(Symmetrical)、4.手背足背の圧痕浮腫を伴う滑膜炎(Synovitis With Pitting Edema)等の特徴を表す言葉の頭文字をとって、RS3PEの概念を提唱しました。発生頻度については、本邦では50歳以上の0.09%に認められたとの報告があります。現在、適当な日本語の病名がないため、日本リウマチ学会などで検討されています。ときに前立腺がん、胃がん、大腸がん、悪性リンパ腫、白血病の初期症状として出現する場合があります(腫瘍随伴性RS3PE)。その場合、発熱、全身倦怠感などの全身症状が強く、治療抵抗性の場合が多いようです。

臨床症状

比較的急な発症で、対称性の滑膜炎による末梢関節痛、両側手背・足背の圧痕を残す浮腫(ボクシンググローブハンドと呼ばれることもあります)が特徴です。RS3PE症候群27例の報告では、関節炎の部位は、中手指節関節81.5%、近位指節間関節70.4%、手首55.5%、肩48%、肘11.1%、膝33.3%、足首25.9%でした。炎症に伴う全身倦怠感や微熱、体重減少を認めることもあります。

検査所見

炎症を反映して赤沈が亢進、CRPが上昇します。リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体や抗核抗体は陰性、一部の症例で白血球が増加したり、補体が高値となったりします。血清VEGF(血管内皮増殖因子)が著明に増加、それによる関節周囲の血管透過性亢進が浮腫の原因と考えられています。

診断・鑑別診断

確立した診断基準はまだありません。McCartyらの推奨する診断基準は、以下の4項目すべてを満たすものとしています。

  1. 急性発症する左右対称性の四肢末端部の関節炎
  2. 手背及び足背の圧痕性浮腫
  3. 50歳以上の高齢者
  4. リウマトイド因子陰性

関節リウマチやリウマチ性多発筋痛症の亜型とする意見もあり、その鑑別が重要です。
各々特徴を纏めると、

  関節リウマチ リウマチ性多発筋痛症 RS3PE症候群
発症年齢 20~60 50< 50<
性差 女>男 女>男 女<男
末梢関節炎 ++ -~+ ++
骨びらん
筋痛 -~+ ++ -~+
手足の浮腫 -~+ -~+ ++
炎症反応 ++ ++
リウマチ因子 ++
ステロイド反応性 ++ ++
発症様式 緩徐 突然発症 突然発症
予後 慢性経過 再燃率20~50% 予後良好、再燃まれ
治療

副腎皮質ステロイドに対して反応性は良好。通常プレドニゾロン10~15mgから開始し漸減していきます。症状が消失、炎症反応が正常化すると薬を中止しますが、再燃はまれです。

マラリアについて

先日、通院中の某患者さんから「ラバウルに行くのでマラリアの予防をしたいが、薬を処方していただけますか。」と尋ねられました。
約30年前、私はアフリカのガーナに仕事で行ったことがあります。そのため、院内にはその当時お土産として持ち帰った絵などが飾られています。その折、やはりマラリア予防のため薬を持参しました。その患者さんにはその当時の経験をお話しました。しかし、当時の記憶も曖昧で、私のマラリアに関する知識もだいぶ古くなっています。地球温暖化の昨今、デング熱が東京で流行する時代、今後マラリアが日本で流行しないとも限りません。これをよい機会と捉え、マラリアについてまとめてみました。
医師向けの情報としては、国立感染症研究所ホームページのマラリアの項が詳しいですが、あくまでも医師向けのため知見が中心で一般の方には不向きです。一般人が対象で、これから流行地への旅行を計画されている方向けなのは、厚生労働省検疫所ホームページのマラリアの項です。簡潔で、5分で理解できます。本文を一読するより、ここを印刷して持参する方が実践的でしょう。

病因

ハマダラカが産卵のため吸血する際、伝播する熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形マラリアの4種の原虫がおもなマラリア病原体で、その感染により熱発作の反復とそれに持続する貧血、脾腫などを主徴とする全身感染症を引き起こします。

疫学

マラリアは、結核、エイズと並ぶ世界の3大感染症の一つです。イタリア語の「悪い」mal、「空気」ariaというのがマラリア(malaria)の語源だそうです(知らなかった!)。マラリアは熱帯,亜熱帯諸国を中心に約100カ国で流行(下図、濃ゆい青がマラリア感染が発症している国や地域で、薄い青が限定的ですが、マラリア感染が発症している国や地域です。)、世界保健機構(WHO)の推計によると、年間2億1,400万人以上の罹患者と約44万人の死者が出ています(WHO、2015)。

Global_Malaria_ITHRiskMap

死亡者の70%は5歳未満の子どもです。重症化しやすく死亡率も高い熱帯熱マラリアは、アフリカやアジア・太平洋の熱帯地域が流行の中心ですが、三日熱マラリアは、韓国や中国といった温帯地域でも発生しています。卵形マラリアや四日熱マラリアは、熱帯熱マラリアや三日熱マラリア(各々40~50%、40~60%)に比べ感染者は少なく(各々国内輸入感染例の2%以下)、臨床的に問題にならないようです。日本国内での報告数は、国際化時代を反映し、熱帯地からの輸入マラリアが年間50例前後で推移しています。

臨床症状

マラリアに免疫のない方が初感染した場合、発熱はほぼ必発で、原虫侵入後の潜伏期は熱帯熱マラリアで7~12日前後、三日熱マラリアは8~31日前後、四日熱マラリアは28~31日前後、卵形マラリアでは11~16日前後です。三日熱マラリアでは、感染後病原体が肝細胞の中で休眠し、1年以上、はっきりした症状もなく過ごすことがありますが、典型例では、潜伏期間の後、頭痛、倦怠感などの前駆症状を伴い悪寒、戦慄とともに39~41℃の熱発作が出現、数時間後には大量の発汗とともに解熱します。この熱発作の間隔は、熱帯マラリアでは不定期で短く、三日熱・卵形マラリアで48時間毎、四日熱マラリアで72時間毎です。一般検査所見では血小板減少(感染赤血球による毛細血管塞栓を反映)、LDH上昇(赤血球破壊を反映)などが高頻度にみられます。貧血は、病初期にはみられませんが、この熱発作を繰り返すことにより、貧血、脾腫(網内系細胞の感染赤血球貪食を反映)が出現していきます。熱帯熱マラリア原虫が感染した赤血球は、毛細血管の豊富な臓器を中心に、血管内皮へ固着、多臓器不全を引き起こします。そのため、5~6病日以内に適切な治療を開始しないと重症化し、疲憊、意識障害や痙攣(脳症)、腎症、代謝性アシドーシス、呼吸困難(肺水腫/ARDS)、異常出血(DIC様出血傾向)、重症貧血、黄疸、低血糖、黒水熱(高度の血色素尿症)など種々の合併症を生じ、致死的となります。

診断

診断にあたっては、流行地への渡航歴がある発熱者を診たらまずマラリアを疑ってみることが最も重要です。そのためには世界的なマラリア流行状況を把握しておかなければなりません(上図)。ごくまれに、輸血(保存血、血小板、交換輸血)、針刺し事故などでも感染する(1991年以来発症なし)ので輸血歴の確認も重要です。
診断の基本は、血液塗抹標本を染色し、光学顕微鏡で検査する形態学的診断法です(下図)。速診断キット、PCR法なども開発されています。

形態学的診断法

熱帯地域から帰国後の熱性疾患では、デング熱、インフルエンザ、急性肝炎、アメーバ性肝膿瘍、ウイルス性出血熱などの熱性疾患との鑑別が重要になります。
マラリア原虫を媒介するハマダラカは、デング熱を媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカと異なり、都市環境では生息できません。アフリカやインド等の一部の国を除き、日本人が、熱帯の都市に滞在しマラリアに罹患する可能性はかなり低いようです。また、発熱以外に消化器症状が前面に出た場合は、腸チフスとの鑑別が問題となります。

治療

マラリアの治療は、急性期治療と根治的治療に分かれます。様々な治療薬が開発されていますが、薬剤耐性が問題となっています。当院では診断はしますが、治療は高度医療医機関へご紹介することになるので、詳細は割愛します。いずれのマラリアも早期に適切な治療を開始すれば一般に予後良好です。しかし、熱帯熱マラリアでは上述の如く5病日以内に適切な治療を開始しないと、急激に悪化したり致命的な合併症をきたす場合もあります。
三日熱マラリアと卵形マラリアは、肝臓に休眠状態で留まるため、急性期治療後にそれらを殺滅する根治療法を行わないと、再発を繰り返します。

予防

予防接種はありませんが、予防薬があります。マラリア流行地へ渡航する際は、抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされています。マラリア予防薬は、医師の処方が必要で、渡航先の流行状況や滞在期間、活動内容などによって適応となる予防薬が異なります。厚生労働省検疫所の予防接種実施機関検索サイト日本渡航学会の国内トラベルクリニックリストで処方可能な医療機関を見つけ、ご相談下さい。予防薬を服用していても、防蚊対策は必要です。

感染症法における取り扱い

全数報告対象の4類感染症に分類され、診断したら医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る義務が課せられています。

ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)

先日、初めてジアルジア症(ランブル鞭毛症)の症例を経験しました。
患者さんは長期休暇を取得、4か月間インドの安宿に滞在していた方です。渡航前から当院で高血圧の治療を受けていました。帰国後、2か月以上経て降圧剤の処方を受けるため久しぶりに来院されました。旅行中の様子を伺うと、予想通り不衛生な環境のため下痢が続いた上、毎日毎食カレーでさすがに食傷気味になり、滞在中に10kg体重が減ったそうです。しかし、帰国後は元気になり5kg回復したとのことでした。久しぶりの来院のため定期の血液検査実施しました。結果、白血球の中の好酸球が22%(以前の値は2%)と著しく増加していることを指摘しました。
白血球にはいろいろな種類がありますが、そのうち好酸球という白血球が増加する病態として、

  • アレルギー性疾患:気管支喘息、アトピー性皮膚炎、じん麻疹、薬剤アレルギー、アレルギー性鼻炎(花粉症)
  • 膠原病・血管炎症候群:アレルギー性肉芽腫性血管炎、皮膚筋炎
  • 好酸球増加症候群、好酸球性肉芽腫、PIE症候群、Löffler症候群
  • 皮膚疾患:天疱瘡、痒疹、多形滲出性紅斑
  • 血液疾患:慢性好酸球性白血病、慢性骨髄性白血病、Hodgkinリンパ腫
  • 寄生虫疾患
  • 射線照射後
  • 悪性腫瘍の転移

等が挙げられます。このうち最も頻度が多いのはアレルギー性疾患です。日常診療の中で、好酸球増多症を見た場合、そのほとんどがアレルギー疾患、とりわけ喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎と言っても過言ではありません。
しかし、今回、アレルギー性疾患の持病がなかったこと、前値が2%だったこと、インドで下痢をしていたことなどから、寄生虫疾患を真っ先に疑いました。そして、再度よくよくお話を聞くと、帰国後も下痢が続いているとのことでした(早く言って欲しかった!)。ご本人曰く、「今回、何だか下痢の直りが悪くて。いつもだったら放っておいても治るのですが。」とのことでした。寄生虫感染が疑われることを説明、早速便の提出を指示、虫卵検査を行うことにしました。
便検査の結果、下図の如くランブル鞭毛虫のオーシスト(接合子嚢)を発見、ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)と診断しました。

本疾患は、感染症法の5類感染症(全医療機関が診断後7日以内に最寄り保健所に届け出の義務がある)となっているため、早々に東京都多摩府中保健所へ届け出を行いました。臨床症状、感染経路、治療方針などに関しては、東京都感染症マニュアルの「ジアルジア症」を転記します(下図)。

ご存知の方も多いことと思いますが、成田空港等を経て帰国するとき、空港の検疫所で発熱や下痢などの症状がある場合、申告するように求められます。インドからの帰国で下痢症状があると、検便検査を無料で実施してくれるようです。この方はおそらく無申告のまま検疫所を通過したのだと思います。下図のマニュアルの如く下痢便の取り扱いが不適切(トイレの後の手洗い等)な場合、帰国後家族への二次感染の可能性もあります。インドなど衛生環境に問題のある国(厚生労働省検疫所ホームページ国別情報:インド)へ旅行中、発熱、下痢などの症状があった場合、面倒臭がらず検疫所で申告しなければならないことを明記します。

向精神薬

平成26年度診療報酬改訂に際し、平成26年10月1日より精神科を標榜する医療機関(メンタルクリニック等)の医師以外は、1回の処方において、3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、4種類以上の抗うつ薬又は4種類以上の抗精神病薬の投与(向精神薬多剤投与)が実質的に制限されることになりました。当院は精神科を標榜していませんし、精神科専門医でもありませんので、制限の対象となります。対象となる薬剤は下表のようなものになります。

別紙「向精神薬多剤投与制限について」

そのため、平成26年10月1日以後は、厚生労働省の定める例外事例を除き、上記規定に抵触する処方は致しません。上記向精神薬の多剤投与が必要と判断された場合、ご相談の上適切な精神科標榜の医療機関にご紹介します。

また、ときに睡眠薬のみを希望し初診される方がいます。昨今、薬物乱用が社会問題となり、先述のごとく厚労省からも厳しく指導を受けています。そのため、当院では睡眠薬等向精神薬の投与に関して、たとえ多剤でなくとも以下の如き診療方針で対応致しております。

  1. 初診患者さんに関しては1種類の薬剤を投与日数1週間分までしか投与しません。相当期間通院し、心身ともに問題ないことが明確になった場合のみ1週間分以上投薬します。
  2. 三鷹市への転入により、前医と同一処方の継続を希望される場合、前医からの紹介状を持参されなければ初診患者さんと同一の扱いとし、1種類1週間の投薬を限度とします。
  3. 持病にて既に長期間当院通院中の患者さんに関しては、法令に従い適宜判断、投薬日数を調整します。
  4. 向精神薬の違法な使用が疑われた場合、速やかに警察署を含め監督官庁に報告します。当方の事実誤認の場合もあると思いますが、あくまでも疑いとしての報告でありご理解のほど宜しくお願い申し上げます。

さらに、ときに睡眠薬を含め、ご自身に対して処方された薬を、家族を含め周囲の人に譲られる方がいます。たとえば、「夫が、寝つきが悪いというので自分の睡眠薬を3錠あげた」といったお話です。これは薬事法違反となります。さらに睡眠薬の場合「麻薬及び向精神薬取締法」違反となります。ご自身に対して処方された薬剤は何人たりとも譲渡できません。監督官庁への報告の対象となりますので、厳に慎んでください。

向精神薬に分類されていない類似薬の取り扱いについて

向精神薬は上述の多剤併用制限に加え、投与日数が制限(薬剤により14日、30日、または90日)されています。90日はてんかん治療目的のため、向精神薬は実質的に30日が最大投与日数となります。30日というのは法的に許可された最大投与日数であって30日分投与しなければならないわけではありません。あくまでも診察の結果、医師が一人一人の患者さんの病状を把握し投与日数を決めます。当院での考え方は上述のごとくです。薬剤投与日数を決める権限、処方権は患者さんにはなく(希望を述べる権利はあります)、医師にしか認められていません。
一方、向精神薬と同様、睡眠薬や精神安定剤にもかかわらず、向精神薬に分類されていない薬剤があり、ここでは向精神薬類似薬と表現します。これらは、向精神薬に分類されていないため、麻薬及び向精神薬取締法の規制を受けず、投与日数制限もありません。具体的には、下記のようなものがあります。

エスゾピクロン(商品名:ルネスタ、以下同様)、スボレキサント(ベルソムラ)、トリクロホスナトリウム(トリクロリール)、抱水クロラール(エスクレ)、フルタゾラム(コレミナール)、フルトプラゼパム(レスタス)、ブロモバレリル尿素(ブロモバレリル尿素)、メキサゾラム(メレックス)、ラメルテオン(ロゼレム)、リルマザホン塩酸塩水和物(リスミー)等。

これらは向精神薬に分類されずとも、睡眠薬や精神安定剤であることには変わりなく、上述のような多剤併用制限を受けます。投与日数に関しも当院では向精神薬同様に扱い、30日以上処方することはなく、上述の如く投与日数を調整します。繰り返しになりますが、薬剤投与日数を決める権限、処方権は患者さんにはなく(希望を述べる権利はあります)、医師にしか認められていません。ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。

外用薬

湿布薬に関して

当院は内科ですから、基本的に外傷など整形外科的疾患(骨、関節、靭帯、筋肉、腱)の治療は行っていません(一部膠原病やリウマチ性多発筋痛症、RS3PE症候群など全身性炎症性疾患はむしろ積極的に診療しています)。それでも、内科疾患で通院中の患者さんが、ときに打撲や腰痛にたいして湿布や鎮痛剤の処方を希望される場合があります。簡単な対処療法で治癒可能と思われる場合、患者さんの利便性を考慮し投薬を行いますが、専門的治療が必要と思われるものに対しては、近隣の整形外科医院の受診を進言しています。
なお、2016年の診療報酬改定により、1回の処方当たり湿布は合計70枚とまでという規制が導入されました。ただし、疾患の特性などにより、やむを得ず70枚を超過する場合は、その理由をレセプトに記載すれば投与できることになっています。当院は内科のため「疾患の特性など」を判断し理由を記載することはできませんから、理由の如何にかかわらず当院では1処方70枚以上の湿布を処方することはできません。

軟膏など塗り薬に関して

当院は皮膚科ではありませんが、比較的簡単な皮膚疾患に対しては患者さんの利便性を考慮し、投薬しています。また、湿布の代わりに非ステロイド系消炎外用剤の投薬も行っています。具体的には、抗真菌外用薬(足白癬=水虫。爪白癬の治療はしていません)、抗ウイルス薬(帯状疱疹、単純疱疹=口唇ヘルペス等)、抗菌薬(ざ瘡=にきび、膿皮症)、副腎皮質ホルモン剤(湿疹、掌蹠膿疱症、脂漏性皮膚炎=フケ症、虫刺され、薬疹、主婦湿疹等)、保湿剤(皮脂欠乏症、ドライスキン、老人性乾皮症等)をご処方しています。また、その他日焼け、蕁麻疹、凍瘡(=霜焼け)、汗疹(=あせも)、肩関節周囲炎(=肩こり)、筋肉痛、打撲痛、腰痛、関節痛、褥瘡(=床ずれ)、鶏眼(=魚の目)、掌蹠角化症(=厚い踵の角質)等の病気に対する処方もしています。
このうち保湿剤であるヘパリン類似物質(商品名:ヒルドイド)、ヘパリンナトリウム(商品名:ヘパリンZ)が、2015年頃より一部雑誌やネット上で、しわ取りの「アンチエージングクリーム」として紹介され、美容目的の使用を推奨するような記事が掲載されるようになりました。そのうわさが口コミで広がり、皮膚科で化粧品クリーム代わりに処方を受ける方が急増、2017年発表された健保連の推計では、その使用量が年間93億円に達しています。健康保険はあくまでも、病気の治療に対し適応されるものですから、美容目的の使用は違法となります。2018年4月の診療報酬改定では、湿布同様処方制限の導入が検討されましたが、結局見送られ、保険診療でのヘパリン類似物質処方条件としては「疾病の治療であることが明らかであり、かつ、医師が当該保湿剤の使用が有効であると判断した場合」のみと明文化されるに留まりました。当院は内科のため保湿剤を処方目的に来院される方はいませんが、主病の内科疾患で通院、副病として保湿剤を処方している方はいます。保湿剤が今後保険適応外となり、真に病気のため保湿剤を必要としている方に被害が及ばないよう、美容目的の処方は厳に慎まなければなりません。ヘパリン類似物質やヘパリンナトリウムを主成分とする薬はすでに市販されており、診察料や薬局での調剤料を考慮すると健康保険証を使い医療機関で処方を受けるのと費用はほとんど変わりません。美容目的の方は、ドラッグストアにてご自身でご購入下さい。

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